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2022年1月26日の乾杯

2022年1月23日の乾杯。コロナが再び猛威を奮い始めて、それとは別におねえさんも季節の移ろいに少し体調を崩して。そんななかでおじさんが観た玉田企画『夏の砂の上』、劇団しようよ『セミヘブン』、おねえさんが家で観た『レベル16』、おじさんが映画館に足を運んだ濱口竜介監督の『偶然と想像』。さらには1月15日に始まった『奇想のモード ー装うことへの狂気、またはシュルレアリズムー』展についても語り合います。

👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。よろしくお願いします。
👨お願いします。いやぁ、コロナの罹患者がまた増えましたね。
👩そうですね。とんでもない、とんでもないでございます。
👨たまたま、きのうちょっとお出かけしたのですけれどね、さすがに街がすいていましたものね。
👩そうですよね。
👨帰りが21時ごろになったのですが、そのころの電車だと車両にそんなに人がいなかったという。
👩うん。
👨ちょっとびっくりしてしまいましたけれどね。
👩今はね。今は本当に。
👨割合と一気だからねぇ。
👩…実は私、熱を出しまして。
👨あらあら、それは。
👩あわやコロナかと思いましたけれど。
👨熱はけっこう出たのですか?
👩えらい目にあいました。陰性でしたが。
👨コロナじゃなくてよかったですね。
👩よかったです。
👨まあ、そんななかでもお芝居の公演が続いているところはつづいているので。
👩いやぁ凄いですね。
👨まあね。でもこれまでに随分流行ったことでみんな学習をしたのだとは思うのね。
👩ふんふん。
👨そうはいっても劇場はちゃんと防疫をすれば割と安心だよって。
👩うーん。
👨だからこそ、ここのところ、コロナがしっかりと流行り始めてからでもお芝居は観ることができていて。
👩はい。
👨あの、玉田企画とか面白かったですよ。北千住のBUOYという劇場というかスペースでやったのですけれどね
👩ほうほう。
👨松田正隆さんの『夏の砂の上』という戯曲だったのですけれど。そうそう、ここのところコロナに耐えながら俳優たちが力を蓄えての上演みたいな俳優の舞台が多くて、劇団しようよが楽園でやった『セミヘブン』なんかの夏目慎也さんなどを観ていてもそれは思ったことだけれど、俳優さんが舞台の色を醸す力がもう眼福で。『夏の砂の上』では、あの、浅野千鶴さんというこれまでに何度も拝見している俳優がいらしてね。
👩うんうん、存じ上げています。

玉田企画


👨彼女は最初と最後のシーンにしか出てこない役まわりなのですけれど、
👩ふんふん。
👨冒頭から彼女にしかできないようなキャラクターの色づくりががっつりとあって。で、そこから先の俳優たちの人物の編み方にも浅野さんが描いた人物の肌触りのようなものにどこかトーンを合わせて人物をつくっていくという。しかもその結果として、その土地や人々の気風が物語にしっかりと血を通わせて生きているというか。
👩うふふふ。
👨で、祷キララさんという若い俳優さんが、そのトーンを生かしつつ埋もれずにビビットなのも印象的で。個性をしっかり持ったよき俳優だなぁと思ったりも。青年団の板倉奈津子さんが描く女性の芯の弾力性みたいなものも印象に残ったし。
👩うん。
👨劇団しようよの『セミヘブン』は近未来の楢山節考みたいなおはなしなのだけれど、そこに夏目慎也さんが描き出す人物の表層から内までの厚みが凄くてね。大柿友哉さんが演じる人物にそれが映えるし、あと波多野伶奈さんが演じる血の通った無機質さにもじわじわと捉えられた。その俳優たちの演じ方のバリエーションというか軽重の深さとそのバランスがいろんな奥行きを作っていた。

劇団しようよ UP


👩正直、熱をだしていたのでいろいろと観ることもできず。とにかく体力を回復させることが第一義だったので。
👨えぇ。
👩コロナかもしれないって思うと、すごい不安で。うつしたのでは…感染を広げてしまったのではないかという気持ちがとんでもなくてですね。実際本当に、なんていうのか…近いものになっているというのはみなさん重々承知の上だとおもうのだけれど。お知り合いで罹患した方もいるかもしれないし。自分が熱を出すとほんとうにね、高熱をだしたのですけれど、もうね、ぞっとしますよ。
👨ツイッターでながれてくるツイートを見ていたら「明日は濃厚接触者」という恐ろしいつぶやきがありましたけれどね。
👩実際そうですよ。うん。私は違ったからよかっただけで。
👨たまたまでも、よかった。
👩近しい人がどんどんコロナになったり濃厚接触者になったりしていますから。
👨そうだね。
👩だいじょばないなぁって思いました。
👨すごい話があって。山手線ってあるじゃないですか。
👩はい。
👨11両編成の。で、1両に100人のっているとすると1編成に1100人の乗客じゃない。そうすると、東京ではその中の1人はその日に必ずコロナにかかるというような確率になるんだってね、今は。
👩そんなのもう、うつるに決まっているんた、今。重篤化する人は比較的少ないっていわれているけれど。でも、体力があれば重くならないということではまったくないわけで。幸運にも症状が軽かった人がそう言えるだけの話で。今こそ本当に人に感染させないということを考えて動かなければいけないなぁと思います。
👨そうですね。実際のところ、今までは電車などに乗っても一定の確率で鼻マスク状態になっているひとがいたけれど、昨日は行きも帰りもまったくみかけなかったものね。みなさんちゃんとびしっとマスクをしていただいていて。
👩それはそうよ。大事。そうしないとマスクの意味が。
👨あと、完全に閉まっていた窓を少しあけていくおばさまもいた。
👩ああ。
👨あれって電車のどちらか片側が開いていればいいといえばいいのだけれど、気をつかっていただいて私が座っていた反対側の窓をすこし開けてくださった。やっぱりみんな少しぴりぴりしだしたよね。でもその中でもお芝居の上演は比較的粛々と。まあ、いくつかは中止にはなってしまったけれどね。
👩難しいところですけれどね。うーん、やめるかどうか。
👨だから、現場ではほぼ毎日のPCR検査だって当たり前になっているみたいですしね。
👩そうですね。演劇のお仕事の際にPCRの検査をするというのはもう流れみたいになっていますね。良いことだ。
👨だけど、そのPCRの検査をうけるのも最近は混んでいてけっこう大変だというニュースもあったことだし。
👩うん。
👨そういえば、あれなんですよ、このあいだ、あの、昭和音楽大学ってあるじゃないですか。
👩はいはい。
👨あそこで1日限りという催しがあって。
👩ほう。

メシアン寺山UP


👨クラシックの四重奏、それもピアノ、バイオリン、チェロ、クラリネットというあまり見ない編成での四重奏と、あと文学座の俳優が4人参加して、
👩はいはい。
👨彼らが寺山修司の戯曲を、所作がすこしついたリーディングの形で上演したのね。すごく面白くてふくよかに感動的だった。寺山演劇とオリヴィエ・メシアンの楽曲の演奏が演目として交わることはないのですよ。俳優が演奏に先立ってそれが第二次世界大戦中に極寒の捕虜収容所で初演されたなどというコメントを朗読したり、俳優たちの朗読に合わせて演奏が風景を膨らませるような部分はあるのだけれど、作品に関しては演奏と演劇が交互に行われていく形を崩してはいなくて。でもね、演奏と上演が終わって最後には、というか終演後には、それぞれの作品から訪れる絶望的な状況のなかでの希望の感触が共振して残る。その、オリヴィエ・メシアンの『世の終わりのための四重奏曲』にしても寺山修司の『白夜』にしても、べたな言い方だけれどパフォーマンスとしての確かな力があって観る側をそれぞれに惹きこむ先で、終演後にはそのどちらにも属さないような新たな風景という感慨に浸されているの。以前ここでも話した『紙屋悦子の青春』で文化庁の新人賞を取った平体まひろさんなどもご出演でね。
👩はい。
👨公演には「あの日の希望、私たちの永遠」というサブタイトルがついているのだけれど、それだけでは括り切れない心への広がりを感じた。これが何故ワンパフォーマンスしか行われないのかと残念にも思った。まあ、この上演って「昭和音楽大学音楽芸術運営学科アートマネージメントコース」が主催になっていて、単なる公演に留まらず新たな形での芸術上演の演習というか研究にもなっていたのだとおもうのね。で、実際に体験してみて、これまでにない訪れるものの尖り方を感じた。
👩なるほど。
👨あと、余談だけれど、いつも観に行っている演劇などと比べて感染予防の肌触りに違いを感じたりもして。なんかね、大きめのキャパを持っているホールでの上演と小さいスペースでの演劇での衛生管理って受ける側の感覚も若干ちがうのかもないのかなぁって。
👩ああ、それはそうかも。
👨クラシックのコンサートなんかだとこういう感じなのかなぁなどと思ったりもして。
👩具体的にはどんなふうに違うんですか?
👨なんだろ、演劇の会場って本当に劇場に入るところでしっかりとチェックみたいな感じなのだけれど、その管理されているエリアがもっと広い範囲で設定されている感じがして・・、
👩規模が大きくなっていくとそうなっていくのかもしれないですね。制御もできないくなっていくし。
👨それとね、会場が大学のキャンパスの中だったからかもしれない。もちろん一般の観客が足を踏み入れることができるエリアはしっかりと制限されているのだけれど、その公演を観ない学生の方もたくさんにいらっしゃって。まあ、公演を観る方のなかにもバイオリンを背負った姿でホールに来られる学生の方もいて、日頃の演劇を観るのとはちょっと違った雰囲気で演劇が紡がれるのは面白かったですね。
👩私は今なぁ、熱で倒れてもいたんで、何もちょっとまともにできてはいないので言えないのだけれど。まあ、映画は観ていますけれど。
👨えーと、なんていう映画を。
👩『レベル16』という映画を観ましたね。
👨それは観に行ったの?ネットで?
👩ネットで。
👨やっぱりこう何かを観ているとそれだけでも刺激になりますものね。
👩うん、そうですね。前からちらっと知っていた作品だったから、その中に謎があったり、サスペンスがあったりでわくわくするとか、そういうのばっかりですけれど。
👨いえいえ、やっぱり刺激は大切ですよ。あのね、前回『ドライブ・マイ・カー』の話をしたじゃないですか。その濱口竜介監督のね、凄く評価されている別作品も今上映されていて。それは『偶然と想像』という三つのオムニバス作品集みたいな映画なのですけれど、こちらもすごく面白かったですよ。

偶然と想像 UP


👩へぇ。
👨なんかね、観ていてあれよといろんな展開を想像させてくれるというか推理させてくれるというか、でその先では意外な展開や結末の組み方をしてくれているの、三編とも異なって。
👩ふんふん。
👨わたしは、ほら、文化村の上に映画館があるじゃないですか。
👩はいはい、ありますね。
👨ル・シネマだっけ。あそこでみたのだけれど、平日の夜にけっこういっぱいのお客様だった。そうそう今度下北沢に新しい映画館ができたのって知っています?
👩知らないです!!
👨小田急下北沢駅の西口、小田急だと本多劇場とかスズナリに行くときに出る改札と反対側というか。そこから新しくつながって施設ができて、その中に映画館も入っているの。
👩ふんふん。
👨「K2」だったかな。ワンスクリーンのミニシアターなのですけれど、そこでも『偶然と想像』を上映していて、そちらで観た方がよかったかなとも思ったのですけれどね。
👩映画館は、古い新しいじゃないですからね。
👨でもまあ、せっかくなら一度行ってみたいじゃないですか、うふふ。
👩それはそうだけれど。
👨作品への興味というよりは場所への興味ですけれど。
👩うん。
👨で、映画に話を戻すと『ドライブ・マイ・カー』で観たときの作品の組み上げ方と短編での濱口監督の作る作品の語り口というか切っ先の研がれ方が違う。あのね、最初の話を観終わってうわぁっておもってわくわくしているところに、全然違う二編目のテイストやインパクトが来て、3編目を観終わったときの余韻というがさらに全然違うというか。
👩へぇぇ。    
👨で、いろいろと気になったり心に留まったりして作品について再度ググりながら反芻したりプログラムも買ったりしたら、作品世界がワンアイデアに留まらず改めて面白いし、ベルリン国際映画祭での審査員グランプリというのもさもありなんと思ったし。
👩映画のフルコースみたいな感じ?お皿がどんどん出てくるみたいな。
👨お皿が出てくる・・、ああそんな感じ。一皿ごとに違った食べ応えがあってね。一編が40分くらいだったのかな。三編で2時間くらいなんですよ、上映時間が。最後の話には占部房子さんという私が舞台を観るたびに良い俳優だなぁと思う俳優もご出演で。当然にご覧になっていらっしゃらないと思うので具体的な内容なお話しはしないですけれど。
👩臥せっていたもので、観るにしてもこれからなのですが…
👨お勧めですよ。あの監督の映画を見ていると長くても短くても観る方が自然に考えを巡らせる世界に連れて行ってくれるんですよね。で、作品に観終わってこうなるんだと納得させてくださる力がある。想像どおりにはならないけれど納得させてくれるみたいな。
👩それは面白いなぁ。
👨しかも、そこのところに無理がないのですよ。その、観る側にとっての想像ができなかったさに。素直にああこうなるのだって、こういうことだったのねって頷きながら思えるんですよ。
👩うんうん。
👨日本では単館上映から評判になって上映館がひろがっていっているところだけれど、海外では既に賞をとったりとか高い評価が定着しつつあって。それは作品が外国の方の思考ロジックにもあっているのかもしれないからかなとも思ったりしてね。
👩なるほどねぇ。そういうのはありますものね。文化だったりとか、好みだったりとか、その合う合わないとか嗜好の傾向とかね。
👨元々持っているいろんな背景みたいなものってあるじゃないですか、それぞれの民族とか人種、歩んできた道のりとか。
👩そうですね。
👨で、日本映画って当たり前だけれどそこのところに日本が強いから、海外の人が見るとわからないみたいな話っていうのも得てしてあるのだろうけれど、濱口監督が作るロジックにはそういう壁がないのかもしれない。。
👩うんうん。面白いな、その考えは。
👨たとえば、神社仏閣にもののけが出てくるような話だと外国の人にはその感覚とかがなかなか伝わらないというかわからないのですよ。
👩いや、まあそうですね。
👨だけど、どこかで読んだことがあるのだけれど、昭和天皇が戦争を避けようという真摯な気持ちをお持ちでありながら歴史の流れに引きずられてしまったそのロジックみたいな話には海外の方もとても興味をもつのですってね。
👩へぇ。
👨それは、海外の方も人種とか文化とかそういうものを超えて王とか支配者が何をどのように考えるかという、いわば思考の普遍に興味があるからじゃないかということが書いてあって。
👩うんうん。
👨それはそれで私もなるほどなぁとおもったのですけれどね。
👩なるほどね。
👨もちろん万国共通のものがすべてよいかというとそういうことでもないだろうし、日本人というか日本だから理解できるものだからこその良いものもあるだろうし。
👩それぞれですよね。どっちも良いというか、分からないは面白いから。分かれば良いというものでもないし。違うから新しいものが生まれたり、違う見え方で会話をすることで新たな視点が生まれたりというのは深みだからね。みんな違ってみんな面白い。
👨うふふ、そうですよね。ただそういう意味では、監督の濱口さんって持っている引き出しというか仕掛けるトリガーはいろんな形で種類も多いのかもしれないなぁとも思ってね.
👩なるほどねぇ。
👨まあ、お時間があればぜひ、ご覧になってください。皆様。
👩時間に余裕があればぜひ、私も含めて。うふふふ。
👨はい。まだ増えていくみたいですよ、上映館は。
👩そうなんですね。
👨うん。
👩そうあるべき。そうあるべきだ。
👨やっぱりね、海外での受賞とかがあると話題も観客も広がるじゃないですか。
👩うんうん、そうですね。
👨『ドライブ・マイ・カー』なんかも上演館が広がったという噂をきいたし。ちゃんと確かめてはいないけれど。まあ同じ濱口監督ですけれどね、両方広がってもいて。いま一番注目されているというか。私も気づいてよかったというか。
👩それでどんどん花開いていったらおじさんには先見の明がありますよね。長くったって好きでずっと観ることができれば、面白いと思えるのであれば、それは素晴らしい出会い。
👨そういう風に花開いたとしても、それは別に私に先見の明があったということでもなくて、すでに話題にはなっているし、そこに監督にそれだけ面白いと思わせる要素がたくさんあったということなのですけれど。
👩なるほど。
👨あとね、最近観たものの中では、ちょっと演劇を離れるんだけれど展覧会ね、東京庭園美術館で今開催されている。えーと、先週くらいからかな、『奇装のモード』展が始まっているのですよ。
👩ふーん?えーと。ピンとこない。なんだろ。

奇想のモード UP


👨サブタイトルに「装うことへの狂気、またはシュルレアリズム」とあって、要はモードとシュルレアリズの関係みたいなものの関係を、いろんな作品や文化や角度から明らかにしていくみたいな展覧会なのですけれどね。
👩うんうん。
👨展示されているものもとても幅広くてね。会場に入ったところにダリの彫刻がおかれていたり、あとマグリットとかキリコとかの作品があったり。
👩へぇ、幅がひろいなぁ。
👨彼らって、20世紀前半のVOGUEとかのファッション誌で表紙を描いてもいるんですね、その雑誌の表紙の展示もあって。
👩ふんふん。
👨かと思えば、エルザ・スキャパレッリという方がいらっしゃって。その方はココ・シャネルと同時代に活躍された方みたいなのだけれど、彼女が初めてショッキングピンクとその色を名付けたみたいなのね。で、展示されている彼女が提唱したショッキングピンクのドレスを初めて観て、ああ、こんな色なんだって感動したりね。
👩へぇ。
👨私がこれまでイメージとして持っていたその色ってもっとぺらぺらのピンクだったのですよ。
👩はいはい。
👨でも、飾られていたショッキングピンクのドレスの色はとてもノーブルだったのね。そこには気品があって清楚な華やかさでもある。
👩うんうん。
👨そうやって、次々に観ていく中で芸術家たちやその時代を生きる人が新たな感覚を求めながら変遷していくみたいなことが直感的にもわかる展覧会で、
👩うん。
👨前半の旧館で歴史やいろんな視座をたどりつつ、後半の新館では舘鼻則孝氏による凄くモダンな形に構成された花魁さんの高下駄やレディーガガ様の目にとまったというヒールレスシューズとか、串田信也さんのヒールの部分が鳥の足になっている作品なんかも展示されているんですよ。

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ヒールレスシューズ2 UP

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 上:フローティングワールド/ディセンディングペインティング 
    舘鼻則孝  2019-21
 中:左4足 ヒールレスシューズ 右3足 ベビーヒールレスシューズ
   舘鼻則孝  2021
 下:Soukei 
   串野真也  2020  
ー上記作品はいずれも新館(撮影可のエリア)での展示ー

👩へえぇ。
👨それとかウサギの頭に足を入れる感じの靴とかがあったり。あと江戸時代のファッションということで浮世絵の展示もあるんですよ、当時の花魁の装いが描かれた渓斎英泉のものとかね。
👩あぁ、はいはい。
👨もうさ、あまりにも面白すぎて、帰り際にミュージアムショップで図録を買ったのですけれど、その最初のページにジャン・デビュッフェという画家の「創造とはすでにあるものやみなが満足しているものに満足しないということであり、従って反逆や衝突の状態を含有しているのである」という言葉が書かれていてね、なるほどなと思って。
👩うん。
👨確かに日本のお着物まで含めていろんなものが展示されているなかで、みんなその時代を醸し、背負い、踏み出して、その先に新たな文化が歩み出されていることがわかるのね。それこそ私の首回りくらいに胴を締めるようなコルセットとか、赤ちゃん用みたいな纏足のくつとかね、鳥の剥製を帽子にしたり、日本の帯留めなんかが展示されていたりもして、そのデザインが蝙蝠だったりとか百足だったりとか。まあ、きものについて国立博物館のきもの展を観たときにもおもったのだけれど、あれは時としてとんでもない遊び心の産物だよね。
👩うーん。
👨ずっと見ていって、人間が内包しているいろんなものへの感性とか執着の先で、様々に新しい世界を作っていくエネルギーとか革新へ歩み出す力みたいなものに心捉われて。
👩うん。
👨あと、東京都庭園美術館自体が旧朝香宮邸というか皇族のお宅を使っていて、旧館はアールデコ様式なのね。その建物に展示されるものの映え方がすごく良くて。そもそも建物の中を見てまわるるだけでもすごく楽しい。たとえばエルザ・スキャバレッリの洋服が飾られている大食堂の天井を見上げると天井の照明が果物の形になっていたりしてね。
👩ふんふん。
👨だから、サクサクっと見るつもりが終わってみると3時間近くかかっていたのですけれど。
👩あはは、そんなに。
👨だってさ、ひと部屋ずつの展示が面白すぎる。そこに全体の展示の流れから積もってくるものもあって、あれはもうキュレーターの方の勝利だとも思う。
👩へぇぇ。
👨新館の方は作品の写真を撮っても良くて、いまだに図録やその写真をみて、たとえばこの靴はインパクトがあったなぁとかおもっていますけれどね。
👩元気になって余裕が出たらね、いろんなものをインプットしに行きたいなぁとは思っております。はい。
👨なんかさ、コロナっていうと人は縮こまってしまうじゃない。
👩そうですね。だからこそ、だからこそよ、そういう体調不良に負けずにね!体調が悪い時にはゆっくり休むべきだとはおもうけれど、そういう時ってなかなかいろんなものを観ることができなくなるから。でもこうやって聞いていると、やっぱり観に行きたいなぁ!インプットを欲しいなぁ!って思ってくるのでね。それも力に変えて、がんばっていこうと思います。観てこようと思います。
👨なんていうんだろ、今回みたいな催し物って一度みると効果が長い気がする。
👩それは人にもよるし物にもよりますっ!!んふふ。久しぶりというか、それこそ病み上がりに観てどう感じるのか楽しもうと思います。
👨ああ、なるほど。
👩はい。
👨で、最終的に今は平気なのですね。
👩大丈夫です。
👨じゃあ、また大変だと思いますけれど、いろいろ頑張ってくださいね。
👩ありがとうございます。
👨ということで、どうかコロナが収まりますように。
👩そうですね。
👨今日とかせめて明日がピークで、そのあとは少しずつでも良くなりますように。
👩日に日によくなりますように、皆様も健康にお過ごしくださいませ。
👨ひとりひとりの注意が大切なのでね。
👩そうですね。
👨ということで、演劇のおじさんと
👩おねえさんでした。
👨次回もよろしくお願いいたします。


(ご参考)
・玉田企画 『夏の砂の上』 
2022年1月13日(木)〜23日(日)@北千住・BUoY
作 : 松田正隆
演出:玉田真也
出演:奥田洋平(青年団) 坂倉奈津子(青年団) 
浅野千鶴(味わい堂々) 祷キララ 用松亮 山科圭太 
西山真来(青年団)岡部ひろき

・劇団しようよ 『セミヘブン』
2022年1月21日~23日 @ 下北沢小劇場楽園
作・演出: 大原渉平 
音楽・演奏: 吉見拓哉
西村 花織(劇団しようよ / 劇団飛び道具) 夏目 慎也(東京デスロック)
南波 圭(なんばしすたーず/青年団) 大柿 友哉 波多野 伶奈 
前田 隆成(ハコボレ)

・オリヴィエ・メシアン×寺山修司 ―あの日の希望、私たちの永遠―
昭和音楽大学音楽芸術運営学科
アートマネジメントコース企画制作演習企画公演vol.3 
2022年1月19日@昭和音楽大学ユリホール
【演奏曲目・上演作品】
 オリヴィエ・メシアン『世の終わりのための四重奏曲』
 寺山修司『白夜 An Intermezzo』
出演 ;ヴァイオリン 新山開 、チェロ 山岸彩子
クラリネット 渋谷圭祐 、 ピアノ 氏木大地
武田知久(文学座)   平体まひろ(文学座)   喜田裕也   風間き理

・『レベル16 服従の少女たち』
監督・脚本 :ダニシュカ・エスターハジー
出演 :ケイティー・ダグラス セリーヌ・マルタン サラ・カニング
ピーター・アウターブリッジ アマリア・ウィリアムソン
上映時間 :102分 
2018年 カナダ映画

・『偶然と想像』
監督・脚本 濱口竜介
出演 
第一話 魔法(よりもっと不確か)
古川琴音 中島歩 玄理
第二話 扉は開けたままで
渋川清彦 森郁月 甲斐翔真
第三話 もう一度
占部房子 河合青菜
 
・奇想のモード展 (装うことへの狂気、またはシュルレアリズム)
2022年1月22日~4月10日@東京都庭園美術館
開館時間:10:00–18:00(入館は閉館の30分前まで) 
休館日: 毎週月曜日
*ただし3月21日は開館、3月22日(火)は休館




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