合同には乗らなかった短文供養
※タイトル通りです。
自分ですら書いたことを忘れていたのでそういう感じで読んでください。
当時付けたタイトルは、「衛藤可奈美は孤独なのか」。
衛藤可奈美という少女はね、とにかく強い。
禍神と化した十条くんも容赦なく叩き伏せるし、頑張ったら四段階迅移も使える。
その強さが災いして仲間である糸見沙耶香からも「可奈美だけひとり、遠い所にいる」とまで言われてしまった。
剣の師である藤原美奈都からも強くなり過ぎたら最終的には孤立すると言われているし、正直ぼくはなんとなく衛藤可奈美は孤立してるもんだと思いこんでいたんだよな。
でも本人がどう感じているかと実際はどうかっていうのは得てして違うもので、可奈美自身は孤独を感じているかもしれないけど実際はそうじゃないのかもしれないねっていう話を今からしようと思う。
ここからの話は長文おじさん合同の著者である「おじさん」氏や「なまにく」氏から着想を得ている部分もあるので、掲載はされないかもしれないな。
されなかったら発売後にnoteにでも掲載するよ。してるよ。読んでくれよな。
まず衛藤くんが本当は孤立してないんじゃないのって思ったのは円盤6巻のSSを読んだときの話なんだけど、衛藤くんは他人の技を使っているんだよな。
もうそれだけで孤独じゃないじゃん。
いるじゃんそこに皆が、笑わせんな。
今まで闘ったすべての人が一緒に闘ってくれてるじゃん。
そこまで考えて思い至ったのだけれど、「一緒に闘う」には内里式ダブルミーニングが存在するんだよな。
強化版内里の思い描く「一緒に闘う」相手がいなくなるというのが衛藤くんの孤独の原因なわけだけど、綺麗な内里が思い描く「一緒に闘う」なら沢山いるじゃん。
良かったな可奈美、ひとりじゃないぞ。
まあ、そういう話ではないのだよな。
結局強化版内里の言う「一緒に闘う」は解決していないからね。
結局半分救われてないじゃーんって言う話なんだけど、せっかくだからここでちょっとだけ24話の話をしようね。
24話で可奈美が美奈都と闘うシーンについてなんだけど、ぼくはこれには二つの意義があると見ている。
一つ目は家族としての区切り。
衛藤くんが6歳のときに本物の美奈都は亡くなってしまうのだけど、この時衛藤くんは涙を見せないんだよな、我慢してしまう。
そして現在執筆中の(本当は最初に書き始めた)原稿にあるように、彼女はここで一度歪んでしまう。
それを、もう一度「お母さん」と呼び泣くことで正すことができた。
これは本来十条親子のように言葉の対話によって解決するほうが一般的なんだけどまあそれは衛藤親子だからね。
逆に言葉によってわだかまりの解けた十条親子は剣を交える必要はなかったように、家族によってコミュニケーションの仕方は違うのだろうね。
そして二つ目は剣客としての区切り。
衛藤くんは美奈都と立ち合い敗れこう口にするわけ。
「やっぱり強いな…。全然勝てない。」
それに対して美奈都は
「いいのそれ認めちゃって。帰れないよ?」
って言うんだよな。
まずなんで可奈美が勝ちを認めたがらないのかというと、自分より強い刀使の存在が必要だから。
現世には自分より強い刀使はもういないかもしれない、そうしたら本当に強さ故に孤立してしまう。
でも隠世なら、死者ならどうだろうか。
真希さんが結芽に勝てなかったという事実が呪いにもなるように、可奈美が美奈都に勝てなかったという事実は希望にもなるんだよな。
死者はずるいんだよ、もうどうやっても覆せないから。
ここで勝てなかったことにしておけば、可奈美は一生最強にならずに済む。
でもこれには負の面もあって。
可奈美がここで負けを認めてしまえば、現世にて可奈美に勝てないからと諦めてしまった人たちを肯定することになるんだよな。
勝てないのを認めて、諦める。
周りが皆そうしたらどうなるか。
孤独になるんだよ。
最強にはならずに済むけど、過去しか縋るものがなくなってしまう。
そんな心境で現世に帰れるだろうか、帰れないんだよな。
美奈都はそれが分かっててそれでいいのかと声をかけるわけ。
まあ正直に言えばまだまだ美奈都のほうが強い。
可奈美が勝った際も篝は
「美奈都先輩はとんでもなく弱いときがある」
と言っているようにね。
それでも免許皆伝したのは娘を現世に帰すためなんだろう。
本当の娘でもないのに、本当の体でもないのに。
自分自身こそ最強の果てに孤立しかねないくせに。
自分の孤独よりも娘を選ぶあたり、やっぱり母なんだよなって何の話をしてたんだっけ。
そうそう、話を本題に戻すと衛藤くんは孤独かという話になるんだけど、そうじゃなかったよね、十条くんがいたよねって話だった。
24.1話での捨て身の特攻、あくまで試合だけの薄氷の勝利。
実戦だったら写シをあと2回残している衛藤くんはひとつの太刀を食らったところで負けてない。
それでも、そこまでして自分をひとりにはしないぞと行動してくれる仲間がいて。
それが姫和ひとりだけではないんだよな。
あの日隠世で自分より強い相手に諦めなかったからこそ、自分を諦めないでいてくれる仲間と再会できたんだよ。
これで可奈美が孤独なんて言えるか?
私には無理そうなんだよな。
刀使ノ巫女においてもっとも重要なのは「精神の救済」であって、実際がどうであろうと関係ない。
強さでひとりだけ遠い所にいたとしても、精神が寄り添っていればそれでいい。
だからぼくは自信をもって言ってやるわけ、もう可奈美はひとりじゃないって。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?