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食感

~ようちえんの記憶~

舞台は変わりまして新潟にいた頃の話を。

私は幼稚園から小学一年生までの四年間を新潟で過ごしました。
歩いて10分のところに海があり、夏場は暑くも潮風に吹かれたりして
子どもながらいい場所だなあと思いながら過ごしておりました。

そんな新潟に住んで二年が経ち、”年中さん”に上がった頃にとある事件が起きます。

幼稚園のある場所は海とは反対方向で、車通りの多い傾斜の大きな坂を上がったところにあります。

その日は休日だったのですが、親子参観日のようなイベントがあり、両親と一緒に幼稚園に向かいました。

イベントの内容はちゃんと覚えてはいないのですが、クラスのみんなとその両親とでお弁当を食べる時間がありました。

各々その持参してきたお弁当を食べるわけですが、
私のお弁当の中身はというと、サンドウィッチでした。

パンにはツナ、トマト、たまごと、大好きな具材がいっぱいです。
わくわくが止まりません。

休みの日なのに周りに友達もたくさんいて、気分もずいぶんと高揚しています。

「いただきます!!」

手を合わせていざ食べ始めようとしたその時、とろけるチーズ(正方形にパックされたチーズ)の存在を失念していた私は、”とろけないチーズ”をもらい、後乗せして頬張ります。

「おいしいなあ。でもなんか喉が渇いた」

食べながらそう思った私は、父から水をもらいます。
恐らくこれが、最大の過ちだったのでしょう。

「うう…おええええくぇfffqfQ」

口の中に水を流し込むと同時に”とろけないチーズ”が キュッ と固まり、
なんとも形容しがたい、ただの気持ち悪いブツに大変身。

直ぐ吐き出しました。

イベントの内容が思い出せないのは、きっとこの食感に素敵な思い出ごとすべて奪われてしまったからなのでしょう。

幼稚園からの帰りに

「二度とチーズは食べない!」

その食感を思い出しては、散々文句をいいながら
大きな坂を早歩きで下って家まで帰りました。

それからの固形チーズ嫌いは語るまでもありません。
でもなぜか、ピッツァのチーズはいけるという不思議なお話。

みなさんも、固形チーズと水の組み合わせにはご注意を!!
生ぬるいと尚最悪です。


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