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主に世界と人間について書かれたエッセイたち

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2019年8月の記事一覧

信じれば、望めば、頼れば。

 学校にいる。大学ではなくて小学校にいて、若手成人向けの教育プログラムを開催している。校舎の窓から外を眺めると、三方向とも山で、昨夜から降り続く雨が校庭を濡らしていて、もったりと湿度で重たくなった空気で汗ばみながら、ゆったりとした気持ちで参加者を見ている。今この時間、コンテンツは存在しない。自由に2時間以上の時間が与えられている。しかし、誰一人として持て余している人は存在していない。談笑の輪が大小と、昼寝する人、バスケをする人、1人整理をする人。自由に存在している。つまりこう

「矛盾をおもしろがる」のすゝめ

 人間は根本的に矛盾を抱えている、というのが狼だぬきが取るスタンスの一つである。鏡を前に小さなため息をこぼす女子大生は「痩せてもっとキレイになりたい」し、一方で「ケーキを飽きるまで食べ尽くしたい」とも思っている。卑しい感情の葛藤が、可愛げを奪っているように思える。  その二つの欲望は矛盾している。もう少し丁寧に言うと、相反しているという語感の方がフィットするだろうか。二つの欲望には正しさも優先順位もなく、ただ彼女とその周りに存在している。  別の事例でも、夢追いの起業家だ

誰も良くないし誰も悪くないんだって

 金持ちが「だから貧乏人はバカなんだ」って揶揄する。貧乏人は「金持ちはカネのことしか」と言い返す。もちろん、不特定多数の間接的なやり取りにすぎないが、それでもクラスターの異なる抽象的な人間同士は傷つけ合おうとする。  金持ちにも、なんだかんだランクがある。億万長者、ヒルズ族、IT起業家、資産家、外資コンサル、日系大手、、、あらゆる金持ちが、年収を軸にしたり、別のポイントを引き合いに出したりして、蔑み合う。顕在的にも、潜在的にも。  金持ちにディスられた年収1000万サラリ