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石油製品(燃料)の品質規格について(ガソリン編)

今回はアンケートの結果から、石油製品(燃料)についてのお話しをまとめます。

まさかの一票差

初めに
石油製品の中でも非常にポピュラーな物である燃料製品は、ほとんどの皆さんが生活の中で一度は購入された事があるのでは無いでしょうか。
では、実態としてその燃料がどの様な物から構成されているかをご存知の方は非常に少ないのではないかと思います。
(おそらく業界に勤めていても品質規格まで知っている方は一部かと思います。)

一般に規格と言いますと、製品の品質、物性を取り決めた物と認識されていると思いますが、実際には試験を行う方法(試験法)や、その試験法による許容差等が定められていたりします。
つまり、品質の数値的な規格だけではなく、どの試験法用いて試験し、どれだけの精度で試験機を保つかも規格の一部となっています。

燃料の品質規格について
品質規格と言えば、国内の多くの産業にて使用されている規格として、JIS(日本産業規格)と言う物があります。
例に漏れず、国内で流通している石油製品についても、このJIS規格が定められております。

JISマーク(一覧)

また石油製品(燃料)については、環境保全の面や、製品安全性の重要性の高さから、品確法(揮発油等の品質の確保等に関する法律)と言う物が定められており、品確法に定められている規格を、一般に品確法強制規格と呼びます。
品確法強制規格を満足しない製品を出荷、販売した場合は法令違反となりますので、行政罰(過料、操業停止、登録取り消し、等)を受ける事となります。
品確法強制規格の遵守と言うのは、各石油製品販売業において、最低限守るべき規格と言う事になります。

一か月ほど前に東亜石油で発生した事例についても、この品確法強制規格に定められていた、ガソリンの鉛試験を実施していなかった事が話題となっていました。続報がありませんのでどの様な処罰となったのかはわかりませんが、非常に重大な違反である事には間違いありません。
(鉛試験が現在の国内規格として適当なのかと言う話もありますが)

その他にも海外規格としてAPI(American Petroleum Institute)規格や、IP(The Institute of Petroleum)規格ISO規格(国際標準化規格)等があります。
主に石油製品のJIS規格(規格試験法)は、上記の海外規格等から引用されている物が多く、国内外での規格に大きな齟齬が起きない様になっています。
ただし、海外規格の改定があり試験法が追加、削除等が行われてしまった際に、海外試験法から国内規格に降りてくるまでのラグが発生する事も多々あり、各事業者は様々な規格をリサーチしながら品質確保に努める必要があるわけです。

では、実際に各燃料の規格についてを解説していきます。(紹介内容は国内規格を主とします)


燃料の品質規格について
今回の燃料油の品質規格の紹介ではLPGはのぞいて、ガソリンJET燃料灯油軽油重油についてを紹介します。
(長くなりすぎたので、まずはガソリンだけの紹介とし、後日、そのほか4製品も紹介致します)

出典: https://jaf.or.jp
  • ガソリン
    ガソリンについては皆さんがご存知の様にハイオクガソリンレギュラーガソリンがあります。
    JIS規格では、オクタン価、密度、蒸留性状、銅板腐食、硫黄分、蒸気圧、実在ガム、酸化安定度、組成(ベンゼン、MTBE、エタノール、酸素分、灯油分)、色の11項目が定められています。この中でレギュラーとハイオクで差があるのはオクタン価だけとなっています。(もちろん、組成は全然違いますが、規格値に差は有りません)

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