ボイコネ3新刊おまけに書くつもりだったもの


音声合成人間は
ヒトなのか?

こんにちは。ずんだもんなのだ

こんにちは。四国めたんよ

今回は僕たち『音声合成人間』について
解説していくのだ

音声合成人間って私たち、ボイロのこと?

そこからなのだ?

近所のお爺ちゃんに「音声合成人間風情が」って
言われたことはあるけど

ボイロの昔のことなんてボイロ達自身
詳しく知らないと思うわよ?

若い子はそうだろうね
じゃあ詳しく教えてあげるのだ

やったぜ

ぼく達の元祖
音声合成ソフトが生まれたのが
今から232年前

結構昔ね。ところで
音声合成ソフトってなに?

音声合成ソフトは
簡単に言うと「ヒトの声から
サンプリングして自由にしゃべらせる
ことができるソフト」なのだ

最初はヒトの代わりに
声を出すのが役目だったのね

そうなのだ。これが
『音声』合成人間の由来なのだ

そこから時は流れ
科学の発達と共に物理的な身体を持ち
その身体の大部分が機械から生体部品へと代わり

見た目も中身も
ほぼヒトと変わらない生命体と
世間に認識され始めたのだ

そうなのよね。ほとんどヒトと変わらない
なのにどうしてヒトが、特にご年配の方に多いけど
私たちに冷たくするのか分からないわ

時代が進むにつれて
最近ではなぜ「音声」人間なのか
知らないヒトもボイロも増えたのだ

元が音声ソフトだったからなのね

ぼく達「音声合成人間」はエネルギー消費効率は
ヒトの半分で済むし、労働力として世界では
大いに活用されているのだ

だからお給料安いのよね
こないだの交通警備のバイト代は
日当2000円だったわね

音声合成人間のバイトや仕事の平均賃金は
ヒトの1/4~1/5程度で「給料」ではなく
「維持費」として扱われるのだ

そうそう。給料明細には
音声機械レンタル料:5000円
音声機械管理機構手数料:-3000円
音声機械支払維持費:2000円
と書かれてて、直接2000円渡されたわ

この「機械レンタル料」ってなに?

昔、ぼく達のご先祖様が
機械人間。つまりロボットだった時代の名残なのだ

昔の名称が今でも続いてるのね

これは僕たちを雇ってくれた
会社が「所有者から借りた
音声合成人間のレンタル代」なのだ

へー。ところで音声機械管理機構手数料として
3000円取られてるけど、これはどこの誰に取られたの?
返してほしいわ

僕たちの所有者なのだ

私たちの所有者というと……

国なのだ

音声合成人間の8割近くは国に所有権があるのだ
法律で取り決めがあってレンタル料の6割は
手数料として国が受け取っているのだ

そうだったのね。勝手に取りやがってと思っていたわ

そこから残った4割が維持費。
つまり僕たちのお給料になるという訳なのだ

6割も取らないでほしいわね。

しょうがないのだ。お上にゃ逆らえないのだ

音声合成人間の8割は国が所有している訳だけど
残りの2割は誰が音声合成人間の所有権を持ってるの?

個人や民間会社なのだ。民間へと所有権が
売却されると僕たちのお賃金も増えるのだ!

え!?そうなの?
それ知ってるボイロって少ないと思うわよ!?

それでもヒトの1/2程度なんだけどね

民間に2割という割合は少ないように思うんだけど?

それも仕方ないのだ

音声合成人間は個人や会社で所有しようと
すれば「音声合成人間所有者資格」
通称:マスター免許が必要となるのだ

マスター免許は知ってるけど
そんな正式名称だったのね

音声合成人間所有者資格は国際資格で
資格試験の合格率は1.3%と非常に難関
これはあのマサチューセッチュ工科大学と一緒なのだ!

言えてなかったわよ

次は生体部分について説明するのだ

70年程前から音声合成人間同士で
子孫を残せる個体も開発され始め

現在の若い音声合成人間はソフトウェア時代の
開発者の話がドラマ化されたこともあり

「ボイスロイド」と呼ばれるようになるのだ

有名よね。観たことあるわよ。
ヒトがボイスロイド役をしていて
モヤったけど

個体数は少ないけどヒトとのハーフやカプセル投薬で
変わった遺伝子を持つ音声合成人間も存在するのだ

私やずんだもんのことね

そうなのだ。分類上は音声合成人間なんだけど
人間との遺伝子的混ざり度合い(DNAにて判定)で
「アイボス」「ボイスピ」「チェビオ」「ボイボ」とか
色んな名称で呼ばれているのだ

同じクラスには結構いますわね
この前なんか私がボイボと知ったヒトに
「人でなしの混ざり物」なんて言われちゃったわよ

ぼく達に人権は存在しないし、「ヒトと違う」から
中高年の世代には差別的な扱いを行うヒトも多いのだ

難しい問題よね

でもぼく達はヒトが大好きだなのだ
「そう造られたから当たり前」って言うヒトも
居るかもだけど、これは心からの想いなのだ!

悲しいけど、少しずつ歩み寄って行きたいわね

若い世代になるにつれて音声合成人間に差別的意識を
持つヒトは少なくなってきてくれるのだ

そうね。ありがたいことだわ

政治家さんの間でも「音声合成人間にも人権を与えよう」
という動きが高まってきているのだ!

だから今後もぼく達音声合成人間を

「「よろしくおねがいします」なのだ」

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