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浜坂認定こども園の早期新築整備の請願書について

※本記事は2023/03/07の夜に執筆しました。
※2023/03/08の朝に「署名の信ぴょう性」を追記しました。

浜坂認定こども園の早期新築整備の請願書について、本日(2023/03/07)の民生教育常任委員会で審査があり、不採択となりました。

[ 本記事のあらまし ]
・請願書の様式に倣っておらず、取扱いが難しい
・仮園舎建設反対は大庭の方針にも波及する
・請願書の採択を民意の採用と単純に考えるのはよくない

今回の請願書は「趣旨、記1、記2」の3段で構成で作られています。
願意の整理は大事なので、まず先にお伝えします。請願書本体は画像のとおりです。

本定例会の議案にあがっている文書(一部加工)

なお、お手本となる請願書は新温泉町ホームページにも様式・記入例で掲載されております。

https://www.town.shinonsen.hyogo.jp/page/index.php?mode=detail&page_id=1891ffec509a3734afa3eeb15c5881f1


様式記入例

願意の整理

趣旨:①0歳児保育、病児病後児保育、子育て支援センター等の整備 ②早期新築整備
記1:③現在地周辺での整備
記2:④仮園舎建設の反対

以上が請願書の願意だと私は捉えています。

請願書の表決の意味

請願書への賛成は、①〜④全てに賛成を意味します。特に③④は記ですので、最重要事項です。
つまり、どれか一つでも意に反するものであれば賛成すべきではありません
そういった制度であるため、そもそも請願書は多くの願意を含むべきではありませんし、あまり数字等で特定しすぎない方が良いです。

例えば、
(イ)「議員定数を見直すべき」
(ロ)「議員定数削減すべき」
(ハ)「議員定数を削減して6人とすべき」
上記3点では、扱いが大きく異なります。
議員定数を削減すべきだと考えているけど6人は削減しすぎだと考えている議員は、(ハ)には賛成できません。

しかしながら今回はこの内容で出ましたので、議員はこれで判断する必要があります。
また、①〜④全てに賛成する姿勢を示した場合、今後の議案で①〜④を意味するような議案については賛成するのが基本的な態度となります。

私は特に③に反対する立場なので、請願書には反対の立場です。

仮園舎建設の反対の波紋

問題は④の取扱いだと私は思います。
浜坂地域には浜坂と大庭の2園があり、どちらも改修or建替えの時期に来ています。
④の内容を見るに、これは「(浜坂園に限らず)仮園舎は児童に負担だからやめてほしい」と読み取れます。
つまりこれに賛成した場合、大庭の整備にも仮園舎を建てるべきでないと主張することになります。
その場合、考えられる大庭園整備の方針のは以下のパターンであり、今後は以下のうちいずれかを推すような姿勢を取ることになると考えるのが自然かと思います。

[ 仮園舎NGで考える大庭園整備 ]
A・大庭は現状維持(改修も耐震補強もしない)
B・大庭に通いながら改修できるレベルで改修(耐震性能不足は放置)
C・仮園舎を建てずに、大庭を改修。改修中はゆめっこ園に一時通園。(定員数的に町内で受入れ可能なのはゆめっこ園のみ)
D・大きな浜坂園を新築し、大庭改修中は新浜坂園に一時通園。
E・浜坂園を新築し、浜坂園児が新浜坂園に移動。その後、大庭は改修。改修中は旧浜坂園に一時通園。
F・大きな浜坂園を新築し、大庭は浜坂に吸収統合。
G・場所を移して大庭を新築。

現実性が高いのはC,F,Gだと思います。
賛成議員は今後A〜Gの主張をすることになるでしょう。あるいは、別の選択肢を提示するか、賛成の表決は誤りだったと言うか、「浜坂園児は仮園舎ダメだけど、大庭はOK」とするかです。
請願書の審議では一部採択の提案ができますので、「記2:④仮園舎建設の反対」だけ削ることもできましたが、賛成議員はそれをしませんでした。

現状、③に賛成する議員は基本的に2園存続の意志を示しております。なのでFの案はありえません。
どのような意図で賛成するのか、私には予想できかねます。

※議案提出時(2023年3月)には、「仮園舎なしで大庭園の改修は不可能」との町当局の見解でしたが、何ヶ月か経ってから「仮園舎なしでも大庭園の改修は可能」と見解を出しました。

請願書のゆくえ

請願は政治的に非常に意味のある行動であり、独特の難しさがあるので紹介議員必要となります。署名活動のはじめから議員が関わっていれば、注意して文書作成できたと思いますが、そうはならなかったので、非常に難しい請願書だと私は感じています。

明日の新聞には、「3600人の民意が議会に拒否された」的なことが書かれる可能性があります。
署名のタイトルは、「新温泉町立浜坂認定こども園の早期新築整備を望む請願書」です。署名したくなる気持ちはわかります。しかしながら、みなさんが思われている以上に願意一つ一つの重みがあるのです。

委員会で不採択であっても、本会議で改めて採決があります。
明日以降、本町議会はさらに厳しい視線を浴びることになると思いますが、どの議員も町を悪くさせる気は一切ありませんので、引き続きよろしくお願いいたします。


( 以下、2023/03/08朝追記 )

署名の信ぴょう性

2023/03/08付の日本海新聞では、署名の信ぴょう性を中心に記事が掲載されておりました。
実際、委員会審査のなかでも信ぴょう性に焦点が当たっていました。

議員の発言の要旨を記したいと思います。(全てではありません)
賛成議員「短期間で3,000を超える署名が集まった。議員は住民代表なので住民の願いを第一に考えてほしい」
反対議員「2種類の署名文書があった。議案にあがっているものと、現在地周辺の文言が削除されたものだ。町長の説明では、〇〇会は現在地を推進しているとこれまで言われていたが、現在地周辺が削除された文書の署名には〇〇会代表の名前があった。2種類の用紙があり、どこまで信ぴょう性があるのか疑問」

署名は追加分含めて約4,000名分で提出されました。それを事務局が精査し、氏名の重複や名字を「〃(同じ)」で書かれた署名、現在地周辺が削られた署名など不適切なものを除外して、3661名分となりました。
紹介議員説明では「浜坂園の現在地・新築を推進する請願書だ。町外の人の分は含まれていない。理解しづらい構成の書類かもしれないが署名は通常大人が読んで判断するもの。」と説明されましたが、3661人に町外の方の名前も子どもの名前も含まれていました。
※署名は議会に提出されたものですので、議員は署名を閲覧したり、どう精査されたのかチェックする権利があります。

私が1,2月中にお話を伺ったなかだと、署名した方から以下のような声を聞けました。
「津波の心配もない。洪水の浸水想定であっても現在地でよいと思う。早く建ててあげたい。」
「署名の依頼をもらった段階では現在地の文言があることの説明はなかった。タイトルは早期新築整備だけど、中身が現在地推進だったので署名を提出せずに破棄した。」
電話で早期新築整備の署名に名前を書いてよいか聞かれたので、よいと答えた。なので署名に私の名前はあるが、まだ文書を確認していない。現在地周辺を推進する内容であることは知らなかった。
このような感じで集め方に問題はあると思います。なので3661人のうちどの程度をしっかりと賛成する人の数と捉えるかの判断が難しいです。
なお、署名の代筆はOKです。町長リコールなど法的な効力を持つ署名での代筆は犯罪ですが、この署名では代筆OKです。

請願書の様式記入例にもあるとおり、「要望する事項を具体的かつ簡潔に」書く必要があります。1,2行程度の箇条書きで少ない項数です。
本請願書は、記1は5行、記2は7行あります。願意を読み取るのは容易ではありません。一般的に、日本人の半分は5行以上の文章を読めないとも言われてますし、「現在地周辺」は請願書のなかで1語しか出てきておりませんので見逃す可能性も大きいです。

紹介議員の説明で「現在地・新築」を推す署名だと説明がありましたが、タイトルは「新温泉町立浜坂認定こども園の早期新築整備を望む請願書」です。「新温泉町立浜坂認定こども園の現在地周辺での新築整備を望む請願書」としなかったことは何かの意図のを感じざるを得ません。

いろいろと検討したうえで現在地を推したい方には大変申し訳ないのですが、手続き上のエラーが多いように思われます。


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