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歩きながら思うこと

駐車場に車を止めて
近くのコンビニで
カフェラテのLサイズを買った。
それなのに、Rのボタンを押してしまう。

「あ…」

と思ったけれど
まぁそれはそれでいいかと考え直した。
少し大きめの紙コップに、3分の2ほどで抽出が終わる。

歩くから丁度いい。

少し寒い朝の
かじかむ手を温めながら
川沿いにある神社へと歩き始めた。

信号待ちをしながら
いつもはあっという間に車で通り過ぎる場所。

古ぼけた看板、錆びついた自転車
シャッターの閉まった店
からまる蔦
そんなものを見ていた。

信号を渡って
緩やかな坂道を少し歩けば
目指す神社が見えてくる。

参道から少し離れて、横並びに川がある。
歩きながら、川のきらめきも同時に見られる場所に、この神社はある。

鳥居をくぐると、鳥の声が聴こえた。
賑やかなさえずりを
高い木の上で交わす鳥の声は、
なんだかとても嬉しそうに聴こえた。

『亡くなった人は鳥になって会いに来る』

ふと、そんな話を思い出していた。
本当にそうだったらいいのになって。



ここよりも少し東にある神社へと
川沿いの道を西へと、歩いた。
まだほんのちいさな子どもだった私は、
お祭りに行けるのが嬉しくてしょうがなかった。
3年ほど住んでいたはずの場所。
今もまだあるにはあるのだけれど、
もう訪れることはないのだと思う。


帰り道道、セメントの上に置かれたどんぐりを見つけた。
昔みたいに
もう、拾い集めたりはしないけれど
見ているだけで何だか嬉しくなる。

どんぐりや椎の実には、不思議な力がある。

そういえば、狛犬さまの足元には
松ぼっくりが置いてあった。
そんななんでもないことを、嬉しいと思える今がある。

それでいい。
それでいいの。

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