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私と 役満ボディー


 役満ボディーって呼ばれるようになったのは、麻雀プロになってからだ。役満とは、麻雀において点数が最も高い役であり、華である。つまり、極上の褒め言葉だ。それまでもグラビアのお仕事をやっていたが、いつのまにか倍増し3年間で写真集2冊、トレーディングカード3冊を出すことができた。

 そんな役満ボディーって言われるような体型を得ることができた私だが、自分の体は好きじゃなかった。特に胸がコンプレックスだった。

 胸が膨らみ始めた思春期、気がつけば男性の視線は私の顔ではなく、顔よりちょっと下に行くことが増えた。それは私のただの気のせいかもしれないが、それが嫌になって猫背で隠すようになった。そして身長も高いのが嫌で、さらに猫背になってそれを誤魔化した。猫背を矯正するには何年も時間がかかり、今でも背中は丸まりがちだ。

 モデルになってからは、自分の170cmという高身長は好きになった。身長が高いおかげでもらえる仕事も増えた。でも、胸はマイナスポイントでしかなかったのだ。

 モデルにとって一番大事なのは、"服やコーディネートを綺麗に見せる"ということである。その点において、胸はない方がいいのだ。胸が大きすぎると、自然にそこに目がいく上に、ニットを着れば形が崩れる、胸元の開いたキャミソールやタンクトップを着れば谷間ができてしまう。

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このようになってしまったら、ファッションの写真ではなく、グラビア写真になってしまう。






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このようにロゴが伸びてしまい、全て見えないなんてのは論外である。

オーラスのラス目の親番で真面目な顔してただ麻雀打っているだけなのにコメント欄を見れば


「おっぱいでか!!!」
「"サクラナイ"まで見えないじゃないか!」



というものばかりである。


「おかぴーは胸が大きいから、この服は似合わないと思います」


というスタイリストと編集者の打ち合わせを聞いてから、私はサラシを巻いて撮影に臨むことになった。

幾分かはましになった。


 そのほかにも、物理的に肩が凝ったり、普通の下着屋さんだとサイズがなかったり、男性に口説かれればこいつ体目当てか?とすぐ被害妄想に陥ったりデメリットはいくつかあるが、とにかくモデル活動するにあたっては本当に邪魔でしかなかった。友人から、
「おっぱい大きくていいなぁ〜」
言われることも多かったが、全然嬉しくなかった。

私の中で認識が変わったのは、役満ボディーと呼ばれるようになってからである。グラビアの撮影をし始めてから、ようやく胸に感謝した。

でも、普通の人だったらどうだろうか?

グラビアの撮影を経験する人はほとんどいない。グラビアアイドルたちはみんな昔はおっぱいがコンプレックスだったなんて話を聞く。

おっぱいに別に夢なんか詰まっていないのだ。

役満ボディーは、役満ボディーと呼ばれてから初めて役満ボディーになるのだ。



以下、短いあとがき



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