見出し画像

片耳難聴者は聾者ではないが健聴者でもない

NHKで草彅剛さん主演でドラマ化された『デフ・ヴォイス』CODA(両親が聾者で健聴者として育つ子ども)で子どもの時から手話通訳をしてきた苦悩もわかる素晴らしいドラマでした。

私は20年ほど前に左耳が聞こえなくなりましたが なんとか健聴者と変わらぬ生活をしています。

それでも少しずつ落ちてきている残った右耳の聴力を大切にしつつも聞こえなくなるかもしれない将来に恐れを抱いています。

人と話していても何度も聞き返します。
2回聞き返すと申し訳なくなり3回目は聞けません。
勘の良い方だと2回目はゆっくりとかもう少し大きい声でとか1回目とは違ったトーンで話してくれてそれで聞こえてきたりしますが何度聞いても同じ声の高さ、同じ速度でだと何度聞いても結局は聞こえてこないのです。

「片耳聞こえるのだから音量が半分になるだけ」では無いのが片耳難聴の難点。
なぜか大切なところは小さく意味のなさない周りの雑音は大きく大事な言葉をかき消してしまいます。
ザワザワした駅やスーパーなどで隣の人が話しかけてくれてもほぼ聞こえないのです。

どうしてこんなことが起こるのかは私自身さっぱりわからないし解決策はありません。
大切なところはかき消される…これはリアルな場面だけではありません。

ドラマや映画はセリフが聞き取れないところが多々あり昔は何度もリピート再生していました。
(今はほぼ全ての作品に字幕がつくしテレビ設定がセリフの聞きやすい周りの音を抑えた調整もできてありがたいです)
大好きな音楽も片耳イヤホンばかりだと聴力低下が怖いので1人の時はイヤホンはなるべくせずにボーカルをより聴き取りやすくするように調整しています。

そのおかげであまりベース音などは聞こえていません。
素晴らしい演奏をしているミュージシャンの方にはお詫びするしかありません。

昨年も今年も幸運なことに行きたいと思っていた藤井風さん以外の2組のアーティストの武道館と日産スタジアムのライブに参加させていただきました。
すごく嬉しかった。(Xの知り合いにも会えたし)
ただ、もうこの体験は無理なんだと思い知らされました。
どちらも私には『熱狂を帯びた雑音』だったのです。
全ての楽曲を知っていました。
だからなんとなくの脳内再生で楽しみました。
リアルな音楽は私の耳には届いてくれなかった。
特にボーカルはまったく聴き取れなかった。
でもあの場にいられた。
この体験をさせてくれた仲間に本当に感謝しかありません。
(自らチケットを入手すすべく動いたのではなく誘ってもらって行くことができたので)

だからなぜ藤井風さんのライブの声だけは私に聞こえるのか?謎としか言えません。
(藤井風さんのライブはアリーナやスタジアムのように大きかったり天井がないところでもはっきりと聴こえました)
だからこれからも彼のライブに行ける機会があると良いなと思っています。

将来もしも手話が必要になっても聾者の方の手話の難しさを考えると…おそれを抱きます。
聾者の方にとっての手話やそれを取り巻く文化を理解し学ぶことはどんな外国語を学ぶより難しいと思えるからです。
少しでも長く自分の耳で聞いて話せるように祈るしかありません。

※クリスマスイブだというのに、こんなnoteを書いてしまいました。
でも決してネガティブな気持ちではありませんよ。
私の右耳、頑張ってくれてありがとう😊
これからも頼りにしてます🩷

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?