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短編連作小説『冥界パティスリー』紹介(第11~14話)

「ご注文はどうなさいますか? あなたの心残りをお菓子にいたします」

イラスト:ゆうしようさま
レーベル:夢幻∞シリーズ(小学館)
配信日:奇数月第三金曜 連載中!
各電子書籍サイトに試し読みもあります。


第11話「聖夜の毒杯」

夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第11話 聖夜の毒杯 | 電子書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

配信日:2023年11月17日

とあるトラブルに巻き込まれ、入院中の美夜。店に残された朋也は悄然と過ごすばかりだったが、そこに現れたのは幼馴染・圭亮の幽霊。驚く朋也に、圭亮は誰が自分を殺したのか推理してくれと話す。

クリスマスです。なのに毒杯。おそろしげですねぇ。
今回も推理色強めです。美夜がいない都合もあって朋也メインの話なのですが、同時に朋也の人生そのものにも関わるストーリーにもしてみたくて、このようになりました。
あらすじをごらんになってもおわかりのとおり、けっこう重い話です。が、そのぶん各キャラの心を突き詰めることができたかなと、個人的には特に思い入れがあります。

#クリスマスだけどケーキは売っていない #信楽焼の駅員 #散歩っていうかランニング

今回、ちょっとおもしろいことがありました。うじうじ悩むわりに案外「ま、いっか」と忘れ……切り替えることが多い私は、自身を「根暗な楽天家」と称して憚らないのですが、そんな私が考え、動かす主人公・朋也もまた「根拠ないポジティブ野郎」と作中で言われています。つまり我々は一蓮托生、魂の双生児、おまえのものはおれのもの、くらいセットの感覚でいたのですが、今回のラスト近く、傷ついた朋也は持ち前のポジティブシンキングで心を立て直します。そこで飛び出した言葉は私がまったく予期していなかったもので、はからずも私自身がそれにちょっぴり救われた感覚があります。
はたから見ればアホみたいな話で、自分で書いて自分で救われてるんじゃ世話ねーぜ、という感じなのですが、つきあいも10話を越えてきて、キャラが作者を追い抜いた瞬間、とでもいいましょうか。そういうものを少しですが感じました。もちろん、それと話の完成度はまったく関わらないとは思うのですが。


第12話「ニライカナイに舞う雪よ」

夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第12話 ニライカナイに舞う雪よ | 電子書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

配信日:2024.1.19

雪が舞う大晦日の冥界。美夜のいない店で奮闘する朋也のもとに、友人の新聞記者・泉と、その先輩である麻子が訪れる。なにかに悩んでいる様子の麻子は、しきりに「沖縄に行きたい」と言っている。そして吹雪の外に出た三人が迷い込んだのは、青い海に青い空の世界ーー?

私は雪国の生まれで、これまで住んできた地域も全部雪国&内陸だったので、南国の海に強い憧れがあります。その一方で、やっぱり「雪」というものにもある種の愛着を抱いていて、定期的に雪を描写しないと調子が悪くなってきます(ってそれどんな奇病やねん)。 この冥パティシリーズは、実際の配信日にだいたい季節を合わせて書くことに決めているので、毎年必ず冬を描くことになり、大変いい感じなのです。

ということで、今回は南国の海と雪のコラボ!(?)
たまにはおなじみの店を飛び出して、時代も超えて別世界へ!(飛び出しすぎ!)

#朋也バズる #ホットケーキは素敵 #指輪消失事件のアレ


第13話「あらゆる空の色のジュレ」

夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第13話 あらゆる空の色のジュレ | 電子書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

配信日:2024年3月15日

ついに美夜が戻ってきた睡蓮堂。なのに、朋也は冥界新聞社に引っ張り出され、活字拾いのバイトの日々。そんなところに、記者の泉が「スクープを示す暗号がある!」とやってきた。解読に振り回される朋也が目指したのは……山!

南国から帰ったと思ったら、今度は山です。。
しばらく重めの回が続くと、たまには思いきりはっちゃけたいという衝動に駆られます。ということで、今回は「暗号を解いてUMAを探す」というライト寄りの回です。
今回久々に登場するキャラも何人かいます。美夜もしばらくぶりに帰ってきて、にぎやかなピクニックになりました(ただし命がけ)。
じつは今回初めて、誰も成仏しないです。よかった、死んだ人なんていなかったんだ!(ただしキャラは全員幽霊)

#空魚 #暗号和歌 #証拠はあるのか

第14話「渚のピーチ・メルバ」

夢幻∞シリーズ 冥界パティスリー 第14話 渚のピーチ・メルバ | 電子書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

配信日:2024年5月17日(金)

江戸時代の紀州。海辺の村で生まれた少年・甚兵衛は、兄を奪った海と漁師の仕事を恐れ、逃げ続けていた。「逃げの甚兵衛」と蔑まれながら、ある日逃げ込んだ先に待ち受けていた風景はーー。

いきなりこんな場面ですが、「冥パティ」で合っています。
冥パティはいつも5話ずつまとめてプロットを提出しているので、話を考えてから書くまでに1年近く空くこともあります。
じつはこの「渚のピーチ・メルバ」は、プロットを考えていたときから特に書きたくて楽しみだった作品です。そのために、とあるキャラの名前どころか声も顔もずっと隠してきました。
それがようやく解禁できて、ホッとしたような、「あんたこんな人間だったんか」と改めて知ったような、不思議な気分です。
というわけで、彼のこともよろしくお願いいたします。

#浄土と海と桃 #地獄の血の池で酒杯を交わす #朋也よろめく

「冥界パティスリー」、おかげさまでまだ続きます。
次回15話は2024年7月19日(金)配信!

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