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【対談】「1人のアスリートとして」大久保友博×梅林太朗

はじめに

始まりは1通のDMでした。

レスリング部に所属する梅林選手は、Instagramのライブ配信で筋トレの情報を発信したり、自分のグッズを作成して販売していました。

その姿は僕の目には独特に移りました。
この男はどんな世界観を持ってレスリングをしているのだろうか。そして僕はこう思いました。

「コイツおもれえ。話したい。」

そう思った瞬間、僕はドン引きされるのを覚悟の上でTwitterのDMで突撃しました。その時の写真がこちらです。

そして会話を重ねるにつれて、立場など関係なく「梅林太朗」という男の作り出す世界に引き込まれる自分がいました。

この記事は、そんな梅林の魅力を少しでも引き出したいと書いた対談記事です。体育会という組織を飛び越えて1人のアスリートとして活躍する彼の姿を届けます。是非、最後迄見てください。

梅林が発信を続ける理由

大久保
「俺からいきなりDM来てどう思った?」

梅林
「んまびっくりってのが第一印象かな。
早稲田の他の自分とは違う人種に興味あったから、嬉しくもあった。驚き、嬉しい、興味。この3点。」

大久保
「初めてZoomっで話したとき、インスタライブやTシャツ作ったりしてる理由を尋ねたら、『レスリングだけじゃ食えない』って言われて衝撃を受けた。その辺りもう1回深堀りたい。」

梅林
「オリンピックで本当に出られるくらいの選手だったら、企業からお金貰って…ってことが出来る。でも、それが出来ない選手の方が多い。選手は会社を広報する為に雇われるから、怪我した時に競技だけで食っていけるわけじゃないわけよ。」

「そうなったら、自分でお金を生み出すってことが出来ないと、企業にとってもアスリートにとってもメリットがない。だから、広告とは別の形で価値を生み出さないと、これからはキツくなってくるんじゃないかと思う。例えば、アスリートとしての知識を使って社員の健康をサポートする形とか。」

「そんな試みの一環として、ノーリスクで自分に出来ることってなんだろうって思って、発信はやってる。自分をブランデングして、グッズ出してみたり、SNSでトレーニングを配信したりして、反応を見てる感じだな。」

「引退後にしても、意味ないとは言わないけど、価値は下がるわけよ。現役中にそういうことをやっておくからこそ、ネットで自分の価値を保存出来る。だから、今の内に出来ることをやっている。」

大久保
「完全に同意。SNSだったらアーカイブで見れるもんな。」

梅林
「俺、これを卒論で書いたわ(笑)」

大久保
「すげーな(笑)
早稲田のレスリング部じゃなくて、1人のアスリートとしての価値を掘り下げるってことか。」

応援とは。

大久保
「ケガした時何が1番辛かった?」

梅林
「人の試合を見ること。自分が優勝を懸けて戦うはずだった試合で自分じゃない人の試合を見るのはキツかったな。」

大久保
「なるほどね。ドン底の時って何て言われたのが心に残ってる?」

梅林
「ケガを経験した人にリハビリ頑張れよとか言われると心が落ち着いたな。でもそういったことを経験してない人に言われると『いやお前わかんないでしょ』って思ってしまう。」

大久保
「それ聞くと俺、ずっと考えてることがあって。
野球部の応援とかでずーっと出てた人がベンチ外にいたすると『ケガしたんか…』って思っちゃうやん?その時どんなこと言えばいいんだろって思うのよね。」

梅林
「その選手にとって復帰が目標だとするじゃん?そしたら大久保も同じくらいの目標を設定して『俺もここまでやるからお互い頑張ろう』ってのが良いと思う。」

大久保
「なるほどね。確かに頑張れよって言われても、皆その人にそう言ってるもんな。」

梅林
『俺も頑張る』って伝え方だね。」

大久保
「めっちゃ勉強になるわ。ただ頑張れって言ったって思考停止だもんな。」

梅林
「正直頑張れって言葉は嫌いなのよ。言われなくたって頑張ってるし。これ以上何をどうしろと?って話で。だから、頑張れに代わる新しい言葉は作りたいよね。」

大久保
「なるほどね。4年間正直頑張れに代わる言葉が思いつかなかった。正直『これ以上頑張ったらコイツ死ぬだろ』って思ってても、結局それを言葉にするとしたら『頑張れ』しか出てこない。」

「どういう言葉掛けをしたら良いんだろうね。ホントにそこが分からなかったわ。例えば野球とかだと、明らかにもう無理ゲーでしょって試合でも『頑張れ』って言ったって酷だろって思ったり。」

梅林
「頑張れってよりは褒める方が良いかな。
ちょっとした良いプレーで『キター!』『良いぞ!』って煽ってくれると嬉しい。」

「頑張れって言われると『もうやっとるわ』ってなるけど、些細なところで『それ良かったぞー!』って言ってくれるといいかな。『おし、いくか!』ってなる。」

大久保
「競技中は?ワーワー騒ぐ方がいいのか、プレーに集中するために黙っとく方がいいのか。」

梅林
「正直集中してるから始まったら何も聞こえないよ。でも追い上げたりする時の盛り上がりは、相手に緊張を与えられると思うから、その意味ではめっちゃ助かるね。」

大久保
「その発想はなかったな。応援は味方を鼓舞するだけじゃなく、相手に脅威を与える役割もあるんだね。」

梅林
「そういう雰囲気作ってもらえると助かるな。」

大久保
「コロナ禍で組織としての応援が出来なくなった。その時に、応援する機会がないから、今までのスタイルじゃ通用しないと思ってる。」

梅林
「時代は変わるからね。結局強い奴が生き残るんじゃなくて、進化し続ける奴が生き残る。

大久保
「応援の機会もない。そうなってきた時に残るのって、人と人との繋がりじゃん?例えば今年の早慶レスリングは行けないけど、俺は梅林応援してる。レスリング部の梅林じゃなくて、1人のアスリートとしての梅林を応援してる。」

梅林
「そうなってくると、横の繋がりって凄い大事だよね。」

大久保
「正直2年の頃にレスリング観させてもらった時は『部員AがアスリートAを応援してる』って状況だったわ。」

梅林
「2年の頃だったら俺出てたね。」

大久保
「恥ずかしながら、全く覚えてないのよ。今痛烈に後悔してる。」

梅林
「大久保が野球やってるとして、ただ同じ大学のやつってだけの人が応援するより、友達が応援した方が嬉しいでしょ。それと同じだな。」

大久保
「今年はいつもとは違った観点で、ライブ配信で観てるわ。」

レスリングの魅力

大久保
「レスリングの魅力って何だろう?」

梅林
競技者にしか分からない駆け引きがあるところ。」

「基本的に相手のどこかを触ってるから、相手が何をしたいか読んだり、逆に自分がしたいことをさせる為にどんな動きを誘導するかとか。やってる奴にしか分からない駆け引きがある。」

大久保
「梅林が見る側としていたら、そういう所を見る感じ?」

梅林
「そうだね。この選手が得意な技をいつ仕掛けるのか、逆にその技を囮にして別の技を掛ける…とか。」

大久保
「見る側にリテラシー求められるんだなあ。
素人が見るなら、どう見ればいいのかな。」

「メジャー」と「マイナー」の違いとは?

梅林
「それはマイナースポーツとメジャースポーツの違いの話をしないとな。
メジャースポーツって自分と比べやすいのよ。例えば、ボルトが100m速いって分かるのは自分も100m走ったことがあるから。野球やサッカー、水泳も大体小さい頃にみんなやったやったやん?そこの身近さかな。」

大久保
「なるほど。」

梅林
「じゃあレスリングは?ってなった時、凄いのは頭では分かっても、やったことないじゃん?競技の難しさが体感では分かってないわけ。」

大久保
「確かに『やったことない』ってデカいわ。結論そこだわ。分かんねーもん。レスリングやったことないし。」

梅林
「だから、ルールとかじゃないんだよね。
例えば、総合格闘技の朝倉未来っているじゃん?」

大久保
「俺、チャンネル登録してるわ(笑)」

梅林
「その人がレスリングやったら、ファンの人は見るでしょ。だから、ルール理解する云々じゃないんだよね。結局のところ、競技者が情報発信をしているかどうかってのが大事。」

大久保
「確かに、俺らも吉田沙保里さんのレスリングの技術とかじゃなくて『霊長類最強』というキャラクターに魅せられてるよね。」

梅林
キャラクター知らなきゃ応援出来ないでしょって話。だからSNS上で発信して、自分の財産を貯金しておかないといけないってこと。」

大久保
「今の梅林の筋トレの発信見てる人は、レスリング選手としての梅林じゃなくて、筋トレに詳しい梅林の姿を求めてるよね。」

梅林
「そう。そこからレスリングに引っ張るにはどうしたらいい?っていうことだな。」

大久保
「応援に力を入れようとしたら、野球やサッカー、駅伝の応援にいっちゃうのよ。なんでそうなるのか、今腑に落ちた。」

梅林
「皆、中学と高校でサッカーも持久走やってるもんねって話よ。だからそこには教育も根本的なところで関わってくる。アメリカではレスリングを中学で教わってるもん。だから、(メジャーかマイナーかっていうのは)競技者の人口とかじゃないんだよね。」

大久保
「言ってみれば応援もその括りだわ。高校の同窓会とかで俺が今やってることの話すると『え?そんなキツいの?』って顔されるもん。そりゃやってみないと分からないわな。」

梅林
「それを一般の人に伝わる様な仕組みを作りたいよね。」

大久保
「その鍵になるのが発信だね。『俺はこういう人だ』ってのを発信して興味持ってくれる人を探していく。」

梅林
「それをチームでやろうとすると更に難しい。例えば、早稲田に入ることがゴールになってる子がいたとしたら、その子はわざわざ発信なんてしないよね。本気で1番取りに行く人じゃないと、この感覚は中々理解されない。

大久保
「うわ、すげえ分かる。」

俺たちの”これから”

大久保
「挑戦したくても出来ない子っているわけよ。そういう人にとっては梅林みたいな人のメッセージって心に響くと思う。何かメッセージがあれば頂きたい。」

梅林
「1つ目。『やらないで後悔するならやって後悔した方がいい。』」

やらないで後悔するなら何も反省点が残らん。だから次に繋がらない。でも、やって失敗する分には絶対次に繋がる。だからチャレンジすることって凄く大事。」

「もう1つは『1番を目指さないとダメ』ってこと。」

「コレにはちゃんとした理由がある。
例えば自分の実力を『3番』と見積もったとする。そう思う分にはいいんだよ。けど、3番を目指すと、じゃあ『1位』を目指す人が3人いたら、あなたは3番目になれますか?って話。」

「皆謙虚に『表彰台目指します』とか『3位に入りたい』とか言うけど、それじゃやっぱダメだよね。1番目指す人って目が違うから。その目の違う奴が5人いたとしたら、その中で3番目に入れるのか?っていう話。勝てっこない。」

「まずはチャレンジしましょう。で、チャレンジするなら1番を目指せ。ってことだね。」

大久保
「まさかの2段構え(笑)ありがとう。」

梅林
「大久保さ、卒部したら何するの?」

大久保
「俺はトライアスロンのアイアンマンレース出るよ。8月1日、イタリアでのレース。ぶっちゃけ今日も18キロ走ってからこの対談してる(笑)」

梅林
「やばいわマジで(笑)1日で走りきるの?」

大久保
「うーん、半日かな?(笑)平均完走タイムが14時間とかだったわ。」

梅林
「やばい(笑)次オフラインで会ったら対談の内容YouTubeに載せようかな。」

大久保
「うわ、それは面白そう。でも俺、梅林のそういう発信に元応援部として出たくないわ。」

梅林
「それは『大久保友博』としてってこと?」

大久保
「そそ。自己紹介する時に堂々と『アスリートの大久保です』って言えるようにしたい。梅林は『レスリング部として』を超えて『一人のアスリートとして』勝負を掛けてるからさ。そういう奴と対等に話すなら、俺もそれ相応の男になってないとって思う。」

梅林
「時期が合えば俺も8月イタリアで練習するわ(笑)その時動画撮ったらおもろいね。」

大久保
「やるなら、同じ土俵で闘いたい。」

梅林
「いけるよ。やったもん勝ちだから。」

大久保
「ありがとう。そろそろ締めようか。
何か言い残したことある?(笑)」

梅林
「読んだ人に『あなたどう思いますか?』って聞ける様にしたいかな。」

大久保
「ああ、フィードバックみたいな感じ?」

梅林
「うん。そういうのあっても面白いかな。
みんなが何を感じたのか、知りたい。」

大久保
「おっけ!」

~完~

終わりに~アンケートのお願い~

はい、ということで!!!
以下のフォームに回答をお願いします。

僕も梅林も自分に何が求められているのかを知りたがっています。自己満足で終わる発信はしたくない。だから、あなたが俺たちの発信に何を求めるかを、是非書いてみてください。

今後、それを反映していきます。
回答は以下のフォームから!!

早慶レスリングのライブ配信は以下から!!

https://youtu.be/lfsL1U6fYn4

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