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ラクスの決算内容を3分で解説!

今回はラクスの決算内容について見ていきましょう。
楽楽精算や楽楽明細のCMを最近良く目にする機会が増えており、世間での認知度も高まっているこの会社、業績はかなり好調の様です!


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+40.2%の384億円と大幅増収となりました。
営業利益は前年比+235.7%の55億円、当期純利益は+228.4%の41億円と利益面でも大幅な増益となりました。
クラウド事業の好調さがそのまま好決算につながった様子です。

出所:決算説明資料

今回の大幅増益の一番の要因は、やはり「クラウド事業の増収効果」が大きく、金額規模で+110億円の増益効果がありました。

出所:決算説明資料

ただその事業拡大の裏では、人件費や広告宣伝費等に資金を投資した事実があります。
過去5年間で人件費は約3倍、広告宣伝費は約4倍まで費用が膨れ上がっています。ただその効果の甲斐あってか、世間での認知度は確実に高まっていると考えられます。

出所:決算説明資料

それではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては2つ「クラウド事業」「IT事業」があります。

◇クラウド事業
売上高は前年比+45.7%の324億円、営業利益は+332.2%の49億円と圧倒的な増収増益となりました。
過去5年間の推移で見ても、売上高では3倍、営業利益でも6倍と着実に事業を拡大してきています。

出所:決算説明資料

そのサービス内容は、3つの楽楽シリーズ「楽楽精算」「楽楽明細」「楽楽販売」が主力となっており、全体の75%程度を占めています。

出所:決算説明資料

中でも売上高が一番大きなサービスが楽楽精算です。
前年比+39.7%と大幅に業績を伸ばしていますが、背景には「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」という法改正の追い風がありました。
ここ数年で一気に導入企業が増加し、今では16,934社までになりました。

出所:決算説明資料

クラウド型経費精算システムの市場規模は478億円と想定されています。
今の楽楽精算の売上高が144億円なので、シェアとしては29%になります。
また導入社数で見るとシェアは41%となり、この業界ではトップクラスに位置しています。
ただこの分野は今後はますます電子化が進んでくるはずなので、市場規模が拡大される一方で競争も激しくなってくることが想定されます。

出所:決算説明資料

楽楽明細に関しては、前年比+83.1%と成長率ではダントツでした。
こちらも成長の背景にはインボイス制度と電子帳簿保存法の法改正が追い風になっていると考えられます。
またクラウド帳票発行サービス市場での楽楽明細のシェアは、売上高では54%、導入社数では41%とトップクラスに位置しています。
このクラウド帳票も今後市場規模は拡大してくと想定されますが、当然それに伴って競争も激しさを増してくるはずです。

出所:決算説明資料

◇IT人材事業
売上高は前年+15.5%の59億円、営業利益は+15.3%の5億円と、クラウド事業には及ばないものの、二桁増と堅調に推移しました。

出所:決算説明資料

低下していた稼働率を改善するために新規採用の抑制と営業活動の強化に努めたことで、稼働エ ンジニア数が増加しました。
その結果、増収増益となりました。

◇2025年3月期 通期計画
それでは次年度の通期計画に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+25.8%の483億円、営業利益は+61.9%の90億円と2024年3月期の勢いのままに更に業績を伸ばしてくる見通しです。

出所:決算説明資料

それもそのはずで、2022年3月〜2026年3月期までの中期経営計画では、売上高CAGR 31%~32%を目指し、2026年3月期の純利益は100億円を目指しています。
まだまだ成長スピードは弱まる気配は無いようです。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
資産全体としては前年末から+71億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産では+26億円増加しましたが、そのうち現預金で+10億円の増加がありました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
それ以外では売上高の増加に伴って売掛金が+17億円増加しています。

固定資産に関しては+44億円増加しましたが、そのうちのれんで+12億円、顧客関連資産で+20億円の増加が見られました。
この2つは2023年7月に実行されたM&Aに伴って発生した内容となります。
事業拡大のための積極投資を行っているので、今後も同様の案件は発生してきそうです。

出所:決算短信

負債に関しては+33億円増加しましたが、そのうち短期・長期借入金で+9億円の増加が見られました。
ただ全体の事業規模から考えるとほとんど影響のない金額レベルです。
また事業規模拡大に伴って未払金や未払費用の増加、あとは大幅増益になったことで未払法人税等で増加が見られました。

出所:決算短信

純資産に関しては+37億円増加しましたが、当期純利益の+41億円がダイレクト影響しています。
剰余金の配当はありますが、金額としては3億円程度なので、大きなインパクトではありません。
また海外子会社がないため、為替換算調整勘定の影響もありません。
海外子会社がある場合だと、今の円安影響で為替換算調整勘定が増加傾向にありますが、ラクスの場合は該当しない様です。

出所:決算短信

3.CFの状況

次はCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては、前年末から+10億円増加しました。
内訳としては営業CFで+52億円、投資CFで△48億円、財務CFで+5億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税引前利益の+56億円が大きくプラスに貢献しています。

投資CFに関しては、固定資産に関する大きな投資案件はあまり想定されないため、通常は大きなマイナスにはなりません。
ただ今回は子会社株式取得のため△33億円の支出があり、大きくマイナスとなりました。
それでもフリーCFはプラスを維持しているので上手く管理されていることが伺えます。

出所:決算短信

財務CFに関しては、借入金の返済や配当金の支払いがありましたが、長期借入金の借換えで+15億円の収入があったため、全体としてはプラスとなりました。

4.まとめ

最後に全体のまとめです。
財務三表全て良好な結果となっています。当然と言えば当然ですが。

出所:自作

また年初からの株価の推移は以下の様になっていますので、ご参考までにご覧ください。

出所:Google Finance

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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