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ここにしかないもの

好きな人の近くにいられる、好きなバンドに会いに行ける、好きなものだけを食べて、好きなだけ好きなことをして 誰がどうみても幸せのなかにいる 

でも、いつだって何か足りない
でも、いつだって何となく不安
満たされないのは、満たされようと本当は思っていないから いつだって何にもいらないのに、結局全部欲しくてしょうがない

ソールドアウト、当日券無し 期待すらしてない、考えてすらない のに、入れた 入れてもらえた 何となく救われたいなんて、でも、いつだってその直感に救われてる 知らない曲、知ってる人、好きな人の楽しそうな顔 それだけで満足に思える

あいつ変わったな、でも 自分だって変わった
あのバンド変わったな、でも 結局好きじゃん
変わらないものなんてないのに、変わらないものを探して、変わらないで欲しくて抱きしめて、でも 自分だってどんどん変わってることに気づけない
だから、変わらないものも、変わったものも大切にしたい ちょっとよくわかんない

あんなに苦手だった秩父ラダーラダーが、自分にとって好きな場所、安心できる場所 に変わっていく感覚と、色んな人と出会うそのたびに自分の居場所がそこにあるように見えて 慣れなくて不安になる感覚

でも、千秋ちゃん入っちゃいなって言ってくれた店長さんも 可哀想とか言いながら入れよって言ってくれた柏木さんも 顔パスでしょって笑ってくれるいつもそこに必ずいる人たちも 粘り勝ちじゃんって笑う田村さんも 気狂ってんなって笑うももさんも なんだかんだ、私が私なりに適当に、でも必死に 選んできた選択肢の中で出会えた人たちだと思ったら うっかり泣いちゃいそうだった 

こんなところで何やってるんだろうなんて思う でも、ここにいなかったらできないことはここじゃなきゃできないことだから ここにいる間は、ここでしかできないことをしたい それが答えじゃん

あの日の私には見えなかった景色ばかり、大切なものばかり 全部ちゃんと持って、いちいち思い出せるように

「自分で決めたことを誰かのせいにしていちいち言い訳するのはクソださい」って言葉を、好きな人から言われたその言葉を ちゃんと忘れないように

居場所だなんて勘違い、所詮一人ぼっちの集まり
でも、ライブハウスにいる間だけは大丈夫だと思える

だから、どうか
私からライブハウスを取らないで

追伸、帰り道にイヤホンもせずに道で流した時速の素面でいちばん泣いた