見出し画像

【デイケアのお風呂場から】お父さんを預けた娘さんへ


※特定されぬようフェイク入れてます

娘さんへ

あなたは言いました。

「この父をお風呂に入れるなんて、大変なことをお願いして申し訳ない。
大きいし、動かないし、わがままだし、怒るし。
ボケて何度も同じこと聞くし。
ほんとに、すみません」

娘さんは、ご存知なんですよね。
お父さんが仕事着を着て毎日遅くまで働いて、
食事時には食べ方に厳しくて、
その手が大きくて強くて、
社会のことをたくさん知っていて。

だから、
「こんなになってしまって」と思うかもしれない。

私たちは、今のお父さんしか知りません。
そして、私たちなりのお父さんとの日々が始まってます。

脱衣所からお風呂場へ行くときに手が冷たいこと。
握ると「アンタはあったかいなぁ」といつも言ってくれること。
シャワーはぬるめが好き。
頭はガシガシ強めに洗ってほしい。
足の裏を洗うと、くすぐったいから足が逃げる。
お風呂は、だんだん熱くしてほしい。
長湯したいから、もう出ましょうかと声をかけても1度目は絶対に出ないこと。
冬は肌着もシャツもズボンに入れるけど、夏は肌着だけ入れてシャツは外に出すこと。
ドライヤーで乾かしたらオールバックにしてほしいこと。
娘さんが買ってきてくれたヘアブラシが、お気に入りなこと。

私たちは今のお父さんしか知りません。
そして、お父さんとの日々は面白くて楽しいです。

お父さんとご縁をいただき、
ありがとうございます。

またお風呂を沸かして、お待ちしてます。

写真:いつ見ても笑ってる気がするモミジの種

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?