シンエヴァンゲリオンを見て

みんな、シンエヴァンゲリオン見た?
どうでしたか?
モヤモヤ?もしくはポカーン?

私は、チョーーーースッキリしました。
愛してやまないエヴァンゲリオンがそこに確かに存在していた。
しかも死ぬほどわかりやすい形で。嘘だろ。今までのは何だったんだ。

元来、私は自分の好きな作品が自分にとって受け入れ難い結末を迎えた時にめちゃくちゃ気持ちを拗らせてしまうタイプの人間である。可愛さ余って憎さ百倍とはまさにこのことで、最終的にはその作品に関連する言葉さえ視界に入れたくない状態に陥る。(e.g.銀魂、うみねこのなく頃に)

そんな私にとってシンエヴァンゲリオンの公開は正直恐怖の対象でしかなかった。中学生のころからずっと繰り返し見てきたもので、冗談ではなく自分の価値観や行動規範(実践できているかどうかは置いといて)の根底にある作品である。もはやちょっとした聖典といっても差し支えないんじゃないの、と思うぐらい。
公開前夜、たまたまつけてたテレビで流れたエヴァCM見て手が痺れた。エヴァの最期なんて受け入れられるのか?この頭の堅い私に?今まで見てきたものが全部ひっくり返ったらどうする?どうしたらいい?全く整理のつかないまま死んだ目つきで劇場へ向かう。

ぜ~~~~んぶ杞憂でした~~~~

それもそのはず、シンエヴァンゲリオンの正体は、The End of Evangelion(以下EoEと呼称)を死ぬほどわかりやすくエンターテイメント特化させた作品だったのである。特化させすぎてもはやギャグか?みたいなレベルでもある。

EoEでは、シンジの他人に対する恐怖、シンジに対するミサトの歪な思いや、リツコとゲンドウの関係性、アスカのシンジに対する複雑な感情、ゲンドウの思惑と、ユイへの思い、ついでに冬月のユイへの思いなど様々なキャラクターの内面描写が繰り広げられる。
ただこれがやたらめったらに分かりにくい。時系列が不明確なカットの連続や、抽象的な描写が多くとにかく見ている人間に寄り添ってくれない。(そこがいいんだけど)今でこそは?見たらわかるんだが?みたいな顔してエヴァの話をしているけど、普通はあれ見てすぐにそこまでくみ取ることは非常に難しいと思う。

その点、シンエヴァンゲリオンはすごい。EoEの頃とあまり大きく関係性は変わらないまま(アスカのルーツとかは異なるけど関係性の本質は同じと考えます)、ちゃんとシンジとアスカ、ミサトとシンジ、シンジとゲンドウが腹を据えて話し合い、自分の考えを表明してくれるのだ。あの時はこう思っていたよ、と。何なら、EoEの伝説のラストシーンの模範解答まで示してくれる。あのシーン、純粋な公式の見解というよりイマジナリーエヴァンゲリオンの中の1つ…みたいな話ではあると思うんだけど、初めてエヴァ見てて純粋に感極まって泣いてしまった。アスカ、14年越しになってしまったけど、しっかりシンジと話せてよかったね…今これ書いてるの映画見た3時間後とかなんだけど何か夢だったんじゃないかとさえ思う。昔見た同人誌の記憶かな???
また、テレビ版や、EoEではカヲル君の独白とか、内心ってあまり描写されなかったと思うんだけどそこが加わってたのもよかった。カヲル君もいろいろとしんどかったんだろうなと思わず労いの感情が芽生えた。

もう1つEoEと比較して増強されていると感じたのはエヴァのポジティブな部分。
一般的にエヴァってネガティブで陰鬱なものというイメージが強いと思うが、私はエヴァ、特にEoEは他人の恐怖に理解を示しつつ、それでもなお他人を思うことの尊さを説き、どんなところでも生きてさえいればいつかきっと幸せになるチャンスがやってくるよ、と根暗の背中を押す物語だと考えている。

シンエヴァ冒頭では、ニアサー後の荒廃した大地で、豊かではないけれどみんなが支えあって懸命に生きている様が丹念に描写される。このシーンにはまさに前述したメッセージが織り込まれているように感じられる。一瞬細田守監督作品か??と混乱したのは内緒である。というか細田守監督作品とか抜きにしてあの町の風景が一発目に映ったシーン、劇中で一番混乱した。


いろいろ書いてみて改めて、エヴァンゲリオンが言いたいことって昔から一貫していたんだなと感じる。また、シンエヴァ劇中で妙にEoEのカットのトレースみたいなのが多かったので、細かいポイントはさておきおそらく制作側もEoEとシンエヴァンゲリオンの対比っていうのは意識しているだろうなと思う。第13使途vsアスカ戦で量産型戦のカット流用があったと思うんですけど(未検証)ホント嫌な予感しかしなかった。ただ、対比構造を取るものの、展開自体は結構異なっているのでまたドキドキしながら観ることが出来た。

昔から見ていた人の中には、わかりやすすぎて陳腐と評する人もたくさんいると思う。実際自分も中学生ぐらいの頃にこれ見てたら舐めんな俺のエヴァンゲリオンはこんなもんじゃねえとブチギレてるだろう。(エヴァンゲリオンは別にお前のものではない)


思い返すと、シンジぐらいの年にテレビ版やEoEなどもろもろにドハマりして、シンエヴァを劇中のトウジたちぐらいの年で見ている。贅沢だな。自分的には、本来予定されていた通りの年に公開されていたらきっとここまで受け入れらなかっただろうと思うので、なんだかんだいろいろと延期になったもの運命だったのかもしれない、なんて思いながらキーボードを叩く午前5時。おそらく明日も観に行ってしまうだろうからここらで切り上げましょうかね。


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