輝く木の下で

木はいつもそこにある。

あたり前のことなのだけど
余程のことがない限りそこから動くことはなく
向こうからきてくれることもない。

同じ名前の木を見て
あの木を想う。
あの木を想いながら
目の前の木を見ている。

あれから何年が経ったのだろう。

小さな神社の境内に
一本の銀杏の木があった。
大きな木だった。
山側にあって
日の陰る時間の早い場所で
夕暮れ時から夜になるまでの間
そこで光り輝いていた。

その木を見るのが
とても好きだった。

今はもう
通りすがりに眺めることもできなくなってしまったけれど。

木というものは
そういうものかもしれない。

そこに在って
ときを想う。
そんなもののような気がする。



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