ああ僕はいつ頃大人になるんだろう

ひょんなことからタイトルの歌詞に出会った。(武田鉄矢の「少年期」という曲です。)ドラえもんの映画の主題歌だったそうだが、よくもまぁこんな深い歌詞をこども向けの作品の主題歌にしたなぁと感心した。
「いや、こども向け作品だからこそ大人になって振り返ったときに刺さる曲にしたのかもしれないぞ、そういう粋な作品を作りたいもんだ」とは友人のクリエイター(デザイナーとかやってる)の声。なるほどな、と思った。

上司が嫌いで仕方がない。この春の人事異動に期待していたが、まさかのもう一年のお付き合いが決まってしまった。ほぼ毎日元同僚に愚痴のLINEを送らせてもらっている。

ああ僕はいつ頃大人になるんだろう。

人を呪わば穴二つとはよく言ったもので、私の場合、人に対して苛立つと、しばらくしてから「人に苛立っている自分の器の小ささに苛立つ」という現象が起きる。大人にならねば、大人にならねば、と自分に言い聞かせ、上司の謎指示に反論しそうになる自分を鎮める。大人になりきれない自分を嫌いそうになる自分を慰める。

大人にならねば。
そう思う自分の前に、表題の歌詞の前に繋がるこういう一節がのしかかる。

ああ僕はどうして大人になるんだろう。

そもそも、人はどうして大人にならなければならないのだろう。勝手に歳をとってしまっているだけで、今となっては大人でいることが非常に辛い。こどもの頃はあんなに大人に憧れたのに、である。

一応結婚もしたし、こどもにも恵まれた(どちらもいなくなったけど)。家も買ったし車も持ってる。傍目に見ればまごうことなく大人なのだが、気持ちがそれに追いついていないことに最近気づいてしまった。

何が足りないのか。何故に心が満たされないのか。誰かに見つけてもらうものでもないが、自分一人ではもう見つけられない年齢に差し掛かっているとも思う。

毎晩転職サイトを眺めている。
毎朝マッチングアプリを眺めている。
現状を変えられるのは、己の行動のみであることくらいは知っている。

だとしても、いつまでも足掻き苦しむことが大人なのだとしたら、こんなに苦しいことはないな、と最近とみに思うのである。

それでも人は生きていかねばならないと、これまた音楽が教えてくれた。

悲しみは消えるというなら喜びだってそういうものだろう
終わらせる勇気があるなら続きを選ぶ恐怖にも勝てる
消えない悲しみがあるなら生き続ける意味だってあるだろう

途中にHAPPY BIRTHDAYというシンガロングがある、私の好きなバンドの一曲だ。

今日は母の(ついでに弟もであるが)誕生日。
私にこんな辛い人生という名の旅路を歩ませ始めた人の、その始まりの日。

ああ僕はいつ頃大人になるんだろう
ああ僕はどうして大人になるんだろう

いろんなことが連鎖して、僕は今ここにいる。母よ、私はもう少しだけ、人生が始まった場所から遠く離れたこの街で戦ってみようと思います。

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