見出し画像

キッコーマンの決算内容を3分で解説!

今回はキッコーマンの決算内容について見ていきましょう。
しょうゆをベースとして様々な食品を展開し、家庭の食卓を彩っているこの会社、12期連続の最高益を達成しました!


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上収益は前年比+6.8%の6,608億円と増収となりました。
営業利益は前年比+20.5%の667億円、当期純利益は+29.1%の564億円と、利益面に関しては12年連続の最高益更新を達成しました。

出所:決算説明資料

それではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては2つ「国内」と「海外」があります。

◇国内事業
売上収益は前年比+1.8%の1,575億円、事業利益は+12%の104億円と増収増益となりました。

出所:決算説明資料

主軸のしょうゆ部門は、家庭用分野ではテレビ宣伝を中心とした商品の付加価値を伝えるマーケティング施策等を継続することにより、「いつでも新鮮」シリーズが前年同期を上回りましたが、「特選 丸大豆しょうゆ」などのペット ボトル品が前年同期を下回り、家庭用分野全体として前年同期を下回りました。加工・業務用分野は、外食店を中 心に需要が回復し、前年同期を上回りました。また、家庭用しょうゆは2023年4月、加工・業務用しょうゆは2023 年8月に原材料価格高騰等を背景とした価格改定を行いました。この結果、部門全体としては前年同期の売上を上 回りました。

食品部門のつゆ類は、「濃いだし本つゆ」などが前年同期を下回り、全体として前年同期を下回りました。
たれ類は業務用分野が伸びました。また「超焼肉のたれ」が順調に伸長したため、前年同期を上回りました。
またぽんず類は2023年4 月、つゆ類は2023年4月及び2023年8月、たれ類及び「うちのごはん」は2023年8月に原材料価格高騰等を背景とした価格改定を行いました。
この結果、部門全体としては前年同期の売上を上回りました。

国内全体としては、原材料価格高騰やその他固定費の増加はあったものの、価格改定による売上収益増加・体質強化などにより、堅調に推移しました。

出所:決算説明資料

◇海外事業
売上収益は前年比+8.5%の5,090億円、事業利益は+26.4%の654億円と増収増益となりました。

出所:決算説明資料

進出地域としては、北米・欧州・亜豪州となり、売上収益の規模としては北米で全体の約70%、欧州・亜豪州でそれぞれ10%程度となります。

出所:決算説明資料

北米市場においては、家庭用分野では主力商品であるしょうゆに加え、しょうゆをベースとした調味料などの拡充に引き続き力を入れており、ブランド力を活かした事業展開を行ってきました。
また、加工・業務用分野では顧客のニーズに合わせたきめ細かな対応をし、事業の拡大を図ってきました。この結果、前年同期の売上を上回りました。
欧州市場においては、主要市場であるドイツ、オランダなどで前年を上回り、全体では前年同期の売上を上回りました。
アジア・オセアニア市場においては、インドネシア、フィリピンなどで売上を伸ばし、全体では前年同期の売上を上回りました。

全体としては、北米・欧州の好調に牽引されて売上収益が伸び、販管費や固定費の増加をカバーしました
また円安による為替影響もプラス要因に働き、大幅増益となりました。

出所:決算説明資料

◇2024年度業績予想
2024年度の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上収益は前年比+3.7%の6,850億円、営業利益は+6.1%の708億円と増収増益となり、13期連続最高益更新の見通しとなりました。

出所:決算説明資料

また2024年度は中期経営計画の最終年度にあたりますが、目標とした指標を意識した業績予想となっています。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
資産全体としては前年末から+1,014億円増加しました。

流動資産では+612億円増加しましたが、そのうち現預金で+198億円の増加がみられました。この点に関しては、後のCFの状況で見ていきます。
あとは売上収益の増加に伴い営業債権が+87億円増加しました。

非流動資産は+402億円増加しましたが、そのうち有形固定資産で+211億円の増加がみられました。
これは今回の設備投資が435億円実施されたことに伴う増加です。

出所:決算補足説明資料
出所:決算短信

負債合計に関しては+202億円増加しましたが、そのうち借入金の残高が借り換えの影響で+7億円増加しています。
あと使用権資産が増加した影響で、リース負債が短期・長期合わせて+82億円増加しています。

出所:決算短信

資本は+812億円増加しましたが、増減の内訳としては当期包括利益で+1,070億円の増加、自己株式取得で△96億円、配当金で△160億円という内容です。
項目としては毎年ある内容となりますが、前年と比べると自己株式取得と配当金の金額が増加しているので、株主還元を意識した動きとなっています。

出所:決算短信

では安全性の指標に関しても見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は360%と目安の200%を大きく超えており問題ありません。
固定比率(固定資産÷自己資本)は66%と目安の100%を下回っており、こちらも全く問題ないレベルとなっています。
全体的にはBSのバランスが上手くコントロールされている印象です。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+198億円増加しました。
内訳は営業CFで+808億円、投資CFで△429億円、財務CFで△314億円という内容です。

営業CFは、税引前利益と減価償却等で合わせて+996億円と1,000億円近く稼げており問題ありません。

投資CFに関しては、有形・無形固定資産の投資で△300億円超の支出がありました。一方で子会社持分譲渡で+71億円の収入もありました。

出所:決算短信

財務CFに関しては、全体としては△314億円の減少でしたが、長期借入金の借換で+10億円増加した項目もあります。
設備投資金額は次年度も増加する予定なので、今後借入金が増加していく可能性はあります。

出所:決算短信

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?