コラム“映像ライム”
概要
映像によって生み出した韻。
あるいは映像によって強化された韻。
案1
映像の反復性によって韻律を生じさせる、映像ライムというものを考えた。
具体的には、ライムグループを形成する“音声”の第一句と第二句の再生箇所で、同じ映像を再生する。
1小節目(映像Aを再生)
2小節目(映像Aを再生)
試験的に「四面楚歌」のバースとフックに取り入れている。
案1への指摘事項
カロトから次のような指摘をもらった。(文章は意訳)
韻は完全な同語の反復でなく、似て非なる語の組み合わせである
したがって映像ライムも、まったく同じ映像を2回流すのではなく似て非なる映像の組み合わせで構成されるべきではないか
たしかに、これはその通りだと思った。
少し補足すると、映像ライムの定義として以下2種類が考えられると思う。
映像ライム(仮)の分類
類似した映像によって反復性を生み出した韻
同一の映像を繰り返し使用して反復性を強化した韻
1.は指摘にあるのと同じようなケース。
映像自体が韻の1フレーズであるため、たとえば音声を付けずに無音映像と無音映像の類似性によって構築することも可能だ。
2.は活字あるいは音声などによる韻が先にあり、映像がそれを補助するケース。
活字や音声が韻の1フレーズであり、映像は韻の補助要素になっている。
テキストを掲載せず、音声をカットした場合は韻が成立しない。
2.の類似の例として、テキスト中の一部分における“書体の一致”や“コーラスの有無”によって、韻の認識率を改善できる。
そのような補助の一種として映像を用いた、というのが2.のパターンだ。
「四面楚歌」は2.の考え方で作られているため、“映像ライム”という名称から1.を想像すると違和感があるのかもしれない。
リネーム
より正確に定義し直せば、1.は類似した映像によって反復性を生み出した韻なので、類似映像ライム。
2.は同一の映像を繰り返し使用して反復性を強化した韻なので、同一映像ライムと呼べそう。
類似映像ライムは未挑戦
せっかくなので、いずれ類似映像ライムも試してみたい。
“似て非なる映像”をどの程度の類似性にするか(=映像一致率)が見どころか。
余談
共作において、各自パートの映像を各自作成するルールにすれば、映像ライムのような見せ方を競うこともできそう。(企画“映像共作”)
(文/SIX)
from 韻韻
変更履歴
2022.3.25 メールマガジン用に書き下ろし
2024.5.28 note用に改稿
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