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凍えたままの

いつの頃だったか
気がついてしまったことがあった。

その頃は
必要とされていることが嬉しくて。
わたしじゃなきゃダメなんだって思うことが、
ただただ嬉しかった。

けれど、気がついてしまった。

そうすることで
しないでもよくなっていた
ということに。

それに気がついてからは
何もしなくなった。
何もしなくなったというと、少し語弊がある。
自らしなくなったというよりは
何にもできなくなったという方が正しい。

力が抜けてしまったのだと思う。

今まで必死にやってきていたものが
足元から崩れてしまう感覚に、似ているのかもしれない。

誕生日ごとに
折り紙を細く切り
ひとつひとつ輪を繋げ
色とりどりの鎖を作る。
笑顔が見たい、その一心から。

いつの間にか
母の、思惑どおりの娘になっていたように思う。

行事ごとの飾りつけは
そんなことがあったからなのかしらね。
どうしたらいいのかわからなくて
ぼんやり見ていることが多い。

だれかが飾るものを見て
わたしもやらなくちゃいけないと、思う。

けれど…。


あの時から
凍えたままなのかもしれない。
言葉も。
想いも。
今も、凍えたままで。



10代の頃のしんどさと
20代の頃のかなしさ
30代の頃に胸の痛みが加速して
40代の頃には
何もかも諦めるしかなかった。


冬の寒さが
身体よりも先に
こころに触れる
冷たい
わたしが 冷たい

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