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ミウラさんの友達

友達って難しい。
恋人との関係とは違うけど少しだけ似ている。
一度こじれたらもう二度と会えない、たぶん。

一時期はとても仲良くなって、食事をしたり一緒に遊びに行ったり旅行行ったりしていたのに、ある日を境に離れていってしまう。そんな経験が私には情けないことに何度かある。

最初は中学生の時からの親友。彼女がお父さんの転勤でアメリカに行った後もずっと手紙のやり取りをしていたのだが、日本に戻ってお互い大学生になった頃、私のある言葉が発端で会えなくなってしまった。それは彼女に恋人ができた事による嫉妬からだったと思う。今思うと恥ずかしい。

大人になってからも似たような経験がある。お互い環境が変わってなんとなく疎遠になるというのもあるが、そういうのとはまた違う。情けないことにはっきりとした理由が私にはわからない。大人になるとはっきり言われなくなるものである。

つい最近、一緒に働いていた時とても仲良くしていた同僚がある日からだんだんと素っ気なくなり、久しぶりにLINEをしたらとうとうブロックされてしまった。お互い転職をして同僚ではなくなったけれどこの関係は続くだろうと思っていたので、とても寂しい。転職活動の相談していた時の私の何かが要因だろうと想像はつくのだけど、本人ではないのではっきりとした理由はわからない。ただもう私とは会わないと決めたんだなというのはわかった。そして、彼女がそう決めるに値する要因が自分にあるのは確かだ。だから彼女の意志を尊重し受け入れようと思う。

ただ何度かこういう事があるというのは、自分が何も変わっていないという事である。どうも私は仲良くなると何を言っても許されると勘違いをしてしまう傾向があるのだ、たぶん。情けない。

前置きがすっかり長くなってしまった。益田ミリさんの「ミウラさんの友達」である。この本はそんな私にそっと寄り添って、見事にモヤモヤを言語化してくれて癒してくれた。


ミウラさんは親友と疎遠になってしまい、ロボットのトモダチを手に入れて…。というお話。

刺さった言葉。

「何におこったのか理由どうこうより、もうわたしとは友達ではいたくないって、あの子が決めたのがわかるから」

「楽しいこともいっぱいあったし、お互い助け合って信頼し合って人生のある時期一緒にいたっていう真実は、残ると思うんだ。」

このロボットには4つの言葉が搭載されていて、1つだけ追加して好きな言葉を設定できる。その4つ目の言葉とミウラさんが追加した言葉が秀一過ぎる。益田ミリさんのセンスが素晴らしい。     

自分だったらどんな言葉を追加するだろうと考えた時、「ありがとう」っていうのが出てきて自分のセンスのなさに恥ずかしくなった。要は相手に言ってもらいたい、感謝されたいっていう、自分はなんて浅はかなつまらないあざとい人間なんだろうと思ってしまった。

「友達はいらない。一番の友達は自分だから。」
というのも真理だと思う。
だけど、やっぱり友達がいないと世界がカラーとモノクロくらいの違いがあるような気がする。

「たったひとり味方になってくれる人がいたら、それでいい。」



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