#青ブラ文学部
#セピア色の桜
初めましてですが〜
参加させていただきます⭐︎
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4月。
一人暮らしを始める事にした。
いい人いないの?って言われるのが、嫌だった。
…いないわけないじゃない…と声を出さずに呟く。
長年だらしなく使っていた自分の部屋を、片付けなきゃ。
タンス、押入れ、机の引き出し。
片っ端から、詰まっている物を取り出す。
あ…。
これ。
少し錆びついた懐かしいクッキー缶。
持ち上げると、カラカラ音がする。
なぜか、開けるか開けないか。
少し迷った。
何かが逃げ出す気がしたから。
手は勝手に蓋を開けた。
やっぱり。
桜の校章の刻まれたボタン。
あの頃は金色だった気がするが、もう色褪せて
茶色に近い。
好きだった同級生に振られて、でも諦めきれずに
無理やりもらったボタン。
こういうのを、セピア色っていうんだな。
セピア色の桜だ。
あの子は今、どうしているんだろう。
きっと、自分とは違って幸せな家庭でも築いているだろうか。
窓から見える桜は薄いピンク色の桜だったが、
私の心の中にはセピア色の桜が咲いていた。
同窓会でも、企画するかな。
少し前向きに春を迎えられる気がした。
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