年の瀬に

年の瀬に

住み慣れた土地から
遠く離れた場所で
舞う雪を見る

寒い

だけど
不思議とあたたかく感じる

歩いて
歩いて
立ち止まると
痛み始める足

歩いた分だけ
前に進めたのかしら
わたしは
わたしに
なれたのかしら


やりたかったことは
ただ
逃れたい一心のものだったのかもしれない

だからきっと
なにもかも
わからなくなってしまっていたのね

踏みだす怖さと
立ち止まる怖さは
比べようもなく
どちらも身がすくんでしまうのだけれど

そのうちに
慣れるようになってゆくのかしら


踏みだせば
そこに
ひとつの花が咲いていた
振り返れば
そこに
柔らかく艶やかな毛に包まれた
ねこがいた


夢かもしれない
たぶん夢だと思う
年が明ければ
鐘の音と共に
消えてゆくような



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