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世界カワウソの日World otter day/5月27日

世界カワウソの日

「世界カワウソの日」をご存じでしょうか。
国際カワウソ生存基金(略すとIOSF =International Otter Survival Fund /イギリス)が世界のカワウソの現状や保全について考えることを目的として制定した記念日で、毎年5月最終週の水曜日と定められています。

5月27日の夜には記念フォーラムがひらかれ、「サンシャイン水族館(東京)」「アクアマリンふくしま(福島)」「桂浜水族館(高知)」3つの水族館のカワウソご担当者と、カワウソの生態研究で知られている筑紫女学園大学の佐々木浩先生、IUCN(国際自然保護連合)カワウソグループメンバーの岡元友実子さん、(なぜか)獺祭(旭酒造)の社長と広報ご担当者までが参加され(笑)、そのライブ配信は2時間にわたりました。

かわうそを絶滅させてしまった唯一の国「日本」

かわうそ、というと皆さん最近テレビなどで人気の「コツメカワウソ」を思い浮かべると思うのですが、かわうそは13種類おりまして、その中でいちばん小さなかわうそが「コツメカワウソ」です。
いちばん大きなかわうそは「オオカワウソ」といって、ワニとも戦ってしまうくらい大きくてかっこいいかわうそがいます。私は昨年、そのオオカワウソに会ってみたくてシンガポールまで行きましたがまさかの展示休止中…そんな苦い思い出も。

記念フォーラムは興味深いお話ばかりで2時間では到底たりないくらいでしたが、ファシリテーターの方が最後におっしゃった言葉が重すぎていまだ考え続けています。それは、今年4月に亡くなったかわうそ研究の第一人者である安藤先生のお言葉で、

​「日本はかわうそを絶滅させた唯一の国である」

ということ。厳密にいうと、絶滅したのは日本だけではないのですが、他国は同種のかわうそを再導入し保全しているのだそうです。

ニホンカワウソは日本で最も新しい絶滅種です。2012年に指定されています。正しく言い換えるなら「絶滅させてしまった」のです。そのことを私たちは心に深く刻まなければいけません。

ちなみに、ニホンカワウソはユーラシアカワウソの亜種なので、コツメカワウソよりすこし大きいです。上野動物園にもいますので(香香の前です)動物園に自由に行くことができる日常が戻りましたらぜひ会いにいってみてください。上野動物園にはコツメカワウソもいます。

もうひとつのかわうそをめぐる問題「ペットブーム」

そして、もうひとつ考えていただきたいのは、日本のペットブームです。コツメカワウソがテレビやネットで紹介されるようになり、ペットで飼われることが多くなってきました。そのため、コツメカワウソの密輸が横行するようになり、逮捕者もでています。ニュースにもなったのでご存じの方も多いのではないでしょうか。

カワウソはIUCN(国際自然保護連合)により絶滅危惧種に指定されていて、ワシントン条約の対象になっている動物です。しかし、日本ではペット市場で100万円前後で取引されるため(タイやインドネシアなどでの現地価格は3000円ほどだそうです)密輸があとをたちません。密輸されるのは運びやすい生まれて間もない赤ちゃんなので、その親たちは殺され、取り上げられて売られた赤ちゃんも輸送の途中で死んでしまうことが多く空港のごみ箱に捨てられているそうです。
かわいいから飼いたい、という人間のエゴのために、多くの命が犠牲になるばかりか、動物のひとつの種を絶滅の危機にさらしています。

2019年8月にスイスのジュネーブで開催されたワシントン条約の第18回締約国会議で、コツメカワウソの国際取引が原則禁止となる提案が可決されました。とはいえ、いまだ今の日本の法律では登録さえすれば飼育ができる環境下にあるのだとこのフォーラムでIUCNの岡元さんがおっしゃっていました。イギリスでは完全に飼育不可です。日本では、私たちのモラルに委ねられているのが現状です。飼おうとする人がいなければ、買う人がいなければ、カワウソは売られれることがなくなるのです。

二ホンカワウソの復活

最後にひとつ朗報を。

2017年、ツシマヤマネコの生態調査のために設置された無人カメラにかわうそが写りこんでいたことから、一時期「ニホンカワウソが生きていた?」とホットなニュースになりました。カワウソクラスタ界隈では、実にざわざわしたものです。笑

この対馬のかわうその生態調査にも関わっている佐々木先生からの情報では、糞のDNA調査から雄雌2匹づついるようです!ずっと住みついていたのではなく、韓国周辺の島から台風などの折に流れ着いたのでは?と推測されています。
韓国のかわうそもユーラシアカワウソの亜種なので、(そもそもニホンカワウソが固有種なのかも定かではない)広義な解釈ではありますが「対馬にいたらそれはもうニホンカワウソと言っていいのでは」とおっしゃっていました。これからのさらなる生態調査に期待したいところです。

最後に。

きっと、ひとそれぞれ、違った問題意識をもって生活をされているのだと思うのです。でも、立ち位置や入り口は違っても、見ている方向と目指す方向はきっと同じで、それは、傲慢になってはいけない、高慢に生きてはいけない、ということなのだろうと思っています。私はそれをかわうそから学んでいるにすぎません。

かわうそを通して、環境のこと、動物をとりまく現実や人間の在り方について、考えさせられることがとても多いです。かわうそへの恩返しも兼ね、少しでもこの現状を知り、考えてくださる方がいらっしゃればと思いこの記事を書かせていただきました。最後までお読みいただきありがとうございました。

最後に②
トップの写真は台北動物園のコツメカワウソ、柚子と毛毛。
台北動物園ではしばしば野生のかわうそが生息している金門で保護されたユーラシアカワウソが持ち込まれ、飼育をしています。最近も女の子が仲間入りしていて「金萌ちゃん」と名前がついたそうです。このご時世、台湾に行けるのはいつのことやら、、、ではありますが、早く会いに行ける日がくるといいな。

最後に③
いままでの話題とかけ離れた「かわうそ??」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、食べることともうひとつの趣味はかわうそです。カワウソ活動の場は主にtwitterとなっております。

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