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「するがてふ」−現金だからできたこと−『名所江戸百景』

雪が降った!
嬉しような、寒すぎて震えてしまうような。
東京だとあまり喜ばれませんが、なんやかんや降るとテンション上がりますね。

そんな寒い今日も広重
今回は『名所江戸百景』「するかてふ」です。

富士山を正面に迎え、駿河町の大通りを伸ばしています。
これまた富嶽三十六景で見たことある景色ですね。

これこれえ!「江都駿河町三井見世略図」ですね。
富士山と商店の屋根屋根の三角のリズム。
三井の呉服店の看板、正月早々から屋根の補修工事している様子。
そのいくつかの様子の重なりが面白味を増している作品でしたね。

そんな駿河町ですが、やはりこの絵でも三井の商店が立ち並ぶ様子が名物であるらしくてやはり描く対象となりました。

呉服商三井越後屋は富士山を背景に商店街を構えました。
商品ごとに店を分けて織物を絹や綿で分けるような売り方をして消費者のとって買い物のしやすい売り方をしました。

三井は「現金掛け値なし」という新しい商法を編み出しました。

当時の一流の呉服店では得意先から注文を受けてからその後に品物を持参する形で商売をしていました。
これを見世物商い、屋敷商いと言いました。
その支払いは購入した時にするのではなく、お盆、年の暮れの二季節払いまたは十二月の極月払いで一気に支払う方法が取られていました。
そのため貸倒れや金利が嵩んで資金の回りが悪かったことが難点でした。

そこで三井の高利はそれを改善するために商法を変えました。
まず、。売り方を店の前で商品を売ることでわざわざ商品を持参するなどしなくて済むようにしました。そのために値段が従来よりも下がり、定価制の店頭販売を行いました。
そして支払い方法も、一気に支払うことでその時に苦しくなることを防ぐために現金取引を推奨しました。
そうすることで資金の回りを早めて経済を回し言ったようです。


なので(?)絵の中の看板には右手前は「呉服物品々」と書かれていたり、左品々には「太物類品々」とか書かれています。
これは商品が店頭に並んでいることを示し、店構えと売り方のプロデュース方の変化が見られますね。

一流呉服店とそこの”お客さま”だけの関係で済んでしまう商売関係ではなく、庶民との売買を始めることで反物の売り方にも変化が起こります。
「切り売り」という方法は呉服業界ではアウトとされていました。それは業界的には一反ごとの取引を常識としていましたが、それを破って客の需要に応じて売る単位を臨機応変に変えていました。
そうすることで金持ち金持ちのみでの取引というよりかは消費者は市民全員というスタイルにしたのです。

だからなのか、この駿河町の三井商店は人々で賑わっています。
さまざまな物を背負った人々や女性たちの群。
右手前には棒手振りがいます。
まるで昨日の日本橋にいた半台の中の鰹がこっちに来たかのような想像さえできるほどつながっていますね。

今日は商法や経済についての知識ゼロの私が背伸びしました。

今日はここまで!
#歌川広重 #名所江戸百景 #するがてふ #駿河町 #現金掛け値なし

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