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後部席を横向き(対面)にレイアウト変更してみる

そもそも「ランドクルーザー」「ランクル」というクルマには「全く」興味はありませんでした。イメージとしてはうすらデカい(60)かジープみたいな丸っこい(40)程度で、そのどちらにも惹かれるものはありませんでした。クルマはキャブオーバー(フォワードコントロール)が積載効率が良く、それでいて維持費の安い小型貨物登録でなければならない、が個人のクルマ選びの基準としてあったのです。 それでも、じわじわと伏線のような刷り込みがあったようで、エジプトラリーに参加した際のスタッフ車が(当時まだ販売間もない?)70だったり、テネリフェバイクの際に知らずに後部席に乗せられてたり・・・ フランスの友人の家業が「自動車修理業」で(お父様が)ラリーにも参加しているので、漠然とヨーロッパの車がいいなーと。「ねえ、クルマ何を買ったらいい?」と尋ねたところ、即答で「トヨタだろ」と。へ?トヨタ?全く頭になかった選択肢でした。そういえがケニアのガイドドライバーもしきりに「オレのはトヨタだ」と自慢していましたっけ。 そうしているうちに、使用していたMetsubishiの2台目も「設計不良」と思える症状で臨終し、二度とMitsubushiは乗らないな、と思いながらクルマを探したのですが、条件に見合うクルマはなかなかありません。「小型貨物」「軽油」「キャブオーバー」そしてもちろん「全輪駆動」。のキャブオーバーにしがみつけばハイエース、その拘りさえ解放すれば70(ランクル)という選択となりました。ハイエースの整備性の悪さは容易に想像がつきますし、全輪駆動モデルだとしても期待できないものだということも想像がつきますので、必然「70」ということに。ところがその時点で70の販売終了(製造はしている)が決まったので「中古」しかありません。それどころか販売終了、と共に中古車価格があがり始めました。「ヤバイ!これはかなりヤバイっ」となって金額的には身分不相応な70の中古車を求めました。 ところが、70に乗り始めてみますと、このクソ重い500㎏積の屋根付きトラックが非常に良い作りでした。ボンネットの整備性はもちろんですが、リンクロッドや部材の厚さや太さ、ベアリングの選定、どこをとってもしっかりと設計されているが伝わってくる作りです(ただ単純に2tonトラックの部品の使いまわしでしょうが)。友人の、海外の人たちが言っていたことの意味が分かりました。壊れないんだろうなあ、これ。 そうして非常に気に入って「70」を使いだしたのですが、もちろん100%の100点満点のはずがありません。不要なものを取り外し、使い勝手の良いものに交換して、そして中古ですので気になる消耗品はできる限り新しく置き換えていきました。ところがボンネットの欠点である荷室の狭さ(短さ)は大きな課題で、さらに(貨物としては)立派過ぎる後部座席のおかげでますます積載能力、使い勝手が良くありません。モノを積むという大命題にあって思ったものが積めない、は致命的欠点です・・・ 「輸出モデルのように後部座席が『横向き対面』だったらそれも改善されるだろうに」と漠然とは考えていましたが、物理的に、法的に、ハードルが高そうです。海外モデルを(逆輸入して)登録して乗る、という手もありますが、経済的に不可能なハードルです。 そしてあるとき「道路運送車両法の改正により自動車の後部座席の『横向き』設置ができなくなりました」というアナウンス(2017年改正)。 あ、これで「夢」「願望」が断たれてしまったということになりそうです。 「夢の」… 実はカナリア諸島(スペイン領)で開催された「テネリフェスーパーバイク(MTBラリー)」にレースが終了した後に参加したメンバーで「おい、ローカルの案内でどっか走りに行こうぜ」という話になり、レース中にすっかり仲良くなった足並みのそろった4~5名が集まりました。「○○時にホテルに迎えにいく」と言って現れたクルマが「ランクル73(ミドルと呼ばれる)」でした。前席2+後部対面6名の「護送車」レイアウトですが、どうにかこうにかして5名プラスジテンシャ5台を無理やり、護送されるよりも悪条件の乗車環境で移動したのです。その時はそれが「70」という意識は強く持っていなかったのですが、潜在的に「あの使い勝手は!」脳にこびりついていたようです。しかし、それも今となってはもう諦めるしかないのです。 ところが良く調べもしないで(手間だし、不可能かもしれないし)で諦めていたのですが、「え?できるよ!」という実績情報もあり。真面目に調べてみると「製造(登録)年が改正年以前であれば可」ということの様です。古い車には2点式シートベルトしかなくてもOK、というアレと同様です。にしても法改正後にわざわざ禁止になった構造に変更が認められるのか? それもOKだ、というのです。ほんとかなー、と頼りにしている西川さん(自動車整備屋さん)に訊いてもらうと「できますよー」「あ、でも貨物はダメだそうです」 ええっ!なぜ貨物車がダメなのかもしっくりきませんがもう諦めたほうが良さそうです。 ところがこの話題がFBの70のグループで挙がった際に「ウチ、できましたよー」との情報が。「ゴニョゴニョしてゴニョゴニョのいきさつで」 うわっ!ぜひその情報を共有させてくださいっ!とお願いしてこちらの欲しい情報を分けて頂きました。 これで「夢の」横向対面シートに♪ なのか? ところが構造変更して登録するためにはその改造(つまりシートを新設したり、車体加工をしたり)が必要ですし、それができたとしても本当に構造変更登録が「認証」されるのか?という心配が残ります。上述のように「貨物はムリ」という回答もあったのですから。製作/加工の前に、陸運事務局の検査機関へ資料をまとめて「相談」に行きます。ところが「ダメですね」と一言。横向きはOKなようですです。ところが「貨物用途要件」がこのクルマを型式認証した時と変更になっている可能性がありその条件を全てクリアすることは「貨物としては」難しい、不可能だろう、というのです。上述の見解と符合します。 ええっ!改正されても製造(登録)年によって適用されるのではないのですか?「残念ながら、「用途区分」の要件は『今』を基準にしますのでそれはないのです」とのこと。 八方塞がりです。 やはり諦めて現状のまま使用するしかないようなのです。 検査員の方にもあれこれ別策がないかを考えていただいたようですが、やはり「手」は無いようです・・・ ところでこのモデルは不思議な記述があります。貨物(貨客兼用)の場合、(通常は)後部席は使えば5名乗り+小荷物、畳めば2名+最大荷物というもののですが、このモデルは5名乗車時の積載量が指定されていません。つまり積めませんよ、ということ? これが用途区分の際に引っかかる点だというのです。改正後の表記でこれはないから、とも。ふーん。 あれ?では「これをこうしてごにょごにょ・・・としたら?」「あ、それならOKですね♪」 と一転した展開に♪ それでも心配材料はたくさんありながらですが、一度は「諦めた」こと、ダメ元で進めていくことにします。 最低限の要件を満たす、寸法、構造、強度、難燃性を考慮しながら形状と、造りを考えていきます。 正確な図面化するよりも「現物適合」の部分もありますので考え→仮作→考察→本作→破壊?→再作などを繰り返しながら、コツコツと時間を掛けながら進めていきます。法的要件を全て満たすことはとても難しいですが、1カ所でも引っ掛かればすべてが水の泡、ですから疑問があれば躊躇なく作り直し。法的要件の「読み違い」「勘違い」なども途中で見つかったり、何度も諦めそうになります。 無理なんじゃないだろうか? 精神的なお話。これに限らずの自身の方針は「諦めない」ですが同時に「無理なことには挑まない」です。でも「無理と思える(無理っぽい)ことには挑む」という方針ですから、「完全に無理」ではない限り、まあチャレンジしてみるのもいいんじゃないか?というのがこれまでの生き方です。 もうちょっとやってみましょう。 果たして、検査当日。 なんとか夢の「横向き対面シート」にて検査合格を頂くことができました♪ 構想年数から数えると「長く掛かった」というのがしみじみと実感ですが、「無理ではなく、『無理っぽい』ことは実現できる」という確証を得ることができました。世間では「夢は叶う(deams come true  sは複数?hasのs?…不明)」という言葉がありますが、待つだけの漫然とした夢は滅多に叶わないと思いますので、自分的には「実現できる」の表現の方がしっくりきます。

(2021.7.16)

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