お金、いざというときのために

以前、働いていた会社の女性社長から『人が一生に稼ぐお金の額はだいたい決まっている』と言われた。つまり、就職しないですぐに結婚したような人は、ある程度の年齢になって働かざるを得ない状況に陥り、それは悲惨なことだ、と。

その理論でいくと、40歳まで独身を貫いて働いていた私は、結婚後はあまり働かないでもよくなる。紹介された結婚相手は16歳年上の会社経営者だし、もうお金に関して苦労はしなくていいのかな、と漠然と思っていた。

しかし、とんでもなかった。出産後すぐに夫の会社の雲行きが怪しくなった。取引先が倒産したとかで夫のせいではないのだが、私の貯金約100万円は全部とられた上に、給料がゼロのときが続き、子供が小さいので私が働きに出るわけにもいかず、途方にくれた。子供がいなければ離婚したのに、と考えては泣く日々だった。

結局は、私が元住んでいた家に引っ越し、家賃をゼロにすることでなんとか解決した。子育ても大変であったが、”お金がない”というあのときの精神状態は最悪だった。それで、”お金はあるに越したことはない”という結論に達した。子供が保育園に通いだしてから、私も働きだし、毎月貯金・株式投資に邁進する日々を送っている。

今思えば、幼い頃から、共働きの両親の元で育ち、お金に関する苦労はしてこなかった。結婚して貧困に苦しんだことで、初めてお金の大切さに気づけたような気もする。だから、小学1年生の娘にも習い事はさせていないし、洋服はもらいものばかり。私自身も、お金を使うことに興味がなくなってきた。65歳の夫もいつまで元気で働けるか分からないので、娘には中学・高校も公立に通わせるつもりだ。大学も、本人がどうしても行きたいと言えば、国公立大学に奨学金で行ってくれ、と言おうと思っている。

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