Rubia分析シリーズ #1 Rubia歌詞考察
崩壊3rdに生かされているオタクです。Rubia分析シリーズを始めます。このシリーズは全5回構成で、第1回でRubiaの歌詞考察、第2回~第4回では公式ライブにおけるRubiaの演出を分析し、第5回で全体の内容を総合し、そこからフカの精神的変化や前身の軌跡を考察します。
今回は第1回としてRubiaの歌詞考察を行い、次回以降はこの歌詞考察を元に話を展開します。
シリーズの予定
#1 Rubia歌詞考察 (前置き)
#2 星歌流音Rubiaの演出分析
#3 純真なる夢歌Rubiaの演出分析
#4 林海綺律Rubiaの演出分析
#5 Rubiaの経時的変化から分析するフカの精神的変化
はじめに
この記事では崩壊3rd公式アニメ「渡世」の挿入歌「Rubia」の歌詞を引用します。引用目的は「Rubia」の歌詞考察および崩壊3rd公式ライブ全3回における「Rubia」の演出意図の分析です。
Rubia歌詞考察
まず1番から歌詞を順番に追っていきましょう。
フカ視点、キアナ視点で見る「命の花」
"咲き誇る命の花" "遠くて近くに" とは何を意味するのでしょうか?これはフカにとっての「命の花」、キアナにとっての「命の花」という2通りの解釈が可能だと思います。
フカにとっての「命の花」: 近くにあれど届かない/愛したくとも手を伸ばせない花
フカはこれまでの人生の中で多くの愛別離苦を経験しました。それは「自分のせいで犠牲になった人たちとの別れ」、そして「圧倒的な寿命の違いによる別れ」です。前者の例は立雪、伏犠と女媧。後者は数えきれない程です。
どれだけ強大な力を持っていても、果てしない時を生きることができても、力不足や歳月の流れによってフカは愛する者を失い続けた。
そんなフカにとって、近くて遠くにある、咲き誇る命の花とは「守りたくとも守れなかった友人」「愛したくとも失うことを恐るあまり、手を伸ばせなかった人たち」を意味するのだと思います。フカは彼らと共に「拠り所」に宿りたかった(しかし、できなかった)。
キアナにとっての「命の花」: 勝利のために自分を犠牲にする花
キアナは22章までの物語で多くの痛みを経験しました。そんなキアナにとっての「近くて遠くに咲き誇る命の花」とは何かのために自分を犠牲にし、キアナから離れていった者たちではないでしょうか?
「芽衣を傷つけないために脳内のバイオチップを破壊したブローニャ」
「キアナを救うために命を燃やし切った姫子」
「世界を守るために自分を犠牲にしようとしたキアナ自身」
「キアナを救うために再び律者の力を取り戻した雷電芽衣」
「使命のために自己犠牲を選んだフカ」
側にいたのに自分を顧みずキアナから遠ざかっていった者たちと、かつての自分自身。それがキアナにとって「近くて遠くに咲き誇る命の花」なのだと思います。だからこそキアナは愛する人たちも世界も手放さないことを決意した。そして、自分と愛する者が帰ってくるための「家」「拠り所」を作り守ろうと決めたのではないでしょうか。
フカの無力感、恐怖心
かつて愛した者は去り、その痕跡すら歳月という雨に押し流され消え去る。かつて愛したあなた(友人たち)も、今こうして愛している友人たちも、結局は私(フカ)の元から居なくなってしまうのだろう。どれだけ抗おうとも私は独りぼっちだ
フカの記憶と心に触れ、その上でキアナはフカに呼びかける
キアナは夢の中や渡世の羽を通してフカの過去を追体験してきました。その度にフカの抱える使命を知り、同時に彼女の無力感、諦観、深い悲しみにも触れてきました。けれどその上でキアナは世界もフカも救おうと、共に未来を歩もうと呼びかけます。
再び、「命の花」に焦点が移動。ここではキアナの決意と呼びかけが表現されていると思います。(ここは解釈が難しく、ボリューム不足になってしまいました)
フカの願い
フカは途方もなく長い人生の中で多くのものを失い続け、諦め続けてきました。けれど彼女にとってそれは「本当は失いたくなかったもの」に他なりません。「私はあなたたちを覚えていたかったし、私のことを忘れられたくなかった。もう何も手放したくない」という、フカがこれまで秘めてきた願いが込められているように感じます。
記憶を辿りフカの元へ向かうキアナ
崩壊3rd公式アニメ「渡世」の中で、キアナは封印の中に自分と識の律者を閉じ込めたフカの元に向かいます。記憶と感情の濁流(川の流れ)を遡り、その根源へ向かう。道中は痛みに喘ぎ凄惨な記憶に瞠目したキアナだが、フカの元に辿り着く頃には鎖が頭に強かにぶつかろうとも決して足を止めない。迷いも戸惑いも消え、ただフカを救うために前に進み、封印に辿り着く。
封印もフカの迷いも断ち切るキアナ
大切な人を何度も何度も失った、そんな悲しみに満ちた輪廻は私が終わらせる(私は嘘をつかない。私は強いから、いなくなったりしない。歳月の流れが残酷であっても、もう独りぼっちにはさせない)。だからどうか私の呼びかけを聞いて、応えて。あなたに伸ばしたこの手をとって。
※アニメ内ではキアナが叫び声と共に拳を振り上げ、フカの封印を破壊する
(挽歌: 人の死を悲しみ悼む歌。葬送の歌)
近くて遠い命の花に手を伸ばし、引き寄せる
封印を壊したキアナがフカに手を伸ばす。あの近くて遠い場所で咲き誇る独りぼっちの花に。フカはその手を取ろうとするが、躊躇って手を引っ込める。封印が破壊されてしまえば(自分がキアナの手を掴んでしまえば)律者が復活してしまうから。けれどキアナは離れようとするフカの手首を掴んで強引に引き寄せる。もうキアナは誰も犠牲にしないと(世界もフカも救うと)決めたから。自己犠牲の上に成り立つ勝利を拒絶したから。
大切なものを抱きしめられるようになったフカ
かつてのフカは大切な友人を守れなかった。崩壊からも、時間からも。それらは長い時を生きるフカから愛する者を容赦無く奪い去った。そしてフカは喪失を恐れるあまり人を愛することを拒むようになった。近くにあるのに手を伸ばせない/守ることができない(遠い)命の花を抱きしめることを諦めていた。
しかしキアナの必死の呼びかけにより、フカはもう一度「近くて遠い命の花」に手を伸ばし、抱きしめることができるようになった。そして愛するものを忘れないように、愛する者から忘れられないように足を踏み出した。
命の花を諦めない決意
世界や人に翻弄され続け、近くに咲いていた命の花を失った2人。しかし彼女たちは愛する人も世界も諦めず全てを救う決意をした。だからこそ愛する者たちが帰るための「拠り所」「家」を守り続けるのだろう。
渡世
果てしない歳月が流れ、浮世を守り続けた。まだ私(フカ)の道は続いていく。けれどもう命の花を諦めない。手を伸ばし、大切なものを抱きしめて生きていこう
まとめ
Rubiaの歌詞考察を最後に簡単に纏めて終わります。
・この歌はキアナがフカを救い、フカが再び愛するものを抱きしめる決意をする様子を描いたものである。(崩壊3rd公式アニメ「渡世」の内容とほぼ等しい)
・かつてのフカにとっての「命の花」とは、近くにいたのに守れなかった(遠くに行ってしまった)大切な人/喪失への恐怖から愛したくとも愛せなかった(側にいたいのに自ら遠ざけてしまった)人である。
【引用元】
崩壊3rd公式MV「渡世」挿入歌「Rubia」
制作: HOYO-MIX
作曲/プロデューサー:Zoe
Vocal:ZHOUSHEN
作詞:TetraCalyx
編曲:Gon/Frex
レコーディング:Aaron xu
MIX/マスタリング:Gon
https://youtu.be/_kTZrIdilRY?si=mKmEFlRZHdxZqB53
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