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短編連作小説『冥界パティスリー』紹介(第1~10話)

「ご注文はどうなさいますか? あなたの心残りをお菓子にいたします」

苦学生の朝倉朋也が事故に遭って迷い込んだのは、幽霊と妖怪が行き交う「あの世の商店街」だった。
天才職人、神名美夜の洋菓子店「睡蓮堂」で世話になりながら、幽霊にケーキを食べさせ成仏してもらう「弔い人」の仕事を始める朋也。一夜に一人、来店する幽霊の未練とは。思い出とは。
1話読み切りの短編小説、『冥界パティスリー』シリーズ、電子書籍で配信中です。

イラスト:ゆうしようさま
レーベル:夢幻∞シリーズ(小学館)
配信日:奇数月第三金曜日

あらすじだとカタくなっちゃいましたが、ファンタジーということもあり、ハチャメチャな雰囲気もけっこう(いや、かなり)あると思います。
デビュー作の長編『リリーベリー イチゴショートのない洋菓子店』ともちょっとノリが近いかもしれません。
って、お菓子の話ばかり書いていますね。お菓子大好きです(もぐもぐ)。

今作では、「この世のものならぬおいしさ」に挑戦すべく、お菓子の選定や描写も楽しくやっています。そして漫画家のゆうしようさまによる、生き生きとしたイラストは必見です!(みんな死んでるけど生き生き!っていうのがいいですね、ほんと)


第1話「世界を壊すケーキ」

配信日:2022年3月18日

自転車配達のバイトをしていた朋也は、気づけば取り壊されたはずの商店街にいた。妖怪や幽霊が行き交うその街で、迷いこんだのは洋菓子店「睡蓮堂」。そこで出会った、朋也にとって大切な人とはーー。

冥界がどんな世界か、私自身、朋也とともに歩きながら知っていきました。初めてのファンタジー、とても楽しいです。

#あの世の商店街 #ツンデレ猫又 #天狗紳士 #給料は〇〇


第2話「フルーツローズケーキ」

配信日:2022年5月20日

突然朋也に抱きついてきたのは、ボロボロのウェディングドレスをまとった幽霊。無事、朋也は今夜中に彼女が探し求める婚約者と結婚式を挙げさせることができるのか?

こんな話を書きたいなあ……というものがいくつかあって、これはその一つでした。このシリーズではそういう色々なパターンをぶつけていて、予想がつかないおもちゃ箱感を楽しんでいます。

#妖怪のお茶会 #生臭宮司 (狐) #鉱石ラジオ #伏兵ろくろ首


第3話「三月のモンブラン」

配信日:2022年7月15日

今夜の幽霊は、人を探しているおばあさん。だけど……誰を探しているのかわからないって? とある橋から眺めた、八十年の現代史。

これも、書きたかった話です。漠然と「定点カメラから撮ったような歴史」を題材にしたいと思っていたのですが、今回は「戦争で焼け残った橋」が月とともにイメージされました。誰かを待ち続けるということの苦しさと美しさ、そして美しいばかりではいられない人生を考え続けました。でも、やっぱり生き抜くことは美しいと思いたいのです。そういう意味では私の作風?を一番端的に表している物語です。

#子猫又 #生き別れた幼馴染 #山一つぶんのドングリ


第4話「探偵小説とオペラ」

配信日:2022年9月16日

今夜のお客は、古書専門怪盗「影男」を追う警察官。彼は悲願の逮捕を果たせるのか!?

しんみり系の話が続いたので、今回はでっかく花火を打ち上げるようなつもりで、ハロウィンナイトの騒動を書きました。人生の美しさを語っておきながら、全てをブチ壊す話も大好きです。これも私の一面が如実に出た作品だと思います。ゆうしようさまのイラストが、あまりにも脳内イメージとピッタリ一致したのには驚き&笑いでした。

#Mystery #祝祭が始まる #迷宮書庫ダンジョン #密室殺人は起きません


第5話「千年の糸」


夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第5話 千年の糸 | 電子書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

配信日:2022年11月18日

ハロウィンの夜を舞台に描かれる、とある猫(の妖怪)がともに生きた千年
の一族の物語。

第3話は場所を固定した歴史でしたが、今回は観測者を固定した歴史です。
こういう話も好きで……って好物ばかりですね。平安から大正時代を駆け抜けた機織り師たちと猫。名前は残っていないけれど、私たちの先祖はこんなかっこいい人たちばかりだったのではないかな、と夢想します。

#女着物の美青年 #千年の一族 #リヴァイアサンとテレビ石

じつは、第4話くらいまでを「世界紹介編」と勝手に呼んでいました。
え、初めて聞いたって? はい、初めて書きました(おい)。
今回くらいからが、ゆるーく「鉱物発掘編」です。あまり関係ないことも多いですが^^;

第6話「常世のクリスマス」


夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第6話 常世のクリスマス | 電子書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

配信日:2023年1月20日

洋菓子店の超繁忙期、クリスマスイブの夜。なのに、苺が品切れに!
朋也と美夜は幽霊たちとともに、苺が穫れるという「常世」へ渡ることに……。

これまでは、言うなれば「他人」である幽霊たちの人生を見つめてきた朋也たちですが、やっぱりクリスマスという特別なイベントですので(ケーキ店にとってはよくも悪くも……笑)、二人のふれあいも描いてみたいなあと思い、小旅行に出かけてもらいました。
といっても大繁忙期のケーキ店には、ちょっと遊びにいくことさえ許されるはずもないため、ささやかながら三途の川を渡って神の世界に苺を収穫しにいくというミッションに挑戦!(全然ささやかじゃない)
無事、苺は持って帰れたのか?それとも川にぶちまk

#不条理演劇と銀行員 #超美魔女奪衣婆 #朋也スカウトされる


第7話「紅梅に捧ぐキネマ」


夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第7話 紅梅に捧ぐキネマ | 電子書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

配信日:2023年3月17日

今回のお客は、元映画助監督の匠太。彼は昔、とあるトラブルに巻き込まれて職を辞したものの、死後も映画への想いが断ち切りがたく、映画監督に挑戦することに。

今回は初めて、朋也以外の人物が語り手となっています。書いてみてとても楽しかったし、主要キャラが別の視点ではどう見えるのかということも興味深いです(他人事感)。
この匠太みたいな、地道にがんばっているような人も好きなのです。

#成仏オプションセット #宝石消失事件 #人生のハイライト


第8話「天女と宝石のパフェ」


夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第8話 天女と宝石のパフェ | 電子書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

配信日:2023年5月19日

友人・胡蝶ととある密談をしている朋也。そこへ、江戸時代の幽霊だという静が訪れる。胡蝶を知っているようだが、胡蝶は「知らない」と言いーー?

こちらはおもに江戸時代の話。地味に初めての江戸に挑戦ということで、とても楽しかったです。これが弾みになり、同時期に進めていた江戸時代の長編(『大江戸ぱん屋事始』)も勢いで書くことができた気がします。短編連作+連載というかたちの「冥界」シリーズは、色々なチャレンジをしやすいので、私自身もエキサイティングできる媒体といえるでしょう(なぜかAI調)。

#浮世絵師と吉原 #色とりどりの金玉糖 #パンクな御伽衆


第9話「アリスたちのお茶会」


夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第9話 アリスたちのお茶会 | 電子書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

配信日:2023年7月21日

待ちに待った乞骨商店街の「納霊(のうりょう)花火大会」の日。浮足立つ朋也が遭遇したのは、ベストセラー推理作家・ルイの幽霊!だが、ルイの様子がおかしい。ついには「誰かにネタ帳を盗まれた」と言い出すが、容疑者には全員犯行不可能でーー?

「冥パティ」シリーズには毎回なにかしら推理っぽい要素を入れるようにしているのですが、今回はちょっと真面目に取り入れてみました。これもまたチャレンジの一つで、面白かったです。そして、ルイ同様私も高校時代に文芸部的な部活をやっていましたが、特定のモデルになる経験や人物はありません(笑)。

#100回生まれ変わった和製ベネツィア #不思議の国の終末 #アリスのウサギ穴


第10話「ホーンテッド・チーズケーキ」


夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第10話 ホーンテッド・チーズケーキ | 電子書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

配信日:2023年9月15日

ハロウィンの夜。突如として冥界に裂け目が開き、黄泉の空気が漏れ出してくる。それは無数の○○となって人々に襲いかかりーー!

○○と伏せましたが、めちゃくちゃコワイ表紙絵でわかりますね(笑)。「パティスリー」にあるまじきパニックとホラーを目指しました。これも自分的冒険だったのですが、めちゃくちゃ楽しかったです!
なんというか、洋菓子店の話だからといってあんまりお行儀よくしたくないというか、むしろたまには逆張りしたいなと思いまして。とはいえ、今回はあんまりケーキを食べたくなるような話ではないですね。私は登場した「○○ケーキ(チョコミントチーズケーキ)」が食べたいですが(商品化希望……って誰が買う?)。

#放送事故レベル #ホームセンター #ついノリで

一応区切りの10話ということで、印象深い作品を目指しました(別な意味で?)。
そして今回で「鉱物発掘編」はおしまい。
とあるキャラが大ピンチに陥ったまま、次回から「冥界新聞社編」

長くなってきたので、別なページを作ります。

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