じゃんけん

 暑い、と半袖デビューをする人が増えてきたが、暑がりの僕は少し前からデビュー済みだ。


 木曜日なのに特にやることはない。出かける用事があるのは、月火金土だけ。それも夕方から始まって、向こうの都合のいい22時には用事が終わる。午前なんて、久しくそれを示す針は見ていない。たまに来る友人からの連絡はたいてい結婚の報告だし、特別こちらから連絡することもない。夏か冬に、遠出の約束をするくらいだ。頑張ってな、と言われることなんて織り込み済みなのに、それでも旅の帰り際は嬉しい。頑張ろう、当たり前のことを何度思ったか。

 何でもかんでも検索すれば情報なんてすぐ手に入るのに、そんな時間の短縮をする必要はない。七分丈のズボンに半袖、去年か一昨年に買った大きめのサンダルですぐに完成した姿は、道を歩く年配には勝つ程度の速さでふらっと本屋に行った。
 大学で天文学を学んだ理系には本の知識など全くなく、小説の定義すらわかってないし、面倒くさいわけでもないのに調べもしない。何か考えてるでもなく、何も考えてないわけでもなく、ただ本屋の中にいた。集めている漫画が発売されてないことを知った後、結局は天文学のコーナーに来て、大学時代の教授が出している本を懐かしく眺めるだけだった。ただ、本屋の中にいた。

(ここで三分の一です。)
(途中、ん?ってなる話の展開ですが、ラストは納得してもらえると思います。)

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