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第7回:宮木南美(声優)

2019/11/6(水)配信

エンタメ調査室は、毎週水曜日更新のポッドキャスト番組です。ゲーム、音楽、スポーツ、アニメなどエンタメ業界で活躍する方々をゲストにお招きして様々なお話をお伺いします。

ゲスト:宮木南美さん(@nami_yk) /  声優 (毎週土曜放送 「カードファイト!! ヴァンガード」新右衛門編 出演中)
パーソナリティ:大木康平(@Unaggy
制作・執筆:藥師神豪祐(@hell_moot

自分のプロダクトを育てる

第4回noteでも話題にのぼった「クライアントワーク」と「独自サービス」の区分が、今回も大きなテーマになりました。

宮木さんにとっては、声優の仕事がクライアントワークに当たり、自ら企画・制作を行うVtuberとしての活動が独自サービスに当たります。大きくこのふたつを(誰にでも見える形で!)行き来しながら螺旋階段を上る宮木さんからは大変貴重なお話を伺うことができました。

副業、ギルド、ギグワーク、様々なバズワードがありますが、これらの新しい潮流の本質は「だれかに与えられた仕事を行うのではなく、自分のプロダクト(サービス)を持ち、これを育てること」にあるといえます。この世界観では、自分のプロダクトによる価値提供が、対価次の仕事という形でダイレクトに評価されることになり、成長を実感することにもつながり、努力によって自分の人生を右肩上がりに進めていくことができます。

また、番組内で宮木さんは楽曲提供や取材などの様々なオファーが来たことを明かしてくれます。プロダクトを育てることの醍醐味の一つは、自分をメディア化させ、様々な展開にたどり着くことができるという点にもありそうです。

自らが権利を持つ

案件を自らハンドリングするという事実上のオーナーシップだけでなく、法的権利を自らが保有することが重要と言えるでしょう。

マーベルなどのアメコミが、なぜ縦横無尽に展開することができ、迅速な意思決定で次々に手を打てるかというと、それは、著作権を一元管理しているからです(その反面、個別のクリエイターに光が当たらないという側面はあります。この辺りのジレンマは、日本でいえばゲームクリエイターが同様の状況にあるといえます。)。

また、スポーツでいえば、Jリーグも、DAZNと契約したタイミングで、試合動画等のライツを自らが保有することになりました。また、Bリーグ機能と権限をリーグに集約したことを意識したスキームを組んでいます。権利の一元管理には、ガバナンスのコストも下がることや、データが集まるためデジタルマーケティングに活かせることなど、様々な効果がありますが、マーベルの場合と同様に、試合の映像をリーグ自ら制作し権利を保有する(ネット配信のライツだけはソフトバンクが持っています。)ことで、試合内容をすぐにSNSで展開するなどの柔軟な利用をすることができます。

Vtuber活動をする際にも、絵を書いた人、制作する人、出演する人などで権利を分割していたら、様々な展開に合議を必要とすることになってしまいます(もちろんアニメの製作委員会のように窓口(意思決定者)を設けることにより、ある程度は解消されるかもしれませんが、それでも派生する活動の権利処理のすべてが予め合意できるわけではありません。)。このように、権利をクリエイター本人が握ることは極めて重要になるでしょう。その反面、協力者が必要となり、これを自ら選定する必要が出てくるため、第4回noteで触れた「芸能事務所」型と「エージェント」型と同様の論点が出てきそうです。

とにかくやってみる

マーケットを知るためには、積極的に価値提供者になる必要があり、また、積極的に消費者になる必要もあるでしょう。

動くと課題が見つかり、修正することができます。試してみないことには成長はありません。他者評価に晒されるという経験は、自分を成長させるにおいて必須の試みなのでしょう。また、とにかくやってみる時に重要なことは、成果をアーカイブすることではないでしょうか(これまでの仕事をアーカイブ化することの重要性は、第5回noteでも触れたところです)。

目標を宣言する

価値が宿るのが物語であるとしたら、目標を宣言することは非常に重要になりそうです。宣言した目標に近付いていることが物語になるからです。今回も、宮木さんが比良坂さんのアニメを作りたいと宣言されたことで、私たちも応援する喜び応援することの価値が増えたように感じました。

終活としてのVtuber活動

宮木さんは、Vtuber活動を「終活」と表現します。自分の中の納得を得ることや、自分の中の可能性を広げるために、プロダクトを自分の分身として育てています(非常に示唆に富む発言をされていますので、ぜひ配信でご確認ください。)。第3回のnoteでも触れたように、限られた「命」の儚さや、やがて死んでしまうことについての虚しさを語るのも、エンタメ業界で活躍される方々の共通点であるかもしれません。

なにはともあれ、番組をぜひお聴きください…!


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