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【洪水浸水想定区域図】計画規模降雨と想定最大の違いについて

防災・減災対策を検討するにあたり、新温泉町において非常に重要視されている洪水浸水想定区域図について説明します。

一般的なお話は兵庫県が公表する「洪水浸水想定区域図に関するQA」 ( https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks13/documents/qa20200831.pdf )を元に記載しています。


さて、まず「洪水浸水想定区域図」についてです。

洪水浸水想定区域図とは

洪水浸水想定区域図は、水防法第 14 条及び同法施行規則第2条に基づき、洪水時の円滑かつ迅速な避難を確保し、又は浸水を防止することにより、水災による被害の軽減を図るため、当該河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域と水深などを表示するもの

https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks13/documents/qa20200831.pdf

洪水浸水想定区域図には、「想定最大規模降雨」と「計画規模降雨」があります。

新温泉町「想定最大規模の降雨による洪水浸水想定区域等について」( https://www.town.shinonsen.hyogo.jp/page/?mode=detail&page_id=620ee04536572647082479db274d9669


想定最大規模降雨(1000年に一回)とは

「想定最大規模降雨」は、当該河川に過去に降った雨だけでなく、近隣の河川に降った雨が、当該河川 でも同じように発生するという考えに基づき、国において、日本を降雨の特性が似ている 15 の地域に 分け、それぞれの地域において過去に観測された最大の降雨量により設定されています。

想定最大規模降雨(1/1000 年確率規模以上)とは、1000 年毎に1回発生する周期的な降雨ではなく、1年の間に発生する確率が 1/1000(0.1%)以下の降雨である。毎年の発生確率は小さいが、規模の大きな降雨であることを示している。サイコロを6回振れば、「1」が複数回出る場合があることと同じで、1000 年の間にその規模を超える降雨が複数回発生することもある。また、連続して発生することもある。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks13/documents/qa20200831.pdf

つまり、当該河川の近くで観測された最大雨量を含めて考えた場合の最大雨量が想定最大規模です。
また、「1000年に1回」という表現をされるけれども、1年の間に発生する確率が0.1%(1/1000)以下ということなので、1回あったら次は1000年後というわけではありません。


計画規模降雨(30〜100年に1回)とは

国交省が公開し、都道府県が浸水想定区域図を作成する際のマニュアルとなっている「洪水浸水想定区域図作成マニュアル(第 4 版)」( https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/pdf/manual_kouzuishinsui_1710.pdf )においては、以下のように計画規模降雨の作成の目的を示しています。

想定最大規模降雨は、発生頻度がきわめて小さい。企業等が洪水によるリスクを適切に把握し、発生確率に応じた適切な対応を検討するためには、比較的発生頻度の高い外力による浸水想定区域を示す必要がある。このため、水防法施行規則第2条第4項に基づき、計画規模の降雨に基づく浸水解析を実施し、洪水浸水想定区域・浸水深の情報を提供するものとする。また、これ以外の複数の規模の降雨についても浸水解析を実施し、情報を提供することが望ましい。

https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/pdf/manual_kouzuishinsui_1710.pdf p31

さらに、兵庫県の洪水浸水想定区域図QAでは、以下のように示してあります。

 「計画規模降雨」とは「河川整備の目標とする降雨」のことで、河川の流域の大きさや災害の発生の状況などを考慮して、定めるものとされています。
例えば、県内の一級河川の主要区間においては、概ね 1/100~1/200 年確率規模、その他河川では概ね 1/30~1/100 年確率規模としています。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks13/documents/qa20200831.pdf

これに基づいて、町のホームページの「想定最大規模の降雨による洪水浸水想定区域等について」( https://www.town.shinonsen.hyogo.jp/page/?mode=detail&page_id=620ee04536572647082479db274d9669 )では、計画規模降雨を「1/30〜1/100年確率規模」と表現しているのだと思います。


ただし、「河川整備の目標とする降雨」そのものは県がしっかりと公表していますので、町内河川の計画規模降雨の具体的な数字について確定することはできます。
県では、「兵庫県下における河川整備基本方針・河川整備計画の策定状況について」( https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks13/wd15_000000039.html )において、岸田川の河川整備計画を公表しています。

この河川整備計画の中に、岸田川水系における河川整備の目標とする降雨が示されております。河川整備計画上では、味原川は概ね10年に1回、岸田川は概ね50年に1回です。

また、兵庫県CGハザードマップ洪水氾濫条件のページ( http://www.hazardmap.pref.hyogo.jp/HazMapAp/hyogo/hanranjoken.asp?hatp=KZ_S&hnol=19 )では、各河川の詳細な氾濫条件を掲載しています。
複数ありますので、こども園問題に関係する主なものを箇条書きで示します。

  • 岸田川  概ね50年に1回、2日総雨量330mm

  • 味原川・味原川放水路・三谷川  概ね10年に1回、1時間総雨量45mm

  • 久斗川  概ね50年に1回、1時間総雨量53.8mm

  • 久谷川  概ね30年に1回、1時間総雨量93.3mm

  • 田君川  概ね30年に1回、1時間総雨量57.1mm

このようになっています。
また、岸田川水系においては80年や100年で計画されている河川はありませんので、新温泉町における計画規模降雨については概ね10〜50年に一度と表現した方が正確であると言えます。

なお、前述の洪水浸水想定区域図作成マニュアルでは、◯年に1回について以下のように示しています。

① 中頻度(100 年に 1 回程度)の降雨規模(年超過確率の目安:1/200~1/80)
② 中高頻度(50 年に 1 回程度)の降雨規模(年超過確率の目安:1/80~1/30)
③ 高頻度(10 年に 1 回程度)の降雨規模(年超過確率の目安:1/30~1/5)

https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/pdf/manual_kouzuishinsui_1710.pdf p31


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