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[パンツァードラグーン:リメイク]│伝説のゲームが蘇った

「パンツァードラグーン」とは

その昔(1995年)、セガサターン向けソフトとして発売された3Dシューティングゲームである「パンツァードラグーン」。3Dシューティングと言うのはTPSとかFPSとかではなく、奥スクロールシューティングなどと言われるジャンルのものである。

所謂自機はドラゴンであるが、そのドラゴンには銃を持ったキャラクターが騎乗している。方向キーで照準を移動させ、ショットボタンで発砲、ショットボタン長押しでロックオン可能なオブジェクトをロックオンし、ボタンを離すことでロックオンした対象物に向けてドラゴンからホーミングレーザーが発射される。前方を向いていれば照準移動に合わせてドラゴンも画面内を移動するので、プレイヤーはドラゴンをある程度制御することが可能であり、敵弾を撃ち落としたり回避したりしながら敵を倒していくというゲームになっている。

また、視点変更ボタンによって任意に4方向(前後左右)へ向きを変えることができ、各方面より襲い来る敵を効率良く倒すことも要求される。画面には自機を中心としたレーダーが常に表示されているので、こちらをチェックすることも重要になってくる。

ステージ(EPISODE)は全7面構成で、それぞれに印象的な景色や敵キャラクターが登場する。難易度は割と歯応えのあるものだと私は思っていて、特にEPISODE4あたりからは難所が幾つか見られるようになり、EPISODE6は敵の配置を把握していないとクリア自体が難しくなるだろう。
全編通して一本道のゲームであり、(他の多くのシューティングゲーム同様)所謂自由度は低い。

衝撃的だったデザインと世界観

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私はこのゲームをプレイする以前、そこまでゲームにハマることが無かった。友達の家で遊ばせて貰っても、友達と遊ぶのが楽しいのであって、ゲームそのものには大して魅力を感じていなかった。だから親にゲームを買って欲しいとねだることは無かったし、買ってやろうかと尋ねられても「要らない」と断っていた。

父親の仕事の関係で、セガサターン本体と数本のゲームが家に有ったのだが、どれにも私は大して興味を持たなかった。両親がプレイしているアドベンチャーゲーム「RAMPO(今思えばこれも名作であった)」や「MYST(ド名作)」を後ろで何となく眺めている程度だった。そんなある日、私もプレイしたくなるゲームが無いだろうかとゲームショップに立ち寄ることになった。

悲しいことに今は店舗自体が少ない「まちのゲーム屋さん」に、私は初めて足を踏み入れた。所狭しと並べられた数多のパッケージを淡々と見て回っていたのだが、その中にひときわ目を引くパッケージを発見した。それが「パンツァードラグーン」であった。遺跡のような場所を飛ぶドラゴン(?)に跨って銃を掲げる人間が描かれたジャケットであったが、そのタッチは独特であり(フランスの漫画家が描いたもので、実際に独特である)、他のゲームとは違った雰囲気が漂っていた。そして上部にはカッコ良いデザインで形作られた「PANZER DRAGOON」の文字が配されている。これに私の心は大きく揺れ動いた。

発売されて間もない頃だったのだろう。今になって思えば、恐らくそのパッケージは目立つ場所に置かれていて、それもあって私の目を惹いたのではないだろうか。事実はどうあれ、私が初めて買って欲しいと思ったゲームソフトであった。

初めて自らプレイしたゲーム

それまでは友達の家で勧められてプレイする程度しかゲームというものをプレイしたことのなかった私が、初めて自らの意思でゲームをすることになったのだ。

初プレイの後、どのような感情だったのかははっきり覚えていない。しかし兎に角このゲームはスゴイと思った。そして生まれて初めて、繰り返しプレイしたいと思った。

クリアするまでにはかなりの時間が掛かったし、当時はインターネットが普及しきっていない時代だったので、攻略本(これもまた懐かしい響きだ)なども買った。何とかクリアできるようになってからも、親の目を盗んではチマチマとプレイしていた。

私は他のどのゲームよりも本作をリスペクトしているし、初めてプレイした時の感動は生涯忘れることが無いだろう。しかし私はゲームをやり込むこと自体がそれほど得意ではないので、気が遠くなるほどのプレイ時間であるとかプレイ自体が驚くほど上手だとかそういうことはない。スコアや順位にも執着が無いし、コレクター気質でもないので所謂実績とかトロフィー系の要素にも燃えない(それどころか面倒になって飽きるのが早くなる)。

この時代のゲームには周回によるアンロック要素とかコレクション要素みたいなものが今ほど一般的でなかったので、本作も好きな時に気軽に遊べる一本であった。なので私はノーコンティニュークリアができた時点で充分に満足できたし、丁度その頃に続編である「パンツァードラグーン ツヴァイ」が発売されたので、その後は殆ど本作をプレイすることはなかった。

そうしてプレイ自体はすることがなくなった本作であるが、いつまでも私の心に残り続けている作品である。セガサターン版では続くツヴァイ、そして大きくゲーム性が変化した「AZEL -パンツァードラグーン RPG-」を続けてプレイした。

特にAZELは私が初めて予約することを決めたゲームであり、そして初めて周回プレイをしたRPGである。私はRPGというジャンルのゲームが苦手で、他にクリアしたのは「ポケモン(赤)」と「テイルズ オブ ファンタジア」くらいである。前者はバグされ続けて行動不能になり、後者は戦闘が面白かっただけでストーリーなどは殆ど覚えていない。RPGというジャンルは、そもそも向いていないのだと思う。
しかしAZELだけは別格で、ウルや塔を飛び回るだけで楽しかったし、キャプでドラゴンを撫でられるのが幸せだった。収集できるものは全て集めたし、コマンドバトルが苦手な私でも楽しめる戦闘システムには底知れぬインテリジェンスを感じた。こうしてセガサターンが動かなくなるまでプレイし続けたのだ。

得意なゲームでもプレイ時間が長いゲームでもないが、一番好きなゲームは何かと問われれば、私は迷うことなくパンツァードラグーンの名前を挙げる。

パンツァードラグーン:リメイク

少し時を置いてXBOX用ソフトとして発売された「パンツァードラグーン オルタ」もプレイしたのだが、これは少し私の求めていたものと違った。当時の私はアーケードゲームに熱を上げており、CSをプレイする余裕が無かったのも要因だろう。

その後も多くのゲームをプレイしてきたが、本作ほどの衝撃は無かった。当然のことながらこれはゲームそのものの面白さ以外の要因も大きく働いていて、俗に言う「思い出補正」というものもかなり影響しているだあろう。

そんな中突然発表・発売された「パンツァードラグーン:リメイク」である。

コロナの影響もあって購入は遅くなってしまったが、しかしいざ購入した後もなかなかプレイできずにいた。
仕事が忙しいとか子供に邪魔されるとかそういうことではない。プレイするのが怖かったのだ。プレイしてみてガッカリしたくなかったのだ。「やっぱりただの思い出補正だったのか」とか「リメイクするとこんな風になってしまうのか…」とか思いたくなかったのだ。

しかし試しに起動してみた瞬間、これらは全て杞憂であると悟った。あの声と音楽を聴いた途端、私はあの日の感動を思い出し、画面にくぎ付けになった。そしてタイトル画面の勇ましいファンファーレと哀愁のあるメロディ、これまで何度も頭の中で景色と音楽を反芻していたEPISODE1の冒頭。
どれもが私の心を再び強く揺さぶり、思わず涙が溢れそうになるくらいだった。

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プレイ前に「LLRR↑↓←→」等の豊富なコマンドを試しに入力してしまったプレイヤーも居るのではないだろうか

通しでプレイしてみたものの、やはり敵の配置などは忘れてしまっていた。歳のせいもあるのだろう、思うように動かせずに苦労した。ワンコインクリアができるようになるまでは結構な練習が必要そうだ。

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進歩を感じる部分が多いながらも、原作の雰囲気は全く壊れておらず素晴らしいリメイクであると感じた。EPISODE1の終盤に上空から撃たれるシーンやボス戦(船の上で人間が発砲しているなんて知らなかった…)、プロトタイプドラゴンは騎乗している人間までクッキリだしEPISODE4の扉は滑らかだった。そんな中でEPISODE6は私の記憶の中にある景色と随分違っていて、終始動揺していた(洗濯物が干してあるエリアとか無かったっけ…?)。

多くの驚きと戸惑いを以て、このゲームは私を楽しませてくれた。

リメイクながら文句のつけようが無いデキでありエンディングもしっとりと見入ってしまった。ツヴァイ:リメイクには大いに期待しているし、何よりAZELのリメイクをどうしても期待してしまう。当時でさえ美しく広大に感じたあのマップが、現代の技術力で甦れば…というのはもう数えきれないほど妄想したことである。

しかしまずはあの頃と同様、ノーコンティニュークリアを目指してこの素晴らしいアインをプレイしていこう。

おわりに

これまで多くのゲームをプレイしてきたが、中でも「ファンタシースターオンライン2」は、パンツァードラグーンのデザインが気に入っていたからこそプレイしたゲームだ。

そこそこの期間プレイし続けたが、HDDバーストと呼ばれる悲しい出来事をきっかけに離れることになった。しかし今でもたまに動画などを眺ることがあるし、ニュースなどで名前を目にすると必ず読んでしまう。

SEGAは、今も僕とともに…

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