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『バートン・フィンク(BARTON FINK)』コーエン兄弟

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コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖6「猛烈早打ちタイピストおばちゃんの謎」

さて、今回こそはガンガン進むぞ。 もう「バートン・フィン編」の6回目なのに、まだチャーリー(ジョン・グッドマン)の初登場シーンだもんね! マジでお願いしますよ! 早よせんと『サバービコン 仮面を被った街』の公開日になってまうで。 『サバービコン』公開記念で始めた企画だからね。まかしといて。 前回を未読の方は、まずコチラからどうぞ… さて、チャーリーと初めて「会った」夜が明け、昼近くにバートンは映画プロデューサーのベン・ガイズラーに会いに行く。 このシーンの始

コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖7「同業者W.P.メイヒューと15の秘密」

さあ、映画の最重要人物「W.P.メイヒュー」の登場シーンを解説するよ。 前回を未読の人はコチラをどうぞ! 第6回「このおばちゃん、いったい何者?」 あの「猛烈早打ちおばちゃん」には驚いたな。まさかあんな重要な役割を担っとったとは… この映画はホント凄いよね。細部の細部まで完璧に作りこまれている。無意味な描写やセリフがひとつも無いんだ。あらゆるものが絡み合って、壮大な物語を紡ぎ出している。 さすが、史上唯一のカンヌ主要部門三冠作だな! さて、W.P.メイヒューの

コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖12「妄想ピクニック前編~オードリーの秘密」

さて、今回は映画『バートン・フィンク』の最重要シーン「バートン、W.P.メイヒュー、オードリーによる妄想ピクニック」を徹底解説しちゃうよ! シーンの冒頭3秒間で行われるクロスフェードをこれでもかと解説した前回はコチラ! 第11回『The Bathing Beauty』 シーンの「つなぎ目」をここまで語るやつ初めて見たわ。 しかもテクニカルな話は一切なしで。 ふふふ。 さて、バートンの部屋に飾ってある『The Bathing Beauty(水浴をする美女)』がフ

コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖14「妄想ピクニック後編~オールド・ブラック・ジョー」

さあ、いよいよ映画『バートン・フィンク』の山場ともいえる重要なシーンだ! 「妄想ピクニック」の後半、W.P.メイヒューが歌う『オールド・ブラック・ジョー』の徹底解説だよ! 日本語字幕や吹替えではなぜかコーエン兄弟の意図が完全にスルーされてしまった「問題の場面」なので、日本の映画ファンは必見だぞ! その前に、前回を未読の方はコチラをどうぞ。 第13回「預言者たちの午後」 さて、秘書兼愛人のオードリーに「汚物」扱いされたW.P.は、ムキになって強がりを言った… 「

コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖22「7時台」

さて、今回は「7時59分」の解説からだね。 その前に、前回を未読の方はコチラ! 第21回「蚊」 もう無駄話ナシでガンガン進めようや。 OK。僕もそろそろ次の作品に移りたいと思ってたところだ。 noteで中断してるシリーズも、こっちに引っ越しして再開させなきゃいけないしね。 カズオ・イシグロ… クリストファー・ノーラン… ルネ・クレマン… 他にもまだあったような気がするな… しかしこれじゃあ、体がいくつあっても足りないね(笑) ようやるわホンマ。1円に

コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖23「Lower East Sideってどこ?」

さて、今回は「8時台」の解説だね。 その前に、前回を未読の方はコチラ! 第22回「7時台」 さあ、何が書いてあるんや! 『ローマ人への手紙』第8章には! まあ、そんなに焦りなさんな。 第8章は39節まであるんだけど、その全部が使われるわけではない。 「15~29節」が重要なんだね。 なんで特定できんねん? あ、そっか! ガイズラーのメモだ! その通り。 あの時刻と番地は「ネタに使われる範囲」を表していたんだね。 コーエン兄弟が「ここテストに出ます

コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖24「箱」

さて、リプニック邸訪問の次のシーンを解説しようか。 その前に、前回を未読の方はコチラ! 第23回「Lower East Side」 ユダヤ人のリプニックが「我々の先祖は、ひとりの幼な子から教えられた」と言ったので、バートンの頭の中で妄想がさらに膨らみだした。 この「幼な子」という表現は『マタイによる福音書』第11章25節に対応しているんだね。 11:25 そのときイエスは声をあげて言われた、「天地の主なる父よ。あなたをほめたたえます。これらの事を知恵のある者や賢

コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖26「アナグラム」

さて、今回は「ロス市警の刑事」のシーンからだね。 前回を未読の方はコチラ! 第25回「あんたらマンハッタンに何しはったん?」 あのシーンは、めっちゃ不吉な予感をさせるシーンやったな。 この日の朝リプニックが発した「ユダヤ人への侮辱発言」と、直前に露見した「LAでの出来事=聖書の内容」という衝撃的事実が、バートンの精神不安に拍車をかけたんだ。 だから新しい「妄想キャラ」として、あの「二人のロス市警刑事」が登場したというわけだね。 やっぱり刑事もバートンの妄想キャ

コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖30(最終回)「BARTON FIN”Q”」

やっほ~!やっと最終回だ! 「やっと」は可哀想やろ。 せめて「とうとう」とか「ついに」にしとけ。 前回を未読の人は、まずコチラからどうぞ… 第29話「The Life of the Mind」 『ウエストワールド』を引き合いに出しての解説は面白かったよ。 ドイツ語のアナグラムもな。 オッサン、何気に教養や洞察力があるのに、こんなアホなもん書いとるから損しとるんとちゃうか? 僕って「照れ屋さん」だから、まじめなこと書こうとしても、ついついこうなっちゃうんだよ

『バートン・フィンク』徹底解剖~エピローグ前篇~「大淫婦バビロン」

前回の「Qの証明」は面白かったな。 さあ♪かき鳴らせ♪証明の歌~♬ 第30回「BARTON FIN”Q”」 よう発見したわ、マジで。 なにげに映画解説史に名を残すんとちゃうか、このシリーズ。 『Q資料』で全てのピースが収まったよね。 最初っからバートンは、ゴーストライターになる運命だったんだ。『Q資料』の作者みたいに… 人類史上最も有名な聖典に、あんな隠された経緯があったなんて驚いたな! そこ重要だよ。 コーエン兄弟は、エピローグに「そのネタ」を引用した