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デイサービスで大切にしたい6つのこと

今年の3月から、ずっと三人で話してきたことがあります。

それは、「どんなデイサービスにしたいか?」ということ。

ぼくたちは、身の回りにいる人を思い浮かべながら「この人が楽しいと思える場にしたい」とか「こう変わってほしい」という思いを起点に事業の内容を考えています。

このnoteでは、その過程で出てきた「これは大事にしたい」と思った6つのことをまとめてみようと思います。

【このマガジンについて】
来年の夏〜秋ごろを目指して、大学の同級生3人でデイサービスの立ち上げる過程のことやそれぞれが思っていることをnoteにしています。

① 個別に向き合うこと

「デイサービス」と言われた時にイメージするような大人数でレクや体操をするのとは違う、という話を三人でしてきました。

もちろん大人数を受け入れてくれる場所は必要だし、レクも集団体操もそれを楽しめる方にとってはなくてはならない場所かもしれません。

けれど、自分たちの身の回りにいる方を思い浮かべた時に「大人数で同じ過ごし方」では、その人たちに価値を感じてもらうのは難しいと思いました。集団でのレクが苦手でデイサービスに行くのをやめてしまった人もいれば、やりたいことはあっても大勢の中だと遠慮してしまう人もいる。

だから、ぼくたちが作るデイサービスはできる限り少人数で、集団での決まったレクや体操などのプログラムは実施しない予定です。

一人一人とゆったりとコミュニケーションをとりながら関係をつくり、まずはその人のペースで過ごしてもらうことができる心理的な安全を土台にしたいと考えています。

② 対話を重ねること

三人でデイサービスの話し合いをしている時、たまに考え方がぶつかる時があります。話せば話すほど平行線をたどっていくような感覚になることも。

きっと、同じような背景を持って生きてきた三人でも意見が違うんだから、年配の方や、違うバックグラウンドを持つスタッフとのコミュニケーションとなれば、この「分かり合えなさ」にはもっと出会うんだろうなと思います。

そんな時に急がず、一方が他方をジャッジせず、一緒に迷う過程も大切にできるチームでありたい。

すぐには解決しないぼやっとしたわだかまりは、焦らずに対話を続けていくと、完璧には相手の考えていることや思いがわからなくても、次第にその輪郭が見えてきたり、別の発見につながることがあります。

対話的であること、そのための時間を大切にすること。これはきっと、実際に運営を始めていくと簡単そうでとても難しいんだけど、忘れないためにここに書いておきます。

③ 心地よく非日常な空間であること

「いい空間をつくりたい」
これは、三人で共通している価値観です。

それはきっと、自分たち三人が素敵な空間や落ち着く場所、普段とは違う土地に身をおくことの価値を知っているからだろうなと思います。

ぼく自身、自然の中に身をおくとアイデアがやすやすと浮かび上がってくる一方で、閉鎖的で暗い環境にいると頭がぼーっとして働かなくなることがあります。

デイサービスでの「いい空間」ってなんだろう。
ゆっくりですがそんなことも話をしています。キーワードになるのは、「安心感」と「非日常感」が共存する場所。その場にくると、気持ちが前向きになったり、孤独感が紛れる空間。

そのためには、どんな土地で、どんな建物で、どんな内装で、どんな家具で、どんな光や音で包まれているべきなんだろう。

三人で最近訪れたいいお店や場所をシェアしながら、むくむくと妄想の解像度を上げていっている最中です。

④ 半自発的な活動が生まれること

「やりたいことってなんですか?」とたまに聞かれることがあります。ぼく自身は、この質問が苦手でいつもうまく答えることができません。

やりたいことがないわけではないけれど、とても些細なことだったりもするので取るに足りないことのように感じてしまい、自分でもあまり意識に登らせてないのかもと思います。

けれど普段の生活のなかで誰かと話したりしているとふいにぽっと「これ、やってみたいかも」と浮かんでくることがあります。

自分を起点にしてやりたいことが溢れてくるというよりは、誰かと関わる中でやりたいことが生まれてくるような感覚。気づけば最初は興味がなかったことでも、自然と前のめりになっていたりします。

はっきりとやりたいことが浮かばなくても、そこにいると「これやってみようかな」と思えるような空気感をつくれるといいな。

⑤ 緩やかな繋がりがある場であること

ぼくが働いている京都市にあるカフェ/ホステルのNINIROOM。ここには、国内外のゲストだけではなく、ご近所のおじいちゃん、おばあちゃんが憩いに来てくれる場にもなっています。

以前、毎日コーヒーを飲みに来てくれているご近所のある方に「どうしてNINIROOMにずっとくるようになったんですか?」と聞いたことがあります。

「なんでやろうなあ。ここにおる人と話してると気が紛れるからかなあ」と答えてくれました。それが、とても嬉しかったのを覚えています。

デイサービスという場が、「あの人に会いに行こうかなあ」と思える場所になったら素敵だなと思います。だれかと腰を据えて話すわけではなくても、なんとなくその場にいると孤独感が紛れるとか、のんびりできるとか。

そういうゆるい繋がり感を大切にしたいなと思います。

⑥ 働く人に余白と遊びがあること

「一緒に働く人にとっても楽しい場にしたい」

これは、三人で話し合いを始めたときから共通して考えていたことです。働く人の楽しさがその場を豊かにし、それは必ずサービスの質にも繋がるはず。だからこそ、まずは自分たち自身がその場を楽しむことを大切にしたい。

しかし、デイサービスで働いている友人や先輩の話を聞くと、どこも手一杯でなかなか余裕がある現場は少なそうです。自分たちがつくるデイサービスでも、時間的にたくさんの余白をつくることは難しいのかも。

だけれど、スタッフ自身がデイサービスを自分の場所として感じられるような余白はもっておきたいなと思います。

いま予定している、デイサービスの入り口に小さな本屋を設けることもそのひとつ。本が大好きなちかの思いを起点にして、デイサービスという場でそれを表現してみようという実験です。

この「遊び」のような「仕事」のような、あわいの部分が増えていき、関わる人全体に楽しさが伝播していけば理想だなと妄想を膨らませています。

あとがきのあとがき vol.6 | 映画のエンドロール、見る派です。

以前、三人で話し合いをしている時に「情報発信の方向性」をテーマにして、思っていることをシェアしたことがありました。

ぼく個人としては、情報発信はあまり得意ではありません。

一時期ライターとしての仕事をしていたこともありますが、目的がはっきりと決まっている記事は割とすんなりと書けても、今回のように自分の中からリアルタイムで伝えたいことを拾い上げ、しかもそれを継続するとなると、かなり考え込んでしまってなかなか文章が進まない…。

そんな時、ちかが「関係ないことでもいいんじゃない?」と声をかけてくれました。真面目で真剣な内容だけじゃなくて、デイサービスとはあまり関係なくてもその人がわかる文章もあっていいのかもしれない。

むしろ、その方が人となりが言葉に表れて「こんな人たちと一緒に働きたいな」と思ってもらえるのかもなあ、と思ったりします。

思い返してみれば、誰かの緊張の糸がふっと抜けた瞬間の表情に惹かれることがあります。この間見たnetflix限定ドラマの「First Love」もそのひとつ。ドラマ本編の緊張感や洗練された雰囲気と、メイキングやインタビューのちょっと抜けた感じ。一段と満島ひかりさんが好きになりました。

映画のエンドロールも最後までみる派です。余韻に浸りながらエンドロールを眺めていると、たまに最後に映像が流れたりします。一度エンドロールでゆっくりと映画の世界から抜け出してきた後に見るその短い映像は、奇妙なくらいリアルで記憶に残ります。あれ、ありがたいんだよなあ…。


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