【FP3級】②リスクマネジメント

保険の基本

日常生活における、人・物・損害賠償に関するリスクに備えるための対策。

公的保険:※①ライフプランニングと資金計画で学習
私的保険:(第1分野)生命保険
     (第2分野)損害保険
     (第3分野)それ以外

▼収支相等の原則
集めた保険料の総額と支払った保険金(+経費)の総額は等しくなる。

▼大数の法則
データ数は多く集めるほど一定の法則が明らかになること。


契約者の保護

▼保険契約者保護機構
保険会社が破綻した場合に契約者を保護するための法人。

【補償内容】
生命保険    :責任準備金の90%まで
自賠責・地震保険:保険金の100%まで
自動車・火災保険:保険金の80%まで
        ※破綻後3か月間は保険金の100%
その他の保険  :保険金の90%まで

💡ポイント
少額短期保険業者(保険期間が1年以内、1,000万円以内)や共済は加入対象外。

▼クーリングオフ制度
一定期間内であれば書面により契約を解除できる。
※「申込日」または「クーリングオフ書面の交付日」のいずれか遅い日を含めて8日以内

【解約不可のケース】
☑保険期間が1年以下の契約
☑医師の診査を受けた場合
☑法人の契約 など

▼ソルベンシー・マージン比率
大災害など想定外のリスク時に、各保険会社が対応できるか判断する指標。
200%を下回ると金融庁による早期是正措置が発動される。

💡ポイント
ソルベンシー・マージン比率は高い方が安全性が高い


第1分野:生命保険

生命保険には死亡保険、生存保険、生死混合保険の3種類がある。

▼登場人物
保険者  :保険会社
契約者  :保険料を支払う人
被保険者 :保険の対象になる人
受取人  :保険金を受け取る人

▼支払う・もらえるお金
保険料  :支払うお金
保険金  :死亡・障害・満期でもらえるお金
給付金  :入院・手術などでもらえるお金
解約返戻金:途中解約時に戻ってくるお金


保険料の仕組み

保険料は、3つの予定基礎率に基づいて算定される。

①予定死亡率 :統計に基づく死亡率
       →上がると保険料は高くなる
②予定利率  :保険会社の運用利回りの見込み
       →上がると保険料は低くなる
③予定事業費率:保険会社の事業運営の経費
       →上がると保険料は高くなる

保険料 = 純保険料(保険金)+ 付加保険料(経費)

有配当保険では余剰金が発生した場合に配当金が支払われるが、保険料は無配当保険より高い。


契約手続き

▼告知義務
保険の申し込み時に健康状態や傷病歴について聞かれた場合には、事実を答える義務がある。
告知義務に違反があった場合、保険会社は契約を解除できる。

▼責任開始日
保険会社が保険金などの支払いを開始する日のこと。

【開始条件】
☑保険の申込み
☑告知または医師の診査の完了
☑初回保険料の払込み

💡ポイント
保険は必要保証金額分だけ加入すれば良い。
支出総額(生活費や必要資金など)- 収入総額(公的保険や保有資産など)= 必要保証金額


生命保険の種類

定期保険

目的:遺族の生活保障
契約期間内に死亡・障害の場合に保険金が支払われる保険。

☑保険料は掛け捨てで安い
☑満期保険金はなし
☑解約返戻金は期間の真ん中が一番高い

平準定期保険:保険金が一定
逓減定期保険:保険金が一定期間ごとに減少する
逓増定期保険:保険金が一定期間ごとに増加する
収入保障保険:保険金が年金形式で支払われる


終身保険

目的:葬儀や相続対策など
※保証が一生涯続く

☑保険料は貯蓄性があり高い
☑解約時に解約返戻金を受け取れる
☑保険料は男性より女性の方が安い

【定期保険特約付き終身保険(更新型)】
主契約:終身保険
特約 :定期保険
終身保険の上に定期保険がのった保険。
更新時の告知は不要だが、保険料は更新毎に高くなっていく。


養老保険

保険期間中に死亡した場合には死亡保険金、満期時に生存していた場合には同額の満期保険金を受け取れる保険。

☑保険料は貯蓄性があり高い
☑生死を問わず保険金を受け取れる


そのほかの保険

▼総合福祉団体定期保険(Aグループ保険)
契約者 :企業などの団体
被保険者:役員・従業員
保険料 :全額法人が負担
受取人 :被保険者の遺族または法人

▼団体定期保険(Bグループ保険)※任意加入
従業員が独自に加入するよりも保険料が割安。
契約者 :従業員
被保険者:従業員
保険料 :自費

▼こども保険(学資保険)
子どもの入学・進学祝金や満期保険金を受け取れる。
契約者 :
被保険者:子(出生前でも加入可能)

💡ポイント
親が死亡・障害となった場合は以後の保険料が免除されるが、祝金や満期保険金を受け取れる。

▼変額保険
運用実績により保険金や解約返戻金が変動する。
☑変額保険の資産は特別勘定で運用される
☑死亡保険金には最低保証あり
☑解約返戻金や満期保険金は最低保証なし


個人年金保険

契約時に定めた年齢に達すると年金を受け取れる制度。

【受け取り期間の制限なし】
終身年金:被保険者が生存している限り受け取れる
    ※保険料は男性より女性の方が高い

【受け取り期間の制限あり】
有期年金:被保険者が生存している限り受け取れる
確定年金:被保険者の生死に関係なく受け取れる

受け取り期間開始前に被保険者が死亡した場合は、既払込保険料相当額を死亡保険金として受け取れる。

▼変額個人年金保険
運用実績により保険金や解約返戻金が変動する。
☑死亡保険金には最低保証あり
☑解約返戻金や満期保険金は最低保証なし


特約

生命保険の主契約:死亡や生存に対する保障
生命保険の特約 :病気やけがなどに対する保障

💡ポイント
特約は単独契約できず、主契約に付加して契約する。
主契約を解約すると特約も解約される。

▼特定疾病保証保険特約(三大疾病保証保険特約)
対象:がん・急性心筋梗塞・脳卒中
☑生存中でも保険金が支払われる
☑保険金を受け取った時点で特約は消滅する
 ※死亡保険金は支払われない

💡ポイント
保険金を受け取らずに死亡した場合は、死亡原因を問わず受け取れる。

▼リビングニーズ特約
対象:余命が6か月以内の診断
☑生前に死亡保険金が前倒しで支払われる
☑保険料の別途負担は不要

▼先進医療特約
対象:療養時に先端医療に該当する治療
☑健康保険が使えない高額な治療を保障

【入院系の特約】
災害入院特約   :事故によるけがで180日以内に入院した場合
疾病入院特約   :病気で入院した場合
生活習慣病入院特約:成人病(※)で入院した場合
(※)がん・心疾患・脳血管疾患・高血圧性疾患・糖尿病など


保険契約の見直し

▼保険料の支払いが困難になった場合

【自動振替貸付制度】
解約返戻金を限度に自動で保険会社が保険料を立て替えてくれる制度。

【契約者貸付制度】
解約返戻金の一定範囲内で保険会社から資金の貸付けを受けられる制度。

▼保険料の払込みを停止したい場合
加入中の保険の解約返戻金をもとに払済保険や延長保険に変更できる。
※どちらもリビングニーズ特約以外の特約は消滅する。

【払済保険】
保険期間:そのまま
保険金額:下がる

【延長保険】
保険期間:短縮
保険金額:そのまま

▼保険内容を変更したい場合

【増額・減額】
増額(特約の付加)や減額が可能。
特約を付加する場合の保険料は、付加時の年齢で計算される。

【契約転換制度】(下取り)
現在契約している保険の責任準備金や配当金を利用して、新しい保険に加入できる制度。
転換する場合には再度医師の診査が必要。


生命保険の税金

1年間に支払った生命保険料は、一定額を所得から控除できる。

【限度額】
所得税:40,000円
住民税:28,000円
※一般生命保険・個人年金保険・介護医療保険でそれぞれ控除可能

受取り時には一時所得(一時金)や雑所得(年金)となり、受取人により税金がかかる。

①契約者が亡くなった  :相続税

【契約者が生存の場合】
②契約者が受け取った  :所得税
③契約者以外が受け取った:贈与税


非課税となる保険金

▼病気やケガに基因して支払われる保険金
☑高度障害保険金
☑三大疾病(特定疾病)保険金
☑就業不能給付金
リビングニーズ特約保険金
※死亡時には課税

▼損害補填の目的で給付される給付金
☑入院給付金
☑手術給付金
☑がん診断給付金
☑先進医療給付金


法人契約の生命保険

契約者が法人で被保険者が従業員・役員になる保険のこと。

【法人保険の経理処理】
貯蓄性のある保険(受取人が法人):資産計上
掛け捨ての保険(受取人が従業員):損金計上

▼養老保険のハーフタックスプラン
契約者 :法人
被保険者:役員・従業員
受取人 :(満期)法人
     (死亡)遺族
経理処理:1/2資産計上(保険料積立金
     1/2損金計上(福利厚生費


第2分野:損害保険

事故や災害など、偶然のリスクで発生した損害を補填するための保険。

保険の目的:保険をかける対象
保険価額 :対象の値段
保険金額 :契約の上限
保険金  :実際に支払われる金額


火災保険

火災等による建物や家財などの損害を補償するための保険。

▼住宅火災保険
火災・落雷・爆発・風災・ひょう災・雪災
消防活動による水濡れ

▼住宅総合保険
+水害・盗難

💡ポイント
地震・噴火・津波は火災保険では対象外。

【失火責任法】
火災で隣家を炎症させたときに損害賠償責任を負わなくてよい。
※重過失・故意の場合は損害賠償が必要。
※隣家の家事で自分の家が燃えても保証されない。

▼地震保険
火災保険で対象外になる地震・噴火・津波に備えるための保険。
単独では加入できず、火災保険に付帯して加入する。

☑保険金額は火災保険(主契約)の30~50%
☑上限:建物5,000万円、家財1,000万円

💡ポイント
保険会社ごとの保険料の違いはない。
所在地や建物の構造による割引制度があるが、重複適用は不可


自動車保険

▼自賠責保険(強制加入)
対象:対人賠償(相手の被害者)のみ

【限度額 /人】
死亡    :最高3,000万円
高度後遺障害:最高4,000万円
傷害    :最高120万円

▼自動車保険(任意加入)

【対人賠償保険】
自賠責保険の支払いを超える部分を補償。
※身内は対象外

【対物賠償保険】
他人の財物に損害を与えたときに損害賠償の支払いを補償。
※家族の財物は対象外

【人身傷害補償保険】
自分の過失部分も含めて損害額全額が支払われる。
示談を待たず支払われる


傷害保険

けがによる通院や入院・手術費用(病気は対象外)を補償するための保険。

▼普通傷害保険
国内外を問わず日常生活で起こる傷害に備える。

【家族障害保険】
加入者+家族(別居の未婚の子も含む)も対象

▼国内旅行傷害保険
国内旅行中(出発から帰宅まで)の傷害に備える。
※細菌・ウイルス性食中毒も対象

▼海外旅行損害補償
海外旅行中(出発から帰宅まで)の傷害に備える。
※細菌・ウイルス性食中毒も対象
地震・噴火・津波による傷害も補償


賠償責任保険

偶然の事故で損害賠償責任を負ったときに補償するための保険。

▼個人賠償責任保険
他人をけがさせたり物を壊した場合に備える。
生計を共にする家族(別居の未婚の子も含む)の事故も補償

【対象範囲】
○売り物の破損
○ペットが他人に負わせたケガ
○自転車運転中の事故
×預かり物の破損
×自動車・原付
×業務中の事故


損害保険の税金

1年間に支払った地震保険料は、一定額を所得から控除できる。

【限度額】
所得税:全額(最高50,000円
住民税:半額(最高25,000円

損害補償の保険金は、損失の補てんを目的としているため原則非課税。
※傷害保険の死亡保険金などは生命保険の税金と同じ扱い


第三分野の保険

生命保険にも損害保険にも属さない保険のこと。
主に入院や傷害、介護、特定疾病に対して保険金が支払われる。

▼医療保険・入院特約
☑保険料は被保険者の年齢や性別によって異なる
☑1回の入院による給付金には支払限度日数がある

💡ポイント
退院日の翌日から180日以内同一の疾病により再入院した場合、前回の入院日数と合算される。

▼がん保険・がん入院特約
診断給付金:診断されたら支払われる
入院給付金:初日から日数無制限で支払われる
手術給付金:支払い回数に限度なし

【責任開始日と免責】
責任開始日から90日(3か月)などの免責期間があり、この期間中にがんと診断されても契約は無効になる。

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