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壮大な恐怖、ビデオロゴ

どハマりするジャンルの大抵の第一印象は、「怖い」であることが多い。今となっては大好きな、幼少期に見たエヴァンゲリオンの映像は怖かった。子供は、壮大なのに何を意図しているのか分からないものに対して恐怖を感じることが多いそうだ。そう言われているのも納得である。昔、日曜日の夜に日立のCM『この木なんの木』を見て、木の生命力の偉大さを思わせる映像と荘厳な女性の歌声に底知れぬ恐怖を感じて大きなソファの裏に隠れていた。ずっと恐怖の理由がわからないでいたが、今になって分かる。壮大に世界観が作り込まれている作品に、何故か幼い子供は恐怖を感じるのだ。

壮大で理解不能で幼少期に恐怖心を覚えた対象として屡々挙げられるものとして、ビデオロゴがある。アニメ映画などのDVDをかけると最初に流れる、あの意味の分からない映像である。ビデオロゴは、企業の当時の最先端のCGアニメーション技術を駆使して作られた映像であり、あの10秒程度の短時間で如何にして自社の技術を見せつけるかと切磋琢磨の中で生まれた賜物なのである。そりゃあ、子供が理解するには壮大過ぎて恐怖の対象になってしまう。

私もビデオロゴに恐怖心を抱き幼少期を過ごした者だ。vapの映像なんかとりわけ怖くて、謎の青い空間にでかい灰色の手が開かれて壮大な音楽と共に銀ピカのロゴが飛び出していた。怖かった。しかし現在はノスタルジーを醸し出しつつも色褪せないビデオロゴの世界観に魅了されていて、ビデオロゴ集などをよく見てしまう。

壮大なものに対して感じる恐怖と似ている感情と、夜の怖さは似ていると思う。子供の頃は夜は無限に続く時間のような気がしていて、底がなく続いていく暗い空間に恐怖を感じていた。しかし、中学生のときに初めて一睡もせず夜を明かしてみて夜の有限性を知った。夜が終わる瞬間を見てしまえば恐怖心など薄れてしまった。それはそれで寂しいのである。





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