音読ライマーから見た表記ライマーの問題(後編)
概要
前編に引き続き、表記ライマーの問題点を考える。
音便化を考慮せず、表記ベースで韻を評価する
表記ライマーは表記時のかなで一致不一致を判断している。
「帝国」と「適当」の韻を、「EIOU」「EIOU」のパターンでとらえ、母音一致成立と判断する。
そのため、音便化によって認識ライムでは(意図ライムと異なり)一致率が低下することがある。
音便化が生じないライムフレーズであれば問題はないが、そうなるかどうかは運任せである。
筆者の感覚では、次のように韻をとらえる。
「帝国」と「適当」は、かなで表記すると「ていこく」「てきとう」。
音便化により「EI」が「Eー」、「OU」が「Oー」と変化し「てーこく」「てきとー」。
母音と子音と長音で表記すると「TEーKOKU」「TEKITOー」。
母音パターンは「EOU」「EIO」であり不一致。
「帝国」は「提督」などと踏むほうが母音一致率(およびリズム一致率)が高くなる。
「適当」は「激闘」などと踏むほうが母音一致率(およびリズム一致率)が高くなる。
補足すると、音源媒体等でも音便化による変化をあえて適用せず、表記のまま発音することはある。
(「帝国」を「てーこく」でなく「ていこく」と発音する可能性もある)
しかし活字媒体において、発音時の解釈は読者任せとなる。
可能な限り特殊な読み方は避け、素直に音読しただけで韻が成立するのを目指すべきだと考えている。
なお音便化するケース、しないケースのどちらが特殊であるかを検討する余地はある。
(文/SIX)
関連項目
コラム“音読ライマーと表記ライマー”
コラム“音読ライマーから見た表記ライマーの問題(前編)”
コラム“子音保有音と母音単音を区別したリズム合わせ”
変更履歴
2021.11.30 メールマガジン用に書き下ろし
2022.8.3 note用に改稿
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