手塚治虫作品

こんにちは、貴族です。

暑くて目が覚めました。
そして貴族を名乗りつつ明日も仕事です(顔が無)

閑話休題。

ブラックジャックって読んだことありますか?

自分は、小学生の頃に漫画版で没頭していたブラックジャックですが、すでに皆さんご存知かも知れませんが、国家資格上は無免許でありつつ神の手とも言える奇跡的医術で難病や治癒困難な人の命を莫大な報酬と引き換えに救うヤミ医者のお話です。
救えない場合もあるのがはたまたドラマティックなのだけど。

読み進めながら、
病というものは冷徹なほど等しく万人を襲うもので、富や名声を持つもの・貧困にあえぐもの悪名高いもの、美醜や老若、能力的に優れたものと劣るもの、善行を行うものと悪行を働くものなどおかれた状況に分け隔てなく等しく苛まれる可能性があって、思い通りにいかない人生そのもののようだなーと子供心に薄っすら感じた記憶があります。

そして物議を醸すドクターキリコも結構好き。
ブラックジャックと対比で描かれる、安楽死推進派の医師。(*実は非常に人間的です)

病とは、自分の体内に起こる異変なのに、自ずから目視したり確認/認知できないという事実。自らの受難であるのに解決するのが赤の他人任せ(*この場合は医師という名のからっきしの他者ね)にせざるを得ないということに、人生の不条理さと納得のいかなさがつきまといます。

まるで一生自分の肉声を自分自身で聞けないことと同じようにだな。

自然界の動物であれば、患ったり怪我をしたとき、自己免疫で治癒できるものはするし、できなければそれを天命としていのちを全うし召される、というのが摂理です。
なまじ科学や医学があるがゆえに生に執着するのは人間のさがだな。(別に医術を否定する思考はありません。自分も生に執着)と子供ごころに思った覚えがあります。

このように、人としてのあり様を考えるきっかけ与えてくれる手塚作品ですが、他にも、アドルフに告ぐやユニコ、火の鳥(これはまだ読了していませんが)など、素晴らしい作品が多数あります。

最近はじめてアニメで「どろろ」を観たのですが、べらぼうに哲学的明示に溢れているのです。ご存知かもですが、あらすじはこう。

殿様の元に生まれた赤子(若ですよね)がいる。父である殿様が統治国の安寧と繁栄の為に鬼神と密約を交わし、赤子の体を100個に分割して喰わせるから栄えさせろ(もうこの時点で酷い親父だよ?あんたが鬼だよ)という。己の父が与えた最大の受難。この赤子が百鬼丸です。百鬼丸の欠損した身体のパーツは全て義体で補われている(義体を作ってくれた人とも出会いのドラマがあるけれどここでは割愛)のだが、超人的身体能力でべらぼうに強い。両手なんて両方日本刀だからね。二刀流。

そして旅を続けて自分を喰らった鬼神を1体ずつ倒すことにより失った自らの体のパーツを取り戻していくお話です。

しかしながら、脳以外が義体の体を、戦いによりすこしずつ取り戻し人間に戻っていくことで超人的強さは損なわれて弱まっていく。また殺戮を繰り返すことで己の心が鬼に近づき体とは裏腹に心が人間として損なわれていく…、その葛藤。生き様。なんという哲学観なのだろう。まるで人生。もう途中から涙が止まりませんでした。

これ、現時点では、いちばん強く己の心に消えない爪痕を残した作品かも。

ネタばれしちゃうけど原作はハッピーエンドじゃ無いところも心に爪痕。(アニメ版は軽くハッピーエンドっぽいというか曖昧にぼやかした感じ?)

脳以外義体、という点が攻殻機動隊みあるのもすごく面白いし、これ4、50年前に描いてたんでしょう…?手塚先生やはりすごい。天才。画力も。(ここでもまた画力か笑)

自分の努力だけではどうにもならない外的要因に翻弄される諸行無常感が、なんというか人生?人生そのもの?であるなと思うと同時に、漫画というツールに落とし込んだことで幼少期から触れられる点、手塚先生やはりすごい。

次は何読もうかな。

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