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2人声劇想定10分『きっと、またいつか』 作 沖ママ

《ガタンゴトン 電車の音》

彼氏
『そろそろ、面会の時間も終わりだな。』

彼女
「……うん。また来るから!」

彼氏
『いや、もう来なくていい。』

彼女
「えっ!?」

彼氏
『もう来なくていいって言ってるんだよ!』

彼女
「そ、そんな……。どうして……?」

彼氏
『嫌いなんだ、何もかも。』

彼女
「ど、どういう事!?ちゃんと説明して!」

彼氏
『俺は、病人なんだぞ?入院して弱ってる病人に掴みかかるような奴は嫌いだ。』

彼女《怒りと涙の混在》
「はっ……!?っ……!!」

《病室から飛び出す彼女》

《アナウンス》
「面会時間は午後6時にて終了となります。面会にお越しのご家族様、または関係者様は速やかにお帰りいただきますよう、ご協力お願い致します。」

彼氏《眠りに落ちる》
『ふぅ……。良かったんだよ、これで。アイツは優し過ぎる。俺なんかにはもったいない……よな。』

《ガタンゴトン 電車の音》

彼女《泣きながら》
「……何で……?何でなの……。私が何かした?……ねぇ。私……どうしたら……。」

《ピッピッピッピッ 心拍を計測している音》

彼氏
『この音が止まったら、俺……死ぬのかな。頼むよ……。何とかなってくれよ。このままで終わりなんて……嫌だよ。デートも行けない、誕生日も祝えない。何のために……。クソっ!』

《グツグツグツグツ 煮込む音継続》

《3秒程度 待つ》

《電話着信》

彼女《慌てて》
「……あ、電話……?は、はい……。私ですが……。えっ……。わ、分かりました。直ぐに、行きます!」

《場面転換 病院》

《走る音》

彼女《泣きながら》
「何やってんのよ!馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!死んじゃったら!死んじゃったら何にもならないじゃない!」

彼氏《息絶え絶え》
『……な、なんだ……。来ちゃ……った……のか……。バレ……ちゃ……った……な。』

彼女《泣きながら》
「何でよ!何で黙ってたのよ!ねぇ……なんでこんな事になってるのよ……。」

彼氏《息絶え絶え》
『……俺の声……。もぅ……届かない……んだよな……。』

彼女
「声……。もぅ……聞けないの……?えっ……。何か書いてる……。そうか!」

《彼女 走り出す》

彼氏《息絶え絶え》
『もぅ……字も……書けなくなっ……てきた……。力……が……入らない……。』

彼女
「え?何?」

彼氏《書いた文字を読む》
『おまえに あえて たのしかった。さいごに また あえて よかった。ありがとう。』

彼女
「うん、うん!」

《彼女 紙に文字を書く》

彼女《ICUの彼に届かせるように》
「見て!お願い!お願いだから!見て!」

《BGM ここから入れる》

彼氏《モノローグ》
『俺と出会った時の事、覚えているか?あの日、君は笑っていた。』

彼女《モノローグ》
「あなたに出会った時、私は笑っていた。そう、あの日も笑っていたんだ。」

彼氏《モノローグ》
『もし、生まれ変わったら……。』

彼女《モノローグ》
「もし、生まれ変わっても……。」

彼氏・彼女《合わせる》
『もう一度!』

《BGM ここで上げるからのフェードアウト》

終わり

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