【書かずの書】『ハジの多い人生』書籍化によせて(A)
4/25『ハジの多い人生』(新書館)刊行にまつわる、販促プロモーション企画の第一弾。タイムスタンプを打ちながら書き足していく「随時更新」形式にします。
ずっと「書籍編集者」として働いていた人間が、初めて「著者」の立場にまわって、本を作ることになった。使う専門用語も耳慣れていて、手順も身体に叩き込まれている、やっていることは今までと同じはずなのに、とてつもないカルチャーショックの連続だった。「観客席の士気を煽っていたチアガールが、いきなりバッターボックスに立たされてホームランを要求されるようなもの」と表現すれば少しは戸惑いが伝わるだろうか。
大先輩にあたる担当編集者と意気投合して書籍化が決まったのに、いざ動き始めてみるとつねに齟齬があった。まったく前に進まなかった。気がつくとフラストレーションがたまり、だけど今は余計なことを考えている暇はないぞ、とそれを忘れるように努め、眼前の作業だけに集中して、モヤモヤした感情はすべてモヤモヤのまま、頭から追い払っていた。
めでたく刊行の運びとなり、担当編集者とのねじれた信頼関係も回復し(たと私は思っている!)、実際に出来上がった本を手に取ってみると、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉が思い浮かぶ。
……ちょっとだけ、その熱さを思い出してみよう、忘れぬうちに書き残しておこう、というのがこの記事です。敢えて目次は作らずに、思い出したことから順番に書いていきます。
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