ライムローテーション
概要
あるライムグループを接続する繋ぎの文章が、次のライムフレーズとして回収されていく構成。
それらの各ライムグループは出現位置の近いお待たせライムともいえる。
読者から見て、繋ぎとして使用された第一句は、その時点では“韻を踏まない部分”という認識になる。
そのため、じつは韻であるという事実が意外性につながり、第一句と第二句が近い位置であってもお待たせライムとして機能する。※1
例
お隣の庭か盆栽に
不平たっぷり募る にわか凡才なら
低確率の計画 いつもよりデカく見積もり
ステップアップ必要だろ
「庭か盆栽」「にわか凡才」のライムグループが解決された時点で、「不平たっぷり募る」は繋ぎの文章にすぎない。
そのため、そこが韻であると推測されにくく、読者にとって“踏みそうにない箇所”という油断に繋がっている。
お隣の庭か盆栽に
不平たっぷり募る にわか凡才なら
低確率の計画 いつもよりデカく見積もり
ステップアップ必要だろ
その後、「低確率の」によりライムフレーズであったことが明かされ、死角から不意打ちを受ける形になる。
お隣の庭か盆栽に
不平たっぷり募る にわか凡才なら
低確率の計画 いつもよりデカく見積もり
ステップアップ必要だろ
このように繋ぎとライムフレーズのローテーションを取り入れることで読者に驚きを与え、翻弄しやすくなる。
またライムグループの出現位置が一部重なっていることで、自然な文章に整えるための選択肢が増える。
これにより韻面積を維持しつつ、文脈の破綻を避けられることがある。
(文/SIX)
脚注
※1 わかりにくい例えをするならば、ミステリにおける“バールストン先攻法”のようなもの
from 韻韻
読者を混乱させることの優先度高すぎる。
変更履歴
2021.8.23 メールマガジン用に書き下ろし
2022.4.4 note用に改稿
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