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『忘れられない夏』 作 沖ママ

《鍵開ける》《玄関閉める》

『ただいまー。』

《歩く》

2秒の間

『誰も居ねぇ。』

《エアコンスイッチON》

『まぁ、居る訳ねぇよな。一人暮らしなんだし。』

《冷蔵庫開ける》《氷》《注ぐ》

『ほんと、1人なんだな、俺。』

『明日から盆休みか。どうすっかな~。実家とか、帰ってみるか?』

『いや、やめとこ。どーせ早く結婚しろだの、相手見つけろだのうるせぇだけだ。』

《花火 小さめ 継続》

『ん?花火か……。そういやアイツ……どうしてっかな。元気でやってんのかな。』

『年下のクセにみょうにお姉さんっぽくて、何でも出来ちゃうのに天然で。とぼけたとこも可愛くて、いっつも謝ってばっかりだったよな、お前は。』

『なぁ、覚えてるか?』

《エコー》
『お待たせ。』
『何時間前から待ってんだよ。』
『ばーか。』
『あはは、何やってんの?』
『ほんと、お前は可愛いよな。』
『今年も行くんだろ、夏祭り。』

《花火 連発》

『花火、終わっちまったな。』

《BGM》

『今年もまた、忘れられないお前の事を思い出す夏になるのかな。』

『お前の声も、顔も、天然なとこも全部、全部好きだった。いや過去形じゃない、今でも好きだ。大好きだ。』

『ふっ……。とんだ大バカ野郎だな、俺は。』

《BGM フェードアウト》

終わり

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