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グローカルに生きる②‐社会全体のために

○グローカルに生きる

 新たなビジョンが始まろうとする中、次の生き方を意味するような象徴的な日があった。
 2月末、大分県に講演にお招きいただいた。その前日、急遽、NHK青森放送局の取材依頼をいただき、その放映エリアは東北6県を放映予定にしていた。実践は言わずもがな大阪の高槻富田地区で行っていて、その日は講演のため体は九州大分にいて、東北で放映される取材の調整をしていた。
 次年度は、これまで20年以上にわたって毎年の渡米を通して深い体験を経てきた流れに新たに「海外研究」の枠組みも入ってくる。
 
 グローカル:ローカルに深く根づいて独創的に実践を行いながらも、見ている視野も波及するエリアも全国に広がり、かつさらに視野はグローバルなエリアへ広がっている。

 ビジョンの実現方法の整理とともに自らの立ち位置も併せて考えていくタイミングにきていた。そんなことを九州に向かう飛行機で振り帰っていた。

○社会全体のために

 夕方、大分での講演をおかげさまで無事に終え、トンボ帰りで伊丹空港行きのフライトにのり、到着後、9時から取材の打ち合わせだった。
 年度末でただでさえ多忙を極める中で、急遽取材調整も入り、さすがに連日のハードさで身体はなかなかきつかった。また、今回の取材に関しては、これまでの全国放送や関西エリア放送でもないためローカルで活動するエリアの周りにそれほど反響が起こる可能性も少なく、損得勘定でいうならそこから法人への寄付がつながる可能性も低い、そんな直接的なレスポンスがないであろうことも想定していた。
 ただ、今回の取材案件が全国で虐待が増える中、その解決策を提案するもので、放映を通して少しでも、1人でも助かることにつながることになるなら、そんな社会全体にとって必要なことであれば、そのために微力ながらも動くコミットはぶれることなくあった。
 
 岐路に立つとき、いつも現実に次の生き方を試すような何かが起こり、そこから自らのコミットの深さを問いかけられる。今回は、多忙を極め自らの限界点を超えようとする中、それでも社会全体のためにコミットして身を投じ届けられるでしょうか?そんなことを尋ねられるような出来事だった。
 そして、自分にとってのグローカルに生きるということがこうした生き方の連続であることも予感させるものだった。
 ただ、これまでもそうで、こうしたその時々の自分のリミットを越えてきた膨大な蓄積が今をつくっている。
 さまざまな方々の力をお借りしていまできるベストを、そう願い動き始めた。

○ベテラン層と次世代

 
次の日、今回の取材対象となる事業のメンターさんの総括会議があった。
 今年度事業の総括会議に加わり、今回の取材案件について出演依頼、調整も含め相談した。メンターさんは退職後も様々なところでご活躍されていて多忙な中、「虐待を少しでも減らせるなら」と一肌ぬいでくださり動いてくださった。それはさすがの動きで一気に物事が決まっていった。それと同時にうれしかったのはこの数年の組織基盤の強化によって雇用した次世代のスタッフもチームでそのために動いていくという流れが起こっていた。 
 また、その日の夕方に事務所に戻り残っていたスタッフや翌日のプログラムを任せられるスタッフの存在からその移行は組織全体でも根づき始めていると気づかされた。
 人の育ちや責任の移行、世代移行は一気には難しいけれど、でも種をまけばつながってくる。それは休眠預金事業という組織基盤の強化ができる財源があったからこそ実現化できたことでもある。

○次の自身の役割

 
 そこからおのずと見えてきた地域支援における自分の役割は、「持続可能性」をキーワードに組織全体の方向性の決定や統括、イノベーションの源という扇の根元を支えながらも、ベテラン層の力をお借りしつつ数年をかけて現場を次世代へと段階的に移行していくこと。そして、その余白をつくることで自身は次のチャレンジ(博士後期など)へと向かい次の段階へといく準備をしていく。
 
 いつも岐路に立ち、コミットすることで道が開け必然がめぐってくる。
 今回はそこへ多くの人たち、とりわけ次世代の存在を感じたうれしい気づきがあった。
 
 感謝

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