情報商材詐欺について考える
情報商材は詐欺だという考えが広まりつつあるように思う。
今日はそのことについて、法律的な視点をまじえながら、話そうと思う。
ただし、私は弁護士ではないので、あくまで自分の考えを述べるだけです。
法律部分に対する質問には、回答できないです。
情報商材とは
例えばこのnoteを有料化した場合、全部を見るためにはお金を払わないといけません。
その有料エリアに書かれていることは、「情報」です。
情報を商品として販売するから、「情報商材」と呼ばれます。
情報商材の問題点
その有料部分に何が書かれているのか、事前にわからないことです。
現実にある物であれば、手に入るものがはっきりしていますよね。
ドラヤキを注文したら、ドラヤキが手に入るんです。
しかし情報は、価値を感じるのかどうかさえ、個々に違いが出てしまう。
ここに詐欺要素を上乗せすることで、「情報商材詐欺」になってしまうわけです。
そもそも詐欺とは何か
詐欺と言われたら、どんなことをイメージするでしょうか。
みんなそれぞれイメージするものが違うかもしれないですね。
詐欺罪の根拠法上は、刑法246条です。
1項、2項に分かれています。
では、1項詐欺が成立する要件を見てみます。
①人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
条文には、こう書かれています。
「人を欺いて財物を交付させた者は」と。
ではこれを分解してみますね。
①欺くこと。
②それによって錯誤に陥ること。
③財物を交付すること。
④それにより財物が移転すること。
詐欺罪を構成する要素、つまり「構成要件」はこれによって満たされます。
少し細かいことを言うと、
欺くことは財産の処分に向けられている必要があります。
財物の交付が求められていますが、交付せずに金品を得たら窃盗ですよね。
別の犯罪になってしまうので、詐欺では「財物の交付」が求められています。
また、詐欺罪は「不作為」(何もしないこと)でも成立します。
釣銭を多く受け取ったのに、返すという行為をしない場合などです。
次に、2項詐欺を見てみます。
②前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
2項詐欺では、「財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者」が対象になっています。
条文に「前項の方法により」と書いているので、詐欺罪が成立するための構成要件は同じです。
「財産上不法の利益を得」と書いているので、対象範囲を広くしたものだと理解できます。
これにより、現実にお金を受け取る場合だけでなく、何らかの役務を免れた場合なども対象に入ってくるわけです。
比較して考える
なかなか判断が難しい場合もありますよね。
そこで、比較して考えるとわかりやすいかなと思います。
もしも欺く行為がなかったとしたら?
先ほどの釣銭の話で言えば、相手がもしそれを知ったとしたらどうなるか。
バスに無賃乗車したことを、もし運転手が気づいたらどうなるか。
言い換えるなら、
「相手方が真実を知ったら、処分行為をしなかった」かどうか。
これが一つの目安になると思います。
メールアドレスの提供
たまに、損害がメールアドレスだけの場合がありますよね。
では、実際にお金を支出してないんだから、詐欺じゃないのかどうか。
先ほど話した例に当てはめてみますね。
確かにメールアドレスは、1項に言う「財物の交付」に当たらないかもしれない。
でも、2項に言う「財産上の不法な利益」に当たるかもしれない。
「メールアドレスの提供」という処分行為がある。
ここで、そのメルアド取得者が、「自分は直接お金をもらってるわけではない」なんて言ったとします。
でも条文には、「又は他人に」と書いてある。
よって、そういった理由で詐欺罪の成立を免れるとは思えません。
※メルアドの取得=損害というわけではないので、実質的な損害が認められる場合に、要件を満たす場合があるのではないかという考えです。
返金はどうなるか
詐欺罪が成立するかどうか別にして、お金を支払ったのであれば返金してほしいですよね。
当然相手は「返金には応じられません」と言うかもしれません。
もしかしたら、「2週間過ぎたので」なんて言うかも。
仮に規約にそう書いてあったとしても、それは返金できない理由にならないと思います。
錯誤無効について
民法95条に、こんな条文があります。
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。
ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
「要素の錯誤」とは、「内容の錯誤」、「表示の錯誤」のことです。
今回は情報商材詐欺の話をしているので、それに当てはめてみます。
「宣伝してた内容と、中身が全然違うじゃないか。」
というような場合に、要素の錯誤になります。
サポートするって言ったのに、サポートしないとかもそうですね。
ところで、錯誤には「動機の錯誤」というものがあります。
どうしてこれが「要素の錯誤」と区別されるのか。
例えば、アイスクリームを食べたくて、アイスを注文したとします。
でてきたのは、なめらかなアイスクリーム。
でもその人は、シャリシャリしてる甘くないアイスをイメージしてた。
だから錯誤なので、無効だ!
と言われても、知らんがなーってお店の人はなりますよね。
最初から、それが明確に示されていたのでなければ、そんな事情知るよしもありません。
逆に、明確な明示があったり、どう考えても求めてるものが違うとわかるような場合には、「動機の錯誤」も無効主張可能になります。
そうでなければ、主張できないので区別されてるわけです。
さて、いよいよ錯誤無効が認められたとしたらどうなるのか。
「無効」とする。
条文で書かれていますよね。
だから法律効果として、契約は無効になります。
ではどうなるか?
契約が無効になったのに、相手がお金を持ったままはおかしいですよね。
これは不当利得にあたるので、民法703条により「不当利得返還請求」できると思われます。
なので、2週間過ぎてようがどうでもいいわけです。
これが全てではない
今回話したことはほんの一握りの話です。
法的素養がないと正確に判断できないと思います。
何となくイメージを掴んでもらうためにお話ししましたが、問題が起きた時は専門家に相談するのがいいと思います@v@
終わりに
もう一度言いますが、私は専門家ではないです。
なので、ちょっと出しゃばりすぎてるかなとも思います。
ですが、何が正しいのかわからないというような人が増えてるように感じたので、自分の知識をちょっとだけシェアしました。
何かの参考になればいいなと思います@v@
PS
自分が情報商材を売る場合は、内容を誤解されたりしないようにする工夫が必要だと思います☆彡
構成要件から逆算して考える感じです。
追記
何らかの役務を免れる例。
最初からお金を払う気がないのに、飲食店で食事をすること。
→客であるかのように装う。(欺く)
→お金を払ってもらえると思っている。(錯誤)
→料理を提供する。(財物交付)
→食事を済ませる。(利益移転)
→お金を払う気がないと知っていたら提供しなかった。
逆に払う気はあるが財布を忘れた場合は、詐欺に当たらず。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?