2. 企画を作るときの目線

勘違いされがちなのが、企画は誰にも考えつかなかったアイディアをどんどん生み出すことではありません。

趣味でアートを作っているのではない限り、大体の企画は消費者、観る人、読む人、使う人がいるのが通常です。それを一般には「商品」と呼びます。商品というと少し冷たい印象を受けるかもしれませんが、実際「商品」を作るときは「作品」を作るときよりも愛情が必要です。だって、商品はそれを使う人のためを想って深く考え、試行錯誤を経て作るものですから。

タイトルにある企画の”目線”とは、誰に向けてこの企画は存在するのか?という、最初から最後まで変わらない視点のことです。誰に視点を合わせるかでその商品の特徴は大きく変わってきます。これはよく「ターゲットを絞る」という言葉に置き換えられます。

一度ターゲットを絞ったら、次はその人たちが何に困っているか、どんな不満を抱えているか、どんなものを欲しがっているかをリサーチや取材などから情報をかき集めた上で想像します。

どうでしょう? これだけで企画を考えるというのは無数のアイディアがあればいいというものではないことがおわかりいただけるかと思います。

一見当たり前のことですが、長年企画を作っている人の中でもこれをいつでも必ずできていると自信を持って言える人は多くないと思います。

ましてや企画を立てたことがないという人だと、これをすぐに実践しろと言っても難しい気がします。むしろアイディアが次々に浮かぶ人ほど、最初から一歩下がって、今企画しているこの商品を使う人のために…という視点には行きづらいかもしれません。今までにそんな人をたくさん見てきました。

まずは、今考えている企画が商品になったときに、これは誰が使うものなのか?を結構真剣に考えてみましょう。そして間違っても「私が良いと思うからこうしたい」なんて自分よがりな発言はしないようにしたいものです。

企画を考えているときに真剣にその商品を使う人のことを考えていると、自分から発せられる言葉の主語が「私」から「お客様は」、「消費者は」、「読者は」、「視聴者は」のように変わってきます。

誰かの更なる便利のため、困った人を助けるためなど、企画を作るって実は他者を想う愛を必要とする作業なんです。

それでは次に、どうやってその目線を定めていくのか、具体的なやり方をお伝えします。