『こぽぽ水中』感想

 ロングコートダディ単独ライブ『こぽぽ水中』(2023)を、2024年5月29日〜6月5日の再配信で視聴した際の感想備忘録です。

 再配信終了からだいぶ時間が経ってしまいましたが、自分用に残しておきます。

 大ネタバレにつきご注意ください。


【詰み】

 ED前のラストシーンと同じ堤防を使ってるのが粋で好きです。

 イベントが発生してNPCに道を塞がれてしまうのあるある……笑
 とりあえず走ってみたりジャンプしてみたり攻撃したりしてみる演技が上手すぎる。

 🐰が海に落ちてネタが終わり、海に沈んでいく様子が描かれたOPが始まるの、とてもお洒落。

【OPV】

 個人的に四季で一番「死」を感じるのが夏なのですが、夏特有の「爽やかな空気のなかにピリッと走る息苦しさ」をこの曲と映像からも感じました。もうすぐ夏だなぁ。

 全編見終えてから見返すと「心中しよう」というワードにいろんな意味でドキッとさせられます。

【板前と女将】

 初めて見たとき「NIRVANAのTシャツだ……カート・コバーンは今も地獄で魂鍛えてるのかな……」と思いました。オサジマさんと死神さん、元気かな。

 Dの大喜利力がめちゃくちゃ活かされている……!ツヨシの憎めないキャラもさすが。愛さずにはいられない。ボソボソなんか言ってるの、テレビの収録中にうさちゃんがやってるのよく見るよね🐰

 「何の確証もないけど、ユカちゃんなら絶対日本一の女将になれる!」と思える終わり方が好きです。

【VTR「スロイジボツ解けルーティン」】

 ポーランかわいい☺️
 確かに「ガイ」って読みそうな漢字なのがツボです。

【マックス】

 犬飼いにはたまらないネタでした。あのマスクで出オチで終わらないのすごすぎる。

 うちの犬も自分の名前や「ごはん」等のワードを聞くと、それまでやっていたことそっちのけになるけど、確かに受験生だったら大変だ。

 『ヤンキー大敗』を彷彿とさせる🐰!頭良いのずるいな〜!

 切ないけれど「ジャーキー」ですべて吹っ飛んでしまう感じも犬すぎた。

【VTR「脳内全しゃべり〜兎の釣り編〜」】

 目に映ったものにツッコミを入れていくスタイル🐰
 五感と想像力を存分に使って生きているのが伝わってきてとてもよかった。
 「都が許さねぇよな」が瞬時に出てくるあたり、センスが滲み出ている……!

【岩壁に封印されしウィザード】

 なんか『金色のガッシュ!!』を思い出しました。ウィザードは👓の言葉がわかっているのか否かが気になる。

 時々日本語とリンクするのもリアル。言葉選びが絶妙に面白くてとても好きなコントです。

 最後成功するバージョンも見てみたいなぁ。

【VTR「堂前日記」】

 シンプルに折り紙の技術がすごい。大喜利力と折り紙力で殴るDのセンスよ。

 マユリカは確かに折り紙で表現しやすい芸人かもしれない。

【死ぬ人ら】

 まさに超ハイテンポな楽曲のMVを見た気分。
 「生きてりゃ良いことある」ってなんだか綺麗事に聞こえるけれど、もしかしたらこういうことなのかもしれない。

 オチが大好きです。これまでの単独の表題コントを思わせる救いを、このスピード感でも描けるのすごい。

【VTR「脳内全しゃべり〜堂前の散歩編〜」】

 うさちゃんは五感メインで想像力サブな感じがしたけど、Dはその真逆な気がしました。

 道棒→パン食べたいのところ、スネアケース→巨大固形燃料と同じ脳の使い方を感じて好きです。
 「あ〜猫飼いたい。あ、飼ってたわラッキー!」とてもわかる。

 最後、「くっせぇ川!」で相方とリンクするのさすがですね。

【好きっていいなよ。】

 とにかく楽しそうなのが好き〜!
 ホワイトボードでふざけるのがとても上手い笑

 「しゅきしゅき関係」の言い方が愛おしいすぎる。最後の「警部は僕をどうするつもりだ!」と「お前……!」の情けなさがクセになりました。

 セッ……は言えるのに好きは言えないの、あまりにもD。うさちゃんは逆だと思う。

【VTR「グッズ中川」】

 Dは本当にうさちゃんのお顔が好きなんだなぁ笑 確かにうさちゃんのお顔のポテンシャルが高すぎて毎年単独で弄られてるのに飽きなくてすごい。

 エリンギキーホルダー、毎公演即完売……!需要が高すぎる……!笑

【こぽぽ水中】

 毎度感じているけれど、一見お笑いとはかけ離れた題材でも、Dの発想とうさちゃんのポテンシャルを掛けあわせればちゃんとお笑いになるのが好きすぎる。

 死を描いたネタは今までもあったけど、こぽぽは最初に書いた「夏と死」のイメージに一番近いと感じました。爽やかだけど息苦しくて、ずっとなにかに迫り立てられるような感じ。

 「俺これ見てられんだよ」、ニシにとってギンがどんな存在なのかが一瞬でわかる名台詞だっと思います。「ギンが食べているのを見ていたい」というのは即ち「ギンが生きているのを見ていたい」であり、「ギンに食べさせたい」のは「ギンに生きていてほしい」の意である気がしてしまう。

 そして、食べてるだけであれだけの間を持たせることができるうさちゃん。アイコンタクトが笑いを誘うのすごいなぁ。
 今見ると、Dが「ご飯をいっぱい食べることは男らしくてカッコいい」「手作り(の料理)には愛情がこもってまう」と言っていたのを思い出してふふっとなります。

 「寝る前に一回笑っときゃ、『あぁ今日も楽しい一日だったな』って脳が錯覚すんだよ」とてもDらしい考え方だなと思いました。ニシもそうしないとやっていられなかったのかな。

 外から物音がして様子を見に行くシーン、ニシが胸ポケットから取り出したピストルがキラリと光るのがカッコよくて憎い。絶対にギンに見つかってはいけないから、ずっと肌身離さず胸元にしまっていたんだろうな。

 留守番中に心配で泣きだしてしまうギンと、死んだフリをして揶揄うニシのやり取り。親子でも兄弟でも恋人でも友達でもないけど、確かにそこにある愛の大きさから二人の一年間を想像させられて泣けちゃう。
 シリアスな場面からの「病院行ったって言え!」と「俺がやっちまったのか!?」の塩梅がクセになります。

 プレゼント交換で真珠を渡すのも、今となっては後に誕プレでダイヤモンドを渡す様子と重なっちゃうな。「綺麗なものを共有したい」ってものすごく大きな愛だと思います。

 鉄砲の作り方なんて知らないとニシが告白するも、既に眠ってしまっていたギン。「最年少無呼吸じゃねえか」と「すまねえな、ギン」の言い方が愛おしそうで切なかった。

 いよいよ追い詰められていくニシ。ピストル(鉄砲)と同じく、ギンが見つけたらそのまま死へ踏み出してしまうであろうシャッターを、ギンの手で開けさせるのがとても悲しかった。そして、シャッターが開く瞬間の演出がとても美しかった。照明もこぽこぽ言ってた。

 死にたがるギンを引き止めるような言葉を遂に零してしまうニシ……死なせてやることはできるけど死んでほしくないからずっとピストルを隠し続けてきたり、自分が追い詰められて生きるのが苦しくなったら一緒に死んでしまおうかと自暴自棄になったり、ニシの人間らしさが美しくて苦しかった。

 ギンが走馬灯を見る場面。ニシの「お前……俺ばっかじゃねえか……」の言い方にこちらもつられて泣きそうになりました。死にたがっていた少年にとって、一年ってどれだけ長かったんだろう。ニシにとってはあっという間だったのかな。

 月が輝く堤防で、海に何かを撒いているニシにドキッとさせられたあと、ギンの声が聞こえてきたときは心底安心しました。きっと、引き金を引いたあとのニシも同じだったんだろうな。
 ギンの両親と同じ道を選びかけたニシを救ったのが「綺麗にもほどがある」真珠だったの、綺麗にもほどがある。そういえばあのとき胸ポケットに真珠を入れてたなぁ。

 「死にたくないかもって思っちまった」と言った直後の「もう一回鉄砲作ってくれよ!」という台詞、ギンは「ニシが自分と一緒にいてくれるのは鉄砲を作ってくれている最中だから」だと本気で思っていそうでちょっぴり切なかった。でもそのあとに「おれが死ぬまで、おれと一緒にいてくれ!」と続いたことで、それまで死ぬ理由しか持っていなかったギンが「ニシと一緒にいたい」という生きる理由を見つけたのかなと感じました。

 これは『Laundry』でも感じたことですが、お二人が表現する「愛の対象が移り変わっていく様」がとても好きです。アニキからギンへ、とーちゃんとかーちゃんからニシへ。二人にとって一緒にいたいと思える存在は、一年間という時を経て変わっていったんだね。

 幕が閉まる直前、女将がこちらにお辞儀をするのとギンが双眼鏡で客席を見てくれて、最後の最後までほっこりさせられました。あと、おでこ治ったんだね。よかったよかった。

【EDV】

 「死ぬまで生きたら褒めてよ」という歌詞のおかげで、ギンは死ぬまでニシと生きられるんだなと安心しました。

 あとグッズ担当、本当に「別の中川」に任せていたとは……笑


 二人が本当にやりたいことを自由に表現できているのを感じる、海のように広々と伸びのびとした単独ライブだと思いました。私も息がしやすいところを探して転々としながら死ぬまで生きてみよう。

 うさちゃんのお家で、ニシとギンが幸せに暮らせていますように。

 また何か思い出したら追記します。

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