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株は心理戦

日本市場は彼岸底か?


 米国FRBのパウエル議長は、今回の利上げは見送ったものの、依然として堅調な米国経済を睨み、年内0.25%の利上げを折り込みつつあった市場に対し、0.5%を伺わせる発言をしたことで、米国株式市場は更なる利上げを折り込む展開となった。
 一方、日銀の植田総裁は、9月22日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めた。この発言により日経平均株価は同日、3万2千百円台まで下落しちいたが、これを好感し3万2千4百円台まで回復。
 現在の日経平均株価は、6月19日に付けた33,772円を高値に3万2千円を挟み、上下1千円での狭いボックスを形成。揉み合いを続けてはいるが、筆者は直近の底値は付けたと先読みします。

3446 JTEC (現在値 2,715円)

 9月13日、米国イリノイ州の放射光施設及び、NY州放射光施設から超高精度Xミラー1億1千万円を受注したと発表。14日の株価は急伸して一時2,905円まで上昇。
 更に19日には、スイスのパウル・シェラー研究所から総額1億円の超高精度Xミラーを受注。2週間にわたり好材料が噴出した。
 当然だが、20日の株価は買い気配で始まり、2,785円(88円高)で寄り付いた。しかし問題はその後だ。2,879円の高値を付けた以降は、2,755円まで124円下落し2,761円で引けた。結局、好材料が出て64円高はしたものの、チャートは寄り付きより終値の方が安い陰線で終えた。筆者は2つの好材料を株価は折り込んだとは言い難い。
 本来なら2つの好材料をテコに、5月26日に付けた2,914円の戻り高値を更新すると見る向きも多かったはずだ。だが14日の高値は、2,905円で、20日は2,879円と買い方の期待は見事に裏切られた。特に20日は、2週連続の好材料を評価されれば、2,914円は十分に射程圏にあった。それを敢えて更新しなかったのは、目先の提灯筋をふるいに掛けたというのが、本音ではないだろうか。
 寄り付きで買った大半の投資家は、いきなり評価損を喰らったことになった。この値動きを見た買い方は21日、売転換し2,541円(220円安)まで売り叩き2,559円で引けた。出来高は23万9百株と前日の出来高を上回った。上昇期待が高まっていただけに、失望売りが広がったと見られる。
 そして、22日は寄り付き後に2,501円まで売り込まれたあと、日足中期線を蹴って反転し2,715円まで戻した。21日の陰線を包み込むような陽線が立ち、何もなかったようにV字回復した。ここでの心理戦は、目先筋が買い方の本流にしてやられたことになる。
 8月14日の決算発表以降、上昇に転じた株価が2つの好材料で更に加速すると見られていたが、結果として軟調相場を理由に調整を余儀なくされた。此処での攻防を分析すれば、買い方本流は今後の展望を見据え、目先筋をふるいに掛けて起きたかった、というのが本音ではないだろうか。
 因みに出来高の推移を見ると、14日が20万3千株、20日は19万3百株で、21日は20万3千9百株、22日13万7千7百株となっている。14日と20日の合計した約40万株は、21日と22日の合計約34万株を見ると、上昇過程で買われた8割強が売却されている。
 13、19日両日の好材料を餌に、目先筋は完全に振り落とされた格好だ。20日の寄り付きから2日間で280円(約10%)も下げられ、買い方はジェットコースターに乗せられ青息吐息の状態。まさにじゃじゃ馬のような銘柄で、乗り手の手腕が問われることを忘れずに。但し、2018年3月の上場時の高値13,490円は伊達ではない。
 この銘柄はオンリーワン企業を目指した特異な企業で、長期的展望に立った投資戦略に加え、信念を持って挑まなければ買えない銘柄であることを肝に銘じて腕試しを。
 日足チャートは、ゴールデンクロスして一目均衡の雲を突き抜け、上昇期待が高まっている。更に近々、週足でゴールデンクロスから一目均衡の雲を突き抜けたら明確な買いシグナルとなるといった見方も。

※この情報は筆者の個人的意見によるもので、投資行動は自己責任でお願いします。

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