『ホラーアクシデンタル』という作品について①(※ネタバレあり)
考察する訳でもなく、ただただ「好き」と叫ぶだけです。
タイトルからも分かる通り、少しホラー要素が含まれてますので苦手な方は注意です。
だいぶ前の作品集なので、思い出すためにざっとGoogle検索したら、まあー評価の分かれる事分かれる事。
独自の解釈をしている人もいて、只管にすげぇなぁと思うだけの僕でした。
全15話・各話5分なので、サクサク観れます。サクサク、といっても結構抉られます。話によってはトラウマ必至。
その中でも何作品かをぜひ紹介したいなぁと思います。トラウマものはない。はず。なぜなら僕がそういうの苦手だから。
①6話『百年の孤独』
→https://youtu.be/IFnMn1DrdZU
(以下、ネタバレあり)
観た人にとっては「何故これを最初に選んだ」と怒られそうです。
分かる。僕も思う。
なぜならこの話には、セリフが一言もないからです。
登場人物も
とっても素敵な生き方をしているであろう一人暮らしのおばあちゃんと、
おばあちゃんに飼われてるワンちゃんしか居ません。
ワンちゃんなんてほとんど始まりと終わりしか居ません。
特にストーリーも事件も最後までありません。マジです。
最後におばあちゃんの家が火事になるだけです。
この説明だけ聞いても「はぁ?」です。
とりあえず観て、ということです。
言葉が存在しない作品を、言葉で説明するのも野暮というものです。
…といってもちょっとだけ。
この作品が公開されたのは、2013/2/21です。
ちょうど東日本大震災から2年近く経ち、「節電」が叫ばれていた時期です。
おばあちゃんは映像の情景から分かる通り、とにかく几帳面。きちんと洋服も畳む。歯磨き粉も絞り出す。オレオレ詐欺にも気をつけている。「郵便屋さん いつもありがとう」というポストの張り紙。
非の打ち所がない。今夜も安心して、おやすみになられているようです。
しかし、そこへ不穏な影が映ります。それは火を消し忘れて空焚きをしているお鍋。
とてもいやな予感。
案の定火がつく。燃え広がる。
「おばあちゃん気づいてー!」と叫びたくなるみなさん、安心してください。火災報知器が映りました。煙も出てきましたので、これが鳴れば、おばあちゃんは助かります。
ホッとしているところで。
火災報知器のコンセントを見ると。
電源が抜けているのです。
ここで全ての音が無くなり、僕らは全てを察する事しか出来なくなります。
燃え広がる家を見つめるワンちゃん。
そして「こまめに節電しましょう」の張り紙。
浮かび上がる『百年の孤独』というタイトル。これでお話は終わりです。
この作品はひたすら想像力に訴えかけてきます。
この素敵なおばあちゃんについて考えざるを得ません。「なぜ、どうして、こんなに真面目に生きているのに、」と絶望に近い感情でいっぱいになります。そう思わせる情景描写がとにかく素晴らしい。観て。
②5話『ある家族の会話』
→ https://youtu.be/nq2mgtvN81k
(以下、ネタバレあり)
The・ホラーアクシデンタルという作品。
これを最初にすればいいのにねぇ、しゃんさん。
何かを言い合っている夫婦。
どうやら奥さんが旦那さんの浮気を疑い、問い詰めているようです。
奥さんは既にヒステリー状態で、浮気を確信しているようです。これが証拠だ、という指の先には、大きな箱。話の流れ的には、旦那さんの誕生日に浮気相手からプレゼントが届いたよ、的な。バレるやんけ、そんなアホな浮気相手おるんか。いや、奥さんに見せつけたかったのかな。性格わる〜。
口論の末、プレゼント開封。
「ギュッてしてね❤」というメッセージカードと、
大きなテディベア。
もちろん奥さん、ブチ切れ。「ヤバいやつなんだって、違うんだって」と弁明する旦那さん。
起きてきた子どもがテディベアに喜んで駆け寄るも、奥さんが全力ブチ切れ。あまりの剣幕に、子どもが泣き出して、もう雰囲気最悪です。
感情の収まらない奥さんは、日常生活の愚痴をぶちまけながら、「もうこんな生活、いや!!!」とテディベアを平手でぶん殴ります。ぶん殴ると言うより、机の上でぐちゃっとぶっ潰した感じ。
テディベアの腹から突き出す刃物。
止まる時間。秒針の音だけが響くリビング。
刃物スレスレに打ち付けた自らの手を見て、みるみる顔が青ざめる奥さん。発狂し、子どもと共に逃げるようにリビングから出ていく。
旦那さんはテディベアと奥さんの逃げる先を交互に見つめるしかないのだった。
そんなお話です。
5分しか経ってないとは思えないほどの作品。
とにかく奥さんの剣幕がすごい。時間が止まった時との差がすごい。
あれ、旦那さんがギュッてしてたらというより、
お子さんに渡しちゃってギュッ、とかしてなくて良かった、と思いました。
めちゃくちゃ長くなったので、続きはまた気が向いた時に。
シリーズとして見始めるにはお手軽(?)な2作品でした。
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